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ひらめき☆マンガ教室 第5期 課題4 ネーム感想 #ひらめきマンガ

途中までですがネームの感想を書きました。掲載順は名簿順です。感想へのコメントはいつでもお待ちしてます。ツイッターやおたよりフォームまで、ぜひコメントください。大塚

最終更新:2022/07/25_16:15

感想の基準

 今回はキャラクターを作る課題ということで、キャラクターがうまく描けていると思った作品を評価していきたいところなのですが、残念ながら自信をもってキャラクターの判断ができるはっきりとした根拠が持てていません。なので、今回の課題の「知っている人をモデルにしてください」を参考にして、キャラクターの中に他人の手触りのようなものを感じることを評価の基本にしようと思います。自分なりの言葉で言うと「ゆるがせない感じを持っている」キャラクターを評価する、ということになります。
 今回のようなキャラクターの課題で「実在する知り合いをモデルにしたキャラクター」とお題が出されていることからは”そのキャラクターから作品のすべての要素を抜き去っても残ってしまうなにか”が重要なのではないかと個人的には考えさせられます。それが”ゆるがなさ”という言葉で言い表せないかと思っているのですが、どうでしょうか。

 

全19作品完成稿感想

nonakaさん「あつまれ!大爆笑小噺」

あつまれ!大爆笑小噺 | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 こういう感想でよいのか不安だが、課題1の作品「入り船に良い風」に登場したキャラが再登場しているが、わりと最初の作品から想像できてしまう範囲での会話をしている印象を持った。あまりキャラクターとして更新されていないというか。例えば「進撃の巨人」に対する「進撃!巨人中学校」のようなおふざけスピンオフのような感じがした。今回の作品ではもっと元の作品を邪魔するように描いてしまった方が面白いんじゃないだろうか。二人のキャラクターの意外な一面、みたいなものを見てみたいような。

 

俗人ちんさん「 天堂さんは勝ちたがり!」

天堂さんは勝ちたがり! | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 ヒロインがかわいい。特に3pで「こんな顔かなあ!?」と急に変顔をするところの脈絡のない感じがいい。一方で、ヒロインの言動に対して主人公が淡泊すぎる気もする。なんというか、ヒロインが空回りしてしまっているような印象をうけてかわいそうかなと思ってしまった。もう少し主人公が主人公なりの受け止め方をしている様子が伝わってくるといいのかもしれない。

 

降原さん「時を彷徨うショーヘイ」

時を彷徨うショーヘイ | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 この話は、3人の関係も本当にありそうな感じでよかったが、話としてもわかりやすくてサクサク読み進められた。4pで「どこまで信じるかためしてやる…!!」と言ってお話しがその通りに進むので安心感がある。ただ、肝心のショーヘイのキャラクターは、家族の描写も相まって「果たしてこんなやつ現実にいるか?」とも思ってしまったので、なにか話の筋とは関係ない細かいディティールみたいなところを見させてもらい、説得力を持たせてほしかったようにも思う。

 

はねむらさん「無職おじさんと幼女志乃ちゃん」

無職おじさんと幼女志乃ちゃん | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 この作品は志乃ちゃんのキャラクターが、よくわからないけどコミュニケーションをとってくる感じで十二分に描けていると思うのだが、一方、おじさんのキャラクターにあまり好感が持てなかった。なんというか、主人公をするためだけに用意されているというとあれかもしれないが、あまりこの作品に登場する必然性を感じないというか。これは個人的な読みだが、自意識みたいなものが投影されているようなクセがあり、それがストレスだったのかもしれない。いっそ、逆にもっと開き直ったドテッとしたおっさんなら好感が持てたのかも、などとも思う。(こう書いていて思ったが、主人公が幼女に自分のペースを乱される場合の、元々主人公が持っているペースがなんなのかがよくわからなかったのだと思える。)

 

葉野 赤さん「あのひとの浮いたはなし」

あのひとの浮いたはなし | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 この作品はゲンコさんがいい。というかこの人は表立ってモテる人ではないだろうが、ひそかに人気がある人だろう。男性女性ということと関係なくかわいい人だ。…ということは思ったのだが一方、エピソードの見せ方が過去の回想でほとんど進む(2p~13p)ことはどうなのだろう。個人的には、現在に気持ちがある状態で過去のエピソードが続くので、現在になったらどうなるのかと気を持たされてしまったように思った。オチの「わしと結婚するか?」に対して主人公からちゃんとした返答が返されないところでも引っかかってしまっているのかもしれない。が、実はこのまま完成しても作品として成立しているような気もしている。なので、あくまで一感想ということで。

 

かわじろうさん「右こぶと左こぶ (鬼にこぶ取らるること)」

右こぶと左こぶ (鬼にこぶ取らるること) | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 正直に言うと、この話をどうやって読むとよいのかはよくわからなかったのだが、しかし作品としては完成されているように思う。(戸惑ったのはおそらく私がこのマンガのキャラクターの造形に慣れていないせい。)少しだけ気になるところをいえば、11pでの左こぶさんが失敗続きになるところは、いかにも失敗しそうな、本人に合っていなさそうな芸をさせたほうがわかりやすいように思う。が、それも細かい話で、ぜひこのまま作品を完成させてほしいと思う。

 

柿谷孟 カキタニ モウさん「反射光」

反射光 | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 この作品は内容がよくわからなかった。映画に行ったり地震が起きたりする下りはわかるが、アリクイの下りで、この作品はどこへ着地するんだろう、となってそのままよくわからず読み終わった感じだ。とはいえ、途中で地震が起きて場所と日時まで明確に記されている箇所は本来的には不必要なことをわざわざやっているはずで、これは作品に固有のリアリティを与えていると思う。なにか重要なことが隠されているんだろう、と感じさせる作品になっていると思う。それを隠すべきか晒すべきかはまた別の問題だとは思うが。

 

泉ころろんさん「寝そべり族」

寝そべり族 | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 この作品は面白いと思ったのだが、もうちょっとお話としての骨格がしっかり欲しかっただろうか。現実のパートの方が特に何もなく終わるので、その部分をもう少し膨らませるとよいのかもしれない。このタイプの作品では「何も起こらない」ことをもっと読みたいなという印象だ。

 

森紗はるきさん「きになる視線」

きになる視線 | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 まず、熊倉さんがいい。2pの登場場面にインパクトがあり、なにか一癖持っていそうな感じがする。なので逆に言えば、動画を見ているところを目撃されて恥じらうストーリーは普通過ぎるとも思った。個人的には主人公のキャラクターが熊倉さんとの組み合わせとしてあまりうまくいっていない印象だ。この二人が一緒にいても、例えばなにか会話が生まれる感じなど、想像がうまく膨らまない。おそらく、もう少し主人公のキャラクターや二人の関係がどんなものか考える必要があるのだろう。
 また、ひょっとすると作中で触れられることそのままになかやまきんに君から主人公のキャラクターの構想を持ってきているかもしれない。その場合、なかやまきんに君もキャラクターのようなものなので、引っ張られすぎないように余計に意識的にキャラクターを考える必要があったはず。その場合、全然関係ない一面を加えたり、ほとんど一からキャラクターを考える作業が改めて必要になるので、普通にキャラクターを作るよりたいへんだったのではないだろうか。

 

qjinさん「竹取物語

竹取物語 | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 竹取物語をアイドルものとして解釈するところが、よいたとえ方をしていると思った。月に帰る=引退ライブだ、というのが面白い。この作者の方はテンポよい作風が特徴で、今回もその特徴がよく出ていると思うが、個人的には、9pでかぐや姫が月に帰るところはおじいさんにしっかりあいさつをして出ていくといい話になってグッとくるかもしれない。

 

中西ゆかりさん「隣のフルハウス

隣のフルハウス | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 これは今回の課題作の中でも最も好きな作品の一つだ。やはりフルハウスの空間のいろんな人が出入り自由な感じがいいなと思う。ここはさらにほしいという話をすると、主人公の男性が中国人の女の子に対して内心でどう思っているのかはもうちょっと知りたいように思う。なんというか、料理そのものではなく料理を作ってくれた人に対する気持ちを見たいのかな、という印象だ。そのほうが中国人の女の子の人としての食えなさみたいなところが映えてくるように思える。

 

滑川王手さん「高橋の消しゴム」

高橋の消しゴム | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 この話は面白い。面白いのだが、果たして物語として成立しているのか、と若干不安な気持ちもある。おそらくオチがうまくオチているかどうかが問題だと思うのだが、個人的にはもう少し違う形のオチを見てみたい気も。一方で、これはこれですでに完成されているようにも思う。

 

鷹鯛ひさしさん「森見さんと私」

森見さんと私 | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 森見さんがテキトーな歌詞で歌を歌ってやってくる、というところがよく、この登場シーンですでにこのマンガの狙いが成功しているように思う。一方、マンガのつくりとしてはもう少し整理できるところがあるのだろう。例えば、もう少し仕事のディティールを足したり、主人公が具体的になににイライラしたり焦ったりしているのかがわかるようになるとさらに物語の奥行きが出てくるように思う。

 

いとしろ たかやさん「珈琲とシュガー」

珈琲とシュガー | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 この作品は大変よかった。主人公の男性がいきいきとして見え、もっと動いているところを見てみたいと思った。反面、女性のキャラクターにはもう少しきめ細やかさが欲しいようにも思った。男性が丁寧に態度を表している分、女性のいわゆるキャラ的なふるまいが気になったのだと思う。女性が男性に対してどんな関係を望んでいるのかが読んでいてもっとはっきり伝わるようになると、なおよいのではないだろうか。

 

谷なすびさん「すなっぷえんどう(株)」

すなっぷえんどう(株) | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 なんだかおもしろいマンガだった。エンジェル投資家のニラさんの信じていいかどうか微妙な感じがよくできていると思う。(それを主人公は信じたというのがいい。)ただ、14pの指パッチンはもっと迫力がほしかったかもしれない。読んでいて、なるほどこれなら社員も従うな、という説得力がもっと欲しいのかもなと思って読んだ。

 

たにかわ つかささん「がんばった日」

がんばった日 | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 これは大変良くできたマンガだと思った。なにも起きないからこそ一つ一つの所作に目が行くというか、思わず、こういう風景っていいな、と思わせる力があるように思う。あえて少しだけ気になったところを言えば、1pは急に説明から入っているので読みづらく、もう少し情報が整理されていてほしいように感じる。

 

千住ちはるさん「連れてこなければよかった」

連れてこなければよかった | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 うーちゃんがいい感じに憎たらしくていいマンガなのではないかと思う。お父さんの押しがちょっと弱すぎるんじゃないかともフツーに思ったのではあるが。個人的にはお父さんがクリームソーダをほとんど食べてしまう場面がとてもいいと思ったので、そこをもっと強調してオチにつなげてもよかったのではないかと思える。(二人がどういうところで折り合いをつけているのかをもっとはっきり見たかったということだ。)

 

晃てるおさん「本当に恐いお化け屋敷の真実」

本当に恐いお化け屋敷の真実 | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 悪い作品ではないと思うのだが、もうちょっと、この人たちが何歳くらいで何の仕事あるいは学生をしている人なのか等々は知りたかった。なんとなく大学生っぽいと思って読み、それなりに面白かったのだが、しかしフワッとした感じでとらえどころがなかった。また、少年のお化け(?)の存在について、もう少しキャラクター同士で言及して戸惑うような場面はあったほうがお話としてはおいしいようにも思う。(余談だが、キャラクター間に区別がない感じはなんとなく岩明均っぽいと思い、個人的には好ましく読んだのだった。)

 

吉田屋敷さん「YOUNG GUNS

YOUNG GUNS | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 この作品はかなりいいんじゃないだろうか。16pの制約の内でバランスがうまく取れているように思った。14pのギャップが気持ちいい。ただ、主人公のキャラクターがしっかりしている分、オチで自分の作品を上段に置いたところでルールがわからなくなってしまった。おそらくやり取りの中で張り合う気持ちが生じたからだと解釈したが、ここはもう少し誘導があると親切なのかもしれない。

 

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