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ひらめき☆マンガ教室 第5期 課題7 ネーム感想 #ひらめきマンガ

途中までですが感想を公開します。掲載順は教室の名簿順です。後日、感想と前記後記追加する予定です。付録も追加しました。よろしくお願いします。

最終更新:2022/10/18_5:42

感想の基準

 今回はお題の「ピンチから始める」という課題を見たときに、トラブルを解決すべくドタバタするような話をぱっと想像ました。なので楽しい感じがあるネームを探すようにまず読み始めたと記憶しています。感想を書く段になっても、今回はあまりそこから変化はありませんでした。読んでいて「少しだけでもプラスアルファの部分があるな」「読んでいる人を楽しませてくれるな」と思った作品が印象に残っていて、それらがよいと思って感想を書きました。あまり課題に対する回答とは関係がない感想になっているようにも思いますが、普段読むマンガと同じように読んだという感じです。

 

全19作品感想

nonakaさん「タイムライン」

タイムライン | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 おそらくわたしの読解力不足なのだが、このネームはどういうやりとりが行われているお話なのかよくわからなかった。おそらく6pの「私も…!さやちゃんに何かあげる…!」付近の状況がわかっていないのだと思う。作品のテイストとしてはほんのり百合、水着、青春、みたいな要素がそろっていて読み味は悪くないと思う。しいて言いうなら、最後のページの独白にある”最後まで(笑顔が)向けられることがなかった”うんぬんが内容的にちょっとわかりづらそうなので、その周りの説明をもっと丁寧にするとよいのかなという印象だ。とはいえ、今までの作品を見た感じnonakaさんはこの手のほろ苦い青春の話は得意そうなのでぜひ完成したものを読ませてもらいたい。

 

aokiさん「勇者勝ち確覚醒」

勇者勝ち確覚醒 | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 このネームは設定がよくて特に魔族(?)に学校がある描写は面白いと思った。ただ、主人公の独白だけで話が展開して終わっていくところがちょっとマンガ的な面白みに欠けるかなと思う。例えば、これだけドラマチックに死んでいく魔王のあとで、勇者サイドが何を思うのかなど、一コマでも描写が用意されると印象が変わる気がする。

 

あさかたこれ太郎さん「なんとなくの今日のために」

なんとなくの今日のために | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 このネームは大変良いと思ったが、描かれきられないところにどことなく不満足を覚える内容でもあった。個人的には、戸黒くんが自分の住処を主人公に案内するときに、もう少しこの二人の間になにか出来事があってほしいと思う。内容は何でもよいので。例えば13pか14pあたりで主人公のアップのコマと間のあるコマが入るといい感じなんじゃないか、などと思うがどうだろうか。本当に大変良いのだが、個人的にはあとちょっと読みごたえがあれば、と思うネームだ。

 

大久保どんぶりさん「人も歩けば犬にあたる」

人も歩けば犬に当たる | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 サックリ読めるお話でよいと思ったが、もうちょっと犬と主人公の距離が接近する瞬間の場面をゆったり見せてもらたらうれしいかなと思う。加えて、入りとオチとの関連で言うと、主人公が最初どこへ向かおうとしていたのか、そしてオチではその予定がどうなったのか、は余裕があれば加わわると面白いところかもしれない。

 

はねむらさん「ギリギリ魔法少女☆ここあちゃん」

ギリギリ魔法少女☆ここあちゃん | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 ほとんど爆笑しながら読んだのだが、あまり読んだことがないジャンルのマンガだ。たぶんエロきらら系、下品な日常系とでもいうんだろうか。個人的には特に8pで主人公が露出に目覚めかけるところが割と過激で、思い切ってやりたいことをやっていてよいと思った。が、媒体によるがさすがにこの水着はもう少しセーフなものを着させたほうがよいような気はする。

 

葉野 赤さん「確認はいらない」

確認はいらない | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 このお話しはよくできていると思う。実は普段から油断がある人が、ほかのある人にとっては心を開かせる存在となっている、ということは現実でもあることだと思う。ただ、もしかするとお話が説話的なのでマンガとしてのたのしさみたいな部分が少し弱いのかもしれない。もう少し楽しい感じ(話として盛り上がりがあってオチがある感じ)があるとより親しみやすい話になるように思える。

 

かわじろうさん「下校」

下校 | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 このネームは今回の課題の中では最もよかったものの一つ。感情や状況の拾い方が一つ一つ丁寧で、特に話の中心だった傘が実は壊れていたというところがよく、フィクションというのはこういうことだとうなずきながら読んだ。強く完成稿を読みたいネームだ。

 

山本美容室さん「九十九年目の投身」

九十九年目の投身 | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 このネームはよく頑張っていると思った。分量の関係で教室の課題としての評価がどうかはわからないが、現実に絡めたフィクションをある程度のスケール感をもって描こうという心意気を感じる。
 一方、アピールにもあるサブカルっぽさへの懸念についてだが、とくに24,25pの見開きが作品が最も盛り上がるシーンがここでは意図的に予想を裏切って盛り下がるように作られているので、サブカルっぽい感じがあるといえばそうかもしれない。ここでは示す感情がどんなものであれ矢野の気持ちがストレートに伝わってくるシーンであるほうがわかりやすいとはいえると思う。(ただ個人的にはどちらがよいというものではないと思う。)
 個人的には前半の終わりの部分、27pにある未来と高さを関連付けた説明がちょっと急なようにも感じた。完成して絵がしっかりつけばわかる内容かもしれないとも思うが、後半に向けてのバトンタッチの部分なのでもう少し丁寧な説明があったほうがいい部分かもしれない。

 

泉ころろんさん「押してはいけない」

押してはいけない | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 話の骨格としては問題をあまり感じないのだが、しかしギャグとしてはなんとなく惜しい感じがする作品だ。ボタンを押そうとする女の子のキャラクターがもう少しなにかあるとよいのかもしれない。あるいは、1pからして背景がないところを見るに、もう少し5W1H的なものを丁寧に配置してあげてもよいのかも。個人的には「これってどういう世界観?」という感じがしているので、そこがどうにかなるとよいのではないかと思う。

 

森紗はるきさんマンボウさん絵日記」

マンボウさん絵日記 | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 こういったヤケクソみたいな内容のマンガはこれはこれでありだと思うのだが、このネームの場合は話としてのまとまりが弱いかなと思う。可能なら、だれがどうなるお話で、途中で何を経るのか、を整理してみるとよいのではないだろうか。(蛇足的だが、自分の作品だけでなく、普段読者として読む作品についても同様に、単に構造を把握するための分析を施してみるのも訓練になってよいと思うのでオススメだ。)

 

qjinさん「聖痕」

聖痕 | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 話の内容としてはイマイチよくわかっていないところもあるのだが、説得力があると思った作品だった。SM嬢と医者とが、人にメスを入れて回復にいざなう点で似た役割を持っているという受け取り方をした。一方、SM嬢の方の「死んでしまいたい」という言葉は、医者からの「死んでもいいと思った」というセリフだけでは救われないのではないかという気もする。医者からの「あなたを必要としています。」というセリフに対する嬢のリアクションをもう少し丁寧に設けるなどすると、よりクリアな話になるように思う。

 

滑川王手さん「デッドラインシーパラダイス」

デッドラインシーパラダイス | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 とにかく、タイトルの「デッドラインシーパラダイス」の景色をマンガの中で見せてもらえるところがよかった。一見バカっぽいような回収の仕方だが、しかし実際に回収をしてもらえるとうれしい。一方個人的には、現実をベースにした話なのかファンタジーをベースにした話なのか少し混乱があった。いわゆるリアリティラインの設け方にもう少し気を配ってもらえたらうれしいと思うところ。

 

鷹鯛ひさしさん「しんりけん」

しんりけん | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 こういった読んでいる人を楽しませるようなマンガはよいと思った。大学生が女の乳に惹かれて勧誘されてピンチっていう導入がいかにも大学生らしい話でばかばかしくてよかった。ただ個人的には、主人公にはもっとずっと乳に振り回されていてほしいと思う。冷静になったと思いきや乳に誘惑されて失敗、みたいな緩急があったらうれしいと思うが、ちょっと勝手な意見をいいすぎだろうか。

 

いとしろたかやさん「ストーカーとオタクギャル」

ストーカーとオタクギャル | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 話の大筋として、自分の意志と関係なく接近してくる他者によって自分自身に変化が起こる、という内容には共感を覚えるお話しだった。ただ、ストーカーという存在は確かにその他者の条件は持っているとは思うものの、ちょっとドきついかなとも思うところ。いや、ストーカーでもいいとは思うのだが、その場合より人間らしさみたいなものがキャラクターに求められるようになるのかなと思う。その意味ではこの男性のキャラクターではまだ不十分かもしれない。このネームだとストーカーと仲良くなるってちょっと不気味…という印象。

 

谷なすびさん「ドキドキアクシデント」

ドキドキアクシデント | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 これはまたあまり読んだことがないような作品が来たと思った。死の恐怖でのドキドキと少女へのドキドキが混合されていて分離できない、というところを一つの山場として描きたかったのかなと読んだ。内容的にはよくわからないなとおもいつつ面白いなともおもって読んだのだが、漠然とした印象としては少女と少年の関係が最後にどうなっているのか、この話が終わった後にどんな関係になったと言えるのか、もう少し限定が欲しいようにも思う。簡潔にいうと、わたしがよくわかっていないところにこのお話しの面白さがあるのだろうとは思うものの、とはいえもう少し内容がわかるとうれしいかな、と思う。

 

たにかわ つかささん「間に合え!推しの誕生日」

間に合え!推しの誕生日 | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 このネームは、最後のページで会社で後輩の女の子と二人で推しのライブを見ているシーンが、現実離れしているけどなんとなく現実にありそうな風景になっていてよいと思った。個人的にはこの雰囲気のマンガなら、二人の関係性にもう少し変化が欲しいかなと思ってしまった。簡単にいうと最初から二人の仲が良くて、最後も仲がよい状態で終わるので、そこは退屈に映ったということ。とはいえそこはほとんど好みの問題なのだとは思う。

 

つりばしわたるさん「となりの女子大生にオタ活がばれてマンガを教えることになった件」

隣の女子大生にオタ活がばれてマンガを教えることになった件 | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 なんだか不思議な質感があるマンガだと思った。うまくいえないが、こういったなんでもないやり取りでページを進めてもらえる感じはよいと思う。全体的に軽いトーンで進むところは持ち味だとも思ったが、冒頭で女の子に同人誌を描いていることがばれるシーンや、女の子から他の人の絵を見せていたことを打ち明けられる場面は、もう少し主人公からのリアクションがあってよいかもしれない。ただそういった細かいこととは全然関係なく、どうしてこういう話を書いてみようと思ったのか、なんだか気になるお話しでその印象が強い。

 

千住ちはるさん「オレが娘でオレはオレで」

オレが娘でオレはオレで | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト 

 この話の設定の、子どもの中に自分が入ってしまったのだが、お父さんの自分はそのままだというところが面白い。四コマの話全体としても飽きる感じがなく、2才児の身体にあらがえない、という感じがダイレクトに出ていて面白いと思う。あまり完成図が想像できていないこともあり、ぜひ完成したものを読んでみたい。

 

吉田屋敷さん「炎舞」

炎舞 | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 まずもってよくかけているという前提の上でのことだが、この二人には時期的にも実力的にも独特の緊張があるように描かれていると思う。ただ、それにしてはちょっとお互いに本心をしゃべりすぎているような気もする。例えば最後のページでは主人公が惨めさを語るが、人はほんとうに惨めだと思っているときに簡単にはそのことを口にしないのではないか、などと思う。(逆から言えば、惨めさを口に出させることでかえって気持ちが薄まって見えてしまう印象。)実際、現実の場合に人がどうなるのかは予想がつかないところがあるが。

 

全体を振り返って

 まず、全体的にマンガがうまくなってきたと思いました。たくさん書いている人はその分だけうまくなっているという印象です。
 一方、今回の「ピンチから始める」のお題があまりピンとこなかった方もいたのかなとネームを読みながら感じました。個人的にはおいしそうなお題だと思ったので意外でした。これは合う合わないがあると思うので他人がとやかく言うことではないのですが、今回の課題はシチュエーションから考える課題で、マンガを作るにあたって考えを進めやすいシチュエーションの設定がほかにもいくつもある中、選ばれているお題だと思います。マンガによく出てくるシチュエーションのパターンをほかにも具体的に考えてみると「なるほど、あれではなくこれなのね」などと全体像が見え、このお題のおいしい感じが想像しやすかったのかな、などと思っています。
 ぜんぜん違う言い方をすると、今回のお題はちゃんと答えようとするとガチャガチャする感じを引き受けなければならず、力をセーブして答えるような回答を許さない、馬力が求められる課題だったと言えるかもしれません。ガッと作品を引っ張て行く力が試されたお題だったのかな、なんてことを思います。

 

更新記録

2022/10/01 10作品感想追加
2022/10/09 3作品感想追加
2022/10/16 6作品感想追加
2022/10/18 感想の基準,全体を振り返って追加