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主にひらめき☆マンガ教室の感想用。メッセージ等はおたよりフォームへいただければ、配信でお返事します。

大塚式☆ベストハンドレッド ひらめき☆マンガ教室第5期 文字版

 以下、ベストハンドレッド ひらめき☆マンガ教室第5期当日に使用したスライド(と概要文)をコピペして文章したものです。誤字脱字などは修正していますが内容については基本的に修正せずそのままにしています。
 ここでの文章はスライドそのままの内容になっているので文章としてはわかりづらいと思いますが、動画の方が主と思っているので半ば意図的、時間がないので半ば仕方がなくこの形になっています。内容を詳しく知りたいという人は、ぜひベストハンドレッドアーカイブをご覧ください。

またデータも公開しておきます。手っ取り早く内容が知りたい方はぜひ活用してください。

大塚式☆ベストハンドレッド ひらめき☆マンガ教室第5期.pptx

ベストハンドレッド早見表.xlsx

 

では以下内容です。

 

大塚式☆ベストハンドレッドひらめき☆マンガ教室第5期

〇イベント紹介
 どうもこんにちは、はじめまして大塚です。このイベントは、ひらめき☆ゲリララジオと称してひらめき☆マンガ教室に提出される課題マンガの感想を一年間しゃべり続けてきた私大塚が、教室の課題マンガの魅力を余すことなく語るべく立ち上げた企画です。ここではひらめき☆マンガ教室第5期のマンガ、そして教室の周辺で起きていた出来事をベスト100の形で紹介します。

〇イベントの経緯と趣旨
 毎年ひらめき☆マンガ教室ではその最終課題の講評回がネット上で中継されます。自分も一視聴者として、生徒の描いたマンガを中心とした創作やマンガを取り巻くトークを聞きますが、その際、生徒たちが描いた過去の課題作の内容や作家性などの文脈も抑えることできたならば、よりトークを楽しめるはずなのだけどな、と思っていました。しかしとはいっても、有に100を超える生徒の作品を(しかもまだまだ未熟で読みづらいものも多い作品たちを)読むのは大変です。そこで、だれかが過去作をピックアップして紹介する企画がするとよいはずだ、と思ったのです。
 つまり、それを自分でやってみた、というのがこのイベントの経緯です。
 また、教室の作品を追っている者としても、せっかく講評回などでひらめき☆マンガ教室がある程度の人々に関心を抱かれる中、これだけ多くある作品がスルーされてしまうのはもったいないという気持ちがあります。自分は中立な読者というわけではなく、愛着をもった偏った読者ではあるのですが、しかし客観的に見て、読まれ語られるべき作品があると思うので、それらを大塚独自の価値観を混ぜながら紹介し、聞く人に楽しんでもらおう、という考えです。
 最後に、実は、私大塚は教室の受講生ではありません。僕がひらめき☆マンガ教室のマンガに感想を送ったり感想をしゃべったりするのは、大げさかもしれませんが、そのことによって自分と世界のかかわりを感じられるからです。
 ひらめき☆マンガ教室で採用されている課題作品をWeb上で公開する方法は、作品が作られ読まれたうえで生徒が改めて次の作品作りにのぞむサイクルを狙ったものです。この作品と読者の反応のサイクルは表現にとって本質的なものです。作る人と読む人と作品の三者が相互に働きかけることの中で、創作や表現は成長するはずです。だからこそ、自らひらめき☆マンガ教室の作品に感想を送ることでそのサイクルに入ることが、私にとってなにが重要なことであるか、ひいては世界にとって重要なことは何であるのかを知る良い機会になるのです。
 このイベントは、教室に関心がある人だけでなく、今までひらめき☆マンガ教室の作品を読んだことがない方や、あまり真面目な読者ではないという方にぜひ聞いていただけたらと思っています。具体的な作者がいる作品を扱うのであまり下手なことはできず、かといって作品を前に卑屈になってもいけないので緊張しますが、当日は頑張ろうと思います。よろしくお願いします。大塚

 

スライド

start

 どうもこんちには。初めまして。私が大塚です。ひらめき☆マンガ教室を応援する感想ラジオ、ひらめき☆ゲリララジオをやっている者です。

2022年4月から毎週日曜放送中。ひらめき☆マンガ教室第5期の全てのマンガの感想をそれぞれ10~15分程度話している。画像は第1回のもの。

本日のトークの流れ

 私こと、大塚陽也が独自の語りの中選んだひらめき☆マンガ教室第5期のマンガとその周囲の出来事をまとめて100個紹介。そのすべてについてわたしがたったひとりでひたすらコメントする!!!!
 これはわたしの独断による順位である!異論は認めない!!あれが入っていないとかこれはこの順位だろ、とかいう人がいそうだけど、それは知らない!この企画はそういうものじゃない!好きな作者の作品だけ読むとかする人がいそうだけど、一切認めない!認めん!これはそういうのじゃない!

本日のスライド総数:552枚

 これ、大変。一枚あたり25秒くらいで話さないといけない。なのでガンガン話します

大塚
「狂気が!!大事なんだよ!!!!!!!!!!!!」

先に総括

 ちゃんとマンガを届けようという作者がいてその人たちが軒並み伸びた。教室のサポートの手厚さみたいなものが感じられた年だった。そして生徒の雰囲気がよかった。感想などの作品への反応も適切な距離で受け止められていた。感想が活発になった年だったので、特に聴講生の行動が去年よりも見えるようになった。ただ、もっとなにか教室を盛り上げる具体的な活動があってもよかった。
 いいマンガは相変わらず合同誌に集中している。予想外によかったのは課題5のマンガ。これは課題の意図が生徒に届いてうまくいっていた印象がある。
 ちょっと残念だったのは、感想は増えたけど継続できた人が少なかったこと。一人、絶対やりきるんだという人が教室にいるだけで、ずいぶん感想の雰囲気は変わる。
 しかし全体としては、生徒や教室の雰囲気もよく、作品も感想もたくさんありそれぞれにレベルが高い。面白いものがたくさんある。それがひらめき☆マンガ教室第5期です。

これをきく人は俺を信じて、これらをすべて消費するべきである。真剣に。

 目を通したけど自分には関係ないやと思った作品もあると思います。けどそれらが誰のためにどうして作られたのかのかわからなかったから、なんとなくスルーしていたものもあるんじゃないでしょうか。なので、それらのどこが良いのか、今からビシッと語りますので、ぜひ全コンテンツを見てください!ぜひ!!
 そのためにやっているんだよ!!というわけで始めます。では

 

100位
②hiryuzuさん「むねん」

むねん | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 

この1ページだけのマンガ。ちゃんとしたネームを提出しようとしたけどできなかった、という内容の一枚。

 苦悩が伝わってくる応援したくなる一枚。ただ、これはマンガと言えるのか…?という疑問はある。誰か知らない人が作ったものを見て応援したい気持ちが生まれることって表現では大事。しかし、このあとに提出がなかったのが残念。
 ちなみに、リアルタイムで追っていないと、自分が「応援したくなる」作品とは出会えない。

 

 

99位
⑥aokiさん「デブネコ」
②aokiさん「爆光自衛隊

デブネコ | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

爆光自衛隊 | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 

左「デブネコ」家猫の散歩のワンシーンを描いた話。右「爆光自衛隊自衛隊が怪物と戦う話。巨人とかが出てくる。

 内容的には両方とも悪くない。ただ、この手の話は絵がはっきりしないと評価がしづらい。この作者の方の他の作品で完成しているものがあったら、また評価は違ったはず。

 

 

98位
①楓さん「未来のサナギ」

未来のサナギ | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

仕事をやめた主人公の葛藤をサナギに例えて肯定的に描こうとする内容。優しくも厳しく声をかけるカウンセラーの先生のキャラクターがいい。

 お話しとしては最後少しまとまりきらない印象だが、でもいい話。ただ、印刷が薄くて読みづらいのが惜しかった。最終的にどう読ませるかは大事。この作家さんは作品がこの一作だけだったが、他の作品も読んでみたかった。

 

 

97位
①KenTaさん「甘ちゃん」(完成稿)

甘ちゃん | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

さくらももこをまねた絵で、作者の自身の子どもころの甘えん坊エピソードを皮肉を混ぜて描く。課題文のアドバイスをちゃんと守って描いている。意外とみんなはやらないこと。

 もうちょっと話のふくらみが欲しいなとは思うものの、コマ割りがはっきりしているからか、読んでいてあまりストレスがない。まねるって大事。

 

 

96位

①滑川王手さん「わたしという沼」(完成稿)

わたしという沼 | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

自己紹介自体をネタにしたギャグマンガ。分裂したり哲学のようなことを語ったりする魚人(?)の滑川がシュール。

 これは単に話が面白い。もっとマンガらしくなればひとまずいうことなしなもの。

 

 

95位
④俗人ちんさん「天堂さんは勝ちたがり!」
⑧俗人ちんさん「友達と釣りでギスギスした話」(完成稿)

天堂さんは勝ちたがり! | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

友達と釣りでギスギスした話 | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 

左「天道さんは勝ちたがり!」ラブコメ。強気だけどポンコツな天道さんがかわいい。
右「友だちと釣りでギスギスした話」作者美少女化マンガ。ネットを意識した4pマンガ。

 キャラがかわいい。ただ、話はおさまりが悪い。「友だちとギスギスした話」は課題8「ネット経由で広まりそうなマンガ」の回答としてよかった。

 

 

94位
④鷹鯛ひさしさん「森見さんと私」

森見さんと私 | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト


真面目な主人公とテキトーな森見さんの話。仕事で失敗した主人公がそれまで性格も仕事もテキトーだと思っていた森見さんに助けられる。

 ちょっと気持ちがホッとする作品。対象読者がはっきりしている。

 

 

93位
〆チューブでの合同誌感想回

しめちゅーぶ #102 - YouTube


コミティア142でひらめき☆マンガ教室の合同誌を購入したaotakaさんがsimesabaさんとともに合同誌のマンガの感想を話す回。途中大塚(カラメル)も飛び入り参加。スライドは39枚。マンガ感想パートの総時間は約4時間。

 教室とは関係なく勝手に感想を話していてよい。ただせっかくよい回だが、教室の人があまり認知していない可能性がある。
 「名前の読み方がわからない…いや、裏表紙に書いてある」などのやりとりがいい。教室の事情を知らない人たちが話して、同じように教室の事情を知らない人が興味を持って見てくれている。こういう場がもっと増えていくべき。

 

 

92位
⑥晃てるおさん「リンゴ好きのジロー」
③晃てるおさん「恋の挑戦、その極意とは」

リンゴ好きのジロー | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

恋の挑戦、その極意とは | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 

左「リンゴ好きのジロー」面接前でピリピリしている主人公が飼っている犬に癒される話。
右「恋の挑戦、その極意とは」恋をした主人公が強くなるために柔道の師匠につく話。

 どちらも素朴だけど、主人公の感情や気持ちの変化が描かれている。特に「リンゴ好きのジロー」は、動物を書く課題6の答えとして印象に残ったものの一つ。

 

 

91位
⑩いとしろ たかやさん「私のことゼッタイ好きじゃん」

私のことゼッタイ好きじゃん | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

男の子が自分のことを好きだと勘違いした女の子が自分に告白させようと奔走する話。

 主人公がかわいい。「私のことゼッタイ好きじゃん」というフレーズの突破力が高い。ただ、その勢いが最後までうまくノリ切っていない感じ。

 

 

90位
⑥森紗はるきさん「ママ・マンボウ
③森紗はるきさん「猫神さんはもふりたい」

ママ・マンボウ | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

猫神さんはもふりたい | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 

左「ママ・マンボウマンボウが風邪を引いた主人公の看病をする話。
右「猫神さんはもふりたい」猫耳が生えた主人公が友だちと文字通りキャットファイトをする話。

 エネルギッシュ。「ママ・マンボウ」は世界観がいい。ただ「猫神さんはもふりたい」はネームとしては崩壊気味。実は、今年は日常ファンタジー系のマンガが少なかったので、その中で「ママ・マンボウ」は印象に残る作品だった。

 

 

89位
①大久保どんぶりさん「夕方スペクトラム

夕方スペクトラム | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

認知症のおじいちゃんとその孫が、おじいちゃんの超能力の暴発によって過去へとタイムスリップしてしまう話。

 SF×日常もの。認知症とタイムスリップをかけ合わせる発想がよい。創作によって作者自身の内面が整理されているように感じる作品の一つ。課題1の「自己紹介マンガ」への回答としてよい。とはいえ、ちゃんと成功しているネームとも言い難い。

 

 

88位
①千住ちはるさん「寝ない子劇場」(完成稿)
④千住ちはるさん「連れてこなければよかった」

寝ない子誰だ | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

連れてこなければよかった | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 

 

左「寝ない子劇場」なかなか寝付かないうーちゃんに翻弄されるお父さんの話。
右「連れてこなければよかった」駄々をこねて買い物についてくるうーちゃんに振り回されるお父さんの話。

 作者の千住ちはるさんの実際のお子さんがモデルのマンガ。色んな視点で親子のやりとりを描いている。ただ、狙っている演出がうまくハマっていないように感じる部分がある。

 

 

「連れてこなければよかった」の14p(左)と16p(右)。ほっこりマンガかと思って読んでいると、少しとげのあるセリフが目に入ってくる。

 

 

87位
⑩泉ころろんさん「今日は寝たくない」(完成稿)
①泉ころろんさん「繊細だけど、優しい君へ。」(完成稿)

今日は寝たくない | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

繊細だけど、優しい君へ。 | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 

左「今日は寝たくない」病院へ行きたくないお兄ちゃんが変な夢を見る話。
右「繊細だけど、優しい君へ。」友だちのエピソードを主人公がその友達への手紙の形で語りおろす話。

 絵柄がかわいくて雰囲気がよい。ただ、話の説明はもっと丁寧さが欲しい内容。講評回ではたびたび画面の白さを指摘されていた。「今日は寝たくない」ではだいぶ画面が良くなっている。

 

 

86位
⑨晃てるおさん「期限切れのデートプラン」(紙完成稿)
⑩晃てるおさん「そんなに嫌いじゃない」

そんなに嫌いじゃない | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 

左「期限切れのデートプラン」女性とのデートで勇気を出して告白する主人公だったがうまくいかない話。
右「そんなに嫌いじゃない」嫌われがちの体育の岡野先生の話。4p。

 基本的に物事がうまくいかない。しかし、読んでいてどこかホッとする。現実とフィクションをあまり区別しないような作風。教室のマンガとしては珍しい。

 

 

85位
⑧泉ころろんさん「絵はかわいい」(完成稿)

絵はかわいい | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

作者のエッセイマンガ。ひらめき☆マンガ教室の講評で「絵はかわいい」と度々言われることを自虐的に描いている。

 画面がすっきりしていて少ないページだが悪くないマンガ。ただ、オチは投げっぱなし感がある。

 

 

84位
森紗はるきさんの教室のマンガ感想

【ひらめき☆マンガ教室】課題1ネーム感想【第5期】|森紗はるき|note

制作生として毎回の課題も提出していた森紗はるきさんが、他の生徒の作品について感想を残している。課題1から課題5まで計5回の感想がアップされている。

 聴講生が感想を残すことはあっても、制作生が継続的に感想を書くことはいままであまりなかった。漫画だけでなくそれ以外の活動の部分も精力的な人がいると、見ているこちらも気が引き締まる。活気があって大変良い。

 

 

83位
森紗はるきさん「フライング・ペンギン」(完成稿)

フライング・ペンギン | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

学校のコンクールに向けて頑張る主人公が、ペンギンをまぢかで見て絵を描くことの楽しさを思い出す話。

 マンガとして整った感じがあるが、実は作画を複数人が担当して作っている。よく見てみると胸の大きさなどが違っている。教室では「完成させることが大事」といつも言っていて、実際この作品は、手が足りないところに人の協力を仰いでいることは好ましい。

 

 

82位
⑦山本美容室さん「九十九年目の投身」

九十九年目の投身 | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

関東大震災の直前、女が持ちかけた主人公との心中は災害によってはたされなかったが、その約束が現代で希望的な形で達成される話。画像は現代の女のシーン。全40p。

 こうの史代の「夕凪の街/桜の園」から毒を抜いて下町感を足したような作品。生まれに苦悩した女が生まれ変わって家族を持っている、という流れがよい。ちなみに、教室の課題としては規定の16pを大きく上回る40p。教室では公式には講評されなかったとのこと。
 ネームのポテンシャルはとても高いが、完成像が想像しづらい。読む人が読めばもっと評価が高いものだと思う。

 

 

81位
⑤小林煌さん「クチナシの花を君に」
②小林煌さん「無限残機0(ゼロ)の勇者」

クチナシの花を君に | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

無限残機0(ゼロ)の勇者 | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 
左「クチナシの花を君に」いつも一緒のお兄ちゃんは実は…というホラー漫画。
右「無限残機0(ゼロ)の勇者」魔王軍幹部の主人公と不死身の勇者との出会いと絆を描く話。

 型があって読みやすい。マンガの体力を感じる。ただ、内容的にはそれぞれの話にもう少し話のフックがほしい。
 ちなみに「クチナシの話を君に」は、ちょうど8月に描かれた。夏だからホラーを、という読者へのサービスだったと思うが、意外と印象に残っている。

 

 

80位
①中西ゆかりさん「ヤクザから出世を約束された男」(完成稿)
④中西ゆかりさん「隣のフルハウス

ヤクザから出世を約束された男 | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

隣のフルハウス | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 

左「ヤクザから出世を約束された男」ボッタクリ飲み屋に引っかかった主人公が事態を何とか乗り切ろうとする話。
右「隣のフルハウス」イギリスの留学生アパートで中華料理をふるまう中国人のジュリーと主人公が仲良くなる話。

 キャバ嬢やボーイやヤクザ、フルハウスの学生などサブキャラがよい。世界観がある。ただ、セリフが読みづらいのが惜しい。

「隣のフルハウス」1p。冒頭からの細かい文字は基本的にはマンガとして好ましいとは言えない。

 

 

79位
⑨千住ちはるさん「帰りみち」(紙完成稿)
⑧千住ちはるさん「オレが娘でオレはオレで」

オレが娘でオレはオレで | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 

左「帰り道」幼稚園の帰り道で泣き出すうーちゃんとそれを見守るお父さんの話。
右「オレが娘でオレはオレで」うーちゃんの身体に意識が入ってしまったお父さんの話。

 両作品ともうーちゃんの話を違う角度で描くことを試している感じがする作品。ただ、とくに「帰り道」はちょっと惜しい感じ。

 

 

78位
ひらめき☆ゲリララジオ感想を読む!シリーズ「感想を読む!」

大塚陽也のひらめき☆ゲリララジオ第8.5回|課題1の感想を読む! - YouTube


ひらめき☆マンガ教室マンガ感想ラジオ、ひらめき☆ゲリララジオのコーナーの一つ。作品ではなく、作品の感想文を読む。画像は課題6の感想を読む回。

 大塚がただひたすら他人の感想の文章についてコメントする配信。その中で感想先のマンガの見え方が改めて客観的に見えるようだ。ただ、やってる本人にもこれがいったいなんなのかはよくわからない。でも、面白いはず。

 

 

77位
④いとしろ たかやさん「珈琲とシュガー」(完成稿)

珈琲とシュガー | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

茶店の店員の主人公の元に毎日やってくる男性が、ひょんな勘違いの末に主人公に告白してくる話。

 この作品に関しては、実はネームの方がよかった。ネームでは男性キャラが生き生きして感じられる。

 

6pのネーム(左)と完成稿(右)。右の完成稿では1コマ目の男性がやや引きのカメラで映されるが、左のネームでは男性の気持ちに寄ったカメラになっていることがわかる。

 キャラクターの課題として良い回答をしていると思ったネーム。(なので完成稿は、作画の出来も含めて惜しかった。)

 

 

76位
④qjinさん「竹取物語」(完成稿)
⑤qjinさん「G」(完成稿)

竹取物語 | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

G | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 

左「竹取物語」竹から生まれたかぐや姫をアイドルとしてプロデュースする翁の話。
右「G」全人類(男性)が射精を禁じられたディストピアでおじいさんが自慰テロを起こす話。

 良くも悪くも話が突飛。正直よくわからないところもあるが、おもしろい。

 

 

75位
⑨葉野 赤さん「Story writer」(紙完成稿)
⑦葉野 赤さん「カクニン」(完成稿)

確認はいらない | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 

左「Story writer」小説を書くクラスメイトの市川を気に入った主人公がその小説が亡くなった家族のために描かれていたことを前に思いがけない言葉を口にする話。
右「カクニン」会社の先輩と後輩が喫煙所でイチャイチャする話。

 絵の塗りがいい。この作画だったらさらに色々出来そうな感じがある。特に「Story writer」は内容的には惜しい。

 

 

74位
③鷹鯛ひさしさん「見たくない顔」(完成稿)
⑧鷹鯛ひさしさん「みどりのおじさん」(完成稿)

見たくない顔 | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

みどりのおじさん | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 

左「見たくない顔」暴力沙汰で2年間刑務所にいた会社の元先輩とばったり会ってしまった主人公の話。
右「みどりのおじさん」エッセイ風漫画。緑色の服ばかり選んでいたことに気づいた時の出来事の話。

 幅のある内容の二作品だがどちらも落ち着いた雰囲気がある。ただ「見たくない顔」に関しては少しキャラの心の動きが掴みづらい。少し窮屈な読後感。

 

 

73位
②降原さん「look at the sky」
⑤降原さん「忍ちゃん」

Look at the Sky | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

忍ちゃん | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 
左「look at the sky」幼少期に病院でよく一緒にゲームをしていた女の子と主人公が再開を果たす話。
右「忍ちゃん」女の子の服を着たら実は可愛かった男勝りな主人公がクラスメイトの女子に百合関係へと堕とされる話。

 マンガ的に楽しませる演出をしてくれている。ただ話の流れにはもう少し整理がほしい。とはいえ女の子に気合が入っている点はポイントが高い。

 

 

72位
①nonakaさん「入り船に良い風」(完成稿)
③nonakaさん「瞬き」(完成稿)

瞬き | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

入り船に良い風 | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 

左「入り船に良い船」職場の喫煙スペースでの交流がまだ失敗も多いアニメーターの主人公の気持ちを整理させる様子を描いた話。
右「瞬き」透明な体をした高校生の自分たちの夢を見た話。

 一つ一つの絵が丁寧。組織や村といった社会を直接描く内容がいい。ただ、主にコマ割りとセリフ量の多さに、画面にごちゃごちゃした印象がある。

左「入り船に良い船」8p。飛び降り願望をポロッとこぼした主人公が先輩に心配され諭される場面。組織の中で人が人であるワンシーンを描いている感じがある。

 

 

71位
⑥かわじろうさん「正造と九太郎」(完成稿)
①かわじろうさん「よりみち」(完成稿)

正三と九太郎 | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

よりみち | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 

左「正造と九太郎」妻を亡くした正造が、娘から預かったインコの九太郎との生活の中で心を少し回復する話。
右「よりみち」会社の通勤途中に河原でボードで遊ぶ人々を見かけた主人公が、会社を休んでボードによりみちした話。

 ちょっとしたいい話を読ませてくれる。作画的にもムリがなく、読みやすい。特に「よりみち」はネームからの修正がえらい。ただ、オチは投げっぱなし感がある。

 

 

70位
⑥よこうたださん「きょうの犬ごはん」(完成稿)

きょうの犬ごはん | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

実家から預かったが犬があまり餌を食べないので、主人公がわざわざ料理をして餌を用意する話。

 絵は拙いがお話としてしっかりしている。読後感がよい。また、作者のよこうたださんそれまでの作品との落差があり、余計に良い作品に見えた。

 

 

69位
②いとしろ たかやさん「紺野君は閉じ込めたい」(完成稿)
①いとしろ たかやさん「大人になったら」(完成稿)

紺野くんは閉じ込めたい | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

大人になったら | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 

左「紺野君は閉じ込めたい」同僚の男性に監禁されるもそれをむしろ喜んでしまう主人公の話。ギャグラブコメ
右「大人になったら」近所にすむマコト先生をまっすぐ恋するカナちゃんによって二人の関係が少し前に進む話。

 両作品ともボリュームがあって、メジャー感がある。ただどちらも、あともうちょっと丁寧さが欲しいかなと思う。
 特に「大人になったら」は個人的には、関係性の変化がきちんと描かれているので評価が高い作品の一つ。

 

 

68位
①とみたさん「幸福こわい」

幸運こわい | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

奇跡的に一命をとりとめた主人公が、受け止めきれずにいた自身の幸運を他人への感謝に還元していこう、と考え至る話。

 作者の実際の体験をもとにした作品。重い題材を正面から扱っている。マンガ的にも非常に読みやすい。ただ、お話としてはなにか腑に落ちない感じもする。

 

 

67位
①あさかたこれ太郎さん「みなそこにねむれ」

みなそこにねむれ | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

体に巣食う蟲の存在によって人類が侵食されつつあるディストピアで、主人公やその友人が日常を過ごす話。

 内容はよくわからないが画力がすごい。初見では圧倒される作品。ただ、やはり内容はよくわからない。

 

 

66位
はとむぎさんの感想文

はとむぎ|note

教室の受講生ではないはとむぎさんがひらめき☆マンガ教室の課題5,6の作品について感想記事をあげている。画像は最初に投稿された課題5の感想記事のもの。

 教室を受けていない方がこれだけ丁寧に感想を書くこと自体珍しく、教室の作品にとっては本当に助かること。ただ、教室の生徒からはあまり反応がなかった様子。結果的にその後の課題の感想はあがっていない。
 感想はそれを言ってみようかどうしようかという判断自体がコミュニケーションによるもの。自然発生して自然消滅した、みたいなものでは決してない。来年以降のひら☆マンでは、なにか力の入った感想があった時に似たような出来事が起きないとよい。

 

 

65位
⑦⑨qjinさん「聖痕」(完成稿)(紙完成稿)

聖痕 | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

SM調教師の女とメンタルクリニックの先生の話。お互いがお互いに女王と豚、医師と患者として別々の場所で別々の立場で対峙する。

 人間の本質をあぶりだそうとするような作品。面白い作品だが、これをどう受け取るとよいのかはイマイチ掴みづらい。

 

 

64位
⑩御園ほけさん「テレビと父」
②御園ほけさん「キレイな爪」

テレビと父 | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

キレイな爪 | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

  

左「テレビと父」父親との距離を感じていた主人公が深夜に父親と一緒にテレビを見る話。
右「キレイな爪」ネイリストの主人公の元に、昔主人公のせいで手に傷を負った女性が訪ねてくる話。

 現実の出来事のようなお話。嘘っぽさがない。ただ、少し話がぼける部分がある。

 

 

63位
②はねむらさん「ハム部」(完成稿)
①はねむらさん「おひっこし退去費用バトル」

ハム部 | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

おひっこし退去費用バトル | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 

左「ハム部」高校に入学した主人公がたまたま見つけたハム部で変わった部長に勧誘され入部する話。
右「おひっこし退去費用バトル」作者の引っ越しでのトラブルの実体験をコミカルに描いた話。

 普通に面白いし、少し変な要素を入れているところがいい。特に「おひっこし退去費用バトル」は、実体験をもとに面白おかしく客観的に話を描けている。これは実は難しいこと。

 

 

62位
⑨小林煌さん「夢喰い獏と夢見る少年」(紙完成稿)

千年間封印された憎しみを抱えた獏の妖怪が、少年の美しい夢の世界に迷い込んだことで浄化され、その少年を虐待していた父親を懲らしめて少年とバディになる話。

 作画が気合が入っていて絵的な読みごたえがある。一方、ファンタジー部分の説明は急で、作品世界に入りづらいような印象。

 

 

61位
④たにかわ つかささん「がんばった日」(完成稿)

がんばった日 | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト


彼くんと同居する女の子が、家の中でどんな一日を過ごしているのかを描いた話。

 テーマがある作品。この話の前提になっていることがある印象。

 

 

60位
⑦あさかたこれ太郎さん「なんとなくの今日のために」

なんとなくの今日のために | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト


隕石がおちて不思議な現象が起こるようになった町で生まれ育った主人公が、自分と接点を持った戸黒くんと仲良くなり、そして別れる話。

 課題1の「みなそこにねむれ」をブラッシュアップしたような作品。説明が丁寧になった。ただ、どういうお話しとして読ませたい作品かはイマイチ掴みづらい。

 

 

59位
⑦⑨いとしろ たかやさん「ストーカーとオタクギャル」(完成稿)(紙完成稿)

ストーカーとオタクギャル | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト


クラスの男子と互いに互いの秘密を共有することになったことを煩わしく思う主人公だったが、男子の懸命な態度によって助けられたことで、二人の関係が進展する話。

 大衆受けしそうな設定やキャラクターを選んで、展開したいストーリーを作っているところがいい。ただ、この内容だともうちょっとマンガ的に上手に描かないと意図通りに伝わらないかも。
 ちなみに、ウェブで読むよりも紙で読んだ方がこの作品がどういう作品かわかる。紙映えする作品。

 

 

58位
④降原さん「時を彷徨うショーヘイ」
⑥降原さん「ナマケミオ」

時を彷徨うショーヘイ | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

ナマケミオ | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 

左「時を彷徨うショーヘイ」ショーヘイをからかう友だちとからかわれた末に今が2045年だと本当に信じるショーヘイの話。
右「ナマケミオ」グータラ過ごす大学生の主人公の元にしっかりもののナマケモノのケミオ君が派遣されてくる話。

 読んでる方を楽しませたり、良い話を良い話として読ませようとしたりする。ちゃんとしている。ただ、話の世界観が両作品とも少しわかりづらいところがある。

 

上「時を彷徨うショーヘイ」12p。作品の感想では「この家族は宇宙人かと思った」など戸惑う感想もあった。下「ナマケミオ」左9p、右10p。ケミオ君は現実のナマケモノでないことはわかるが、かといってファンタジーというわけでもなさそう。

 

 

57位
②とみたさん「約束と尊厳」

約束と尊厳 | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト


かつて孤児院を抜け出すために自分たちをイジメていた少年らを殺害したエヴァンの元に、共犯だったユージーンが戻ってくる。しかしユージーンは実は…という話。

 サスペンスホラーで型がはっきりしてよい。しかし、若干話の流れが掴みづらいところが気になる。完成して説得力が生まれていたらずいぶん印象が違うはず。

 

 

56位
⑨鷹鯛ひさしさん「言いたい!」(紙完成稿)


社内恋愛をしているカップルの男性が二人の関係を会社の人間に伝えることにかこつけて、女性にぐいぐい迫っていく話。

 美人でもなくイケメンでもないふたりのありふれた恋愛をきちんとキャラに乗せて描くところがいい。ただ、話のまとめ方が弱い。

 

 

55位
⑩滑川王手さん「さしずめあかなめ」
⑤滑川王手さん「月下美人」(完成稿)

さしずめあかなめ | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

月下美人 | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 

左「さしずめあかなめ」あかなめを生業とする一族の主人公がその血との葛藤のなかで苦悩し成長する話。
右「月下美人」別れた妻との間にわだかまりを抱える主人公がその元妻とともに月下美人の開花に立ち会う話。

 どちらも普通に面白くクオリティが高い。ただ、「月下美人」はなんだかちょっと男性が怖かった。

 

 

54位
合同誌3誌インタビュー

  
例年の講義課題である合同誌レースの冊子に掲載されたインタビュー。それぞれ、A:中山墾さんと静脈さん、B:大井さん、C:由田果さんのインタビューを掲載。

 デザインがめちゃくちゃいい。内容もいい。普通にどれもいい仕事をしている。欲を言うなら、これだけ熱量があるならどこかに解説があったらよかったのかもしれない。特にAとCは単品では文脈が若干掴みづらいところがある。

 

 

53位
①吉田屋敷さん「飛んで五十年」(完成稿)

飛んで五十年 | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト


曾祖父が書き残した戦争についての手記を見た主人公が、その曾祖父の手記を受け継ぐべき者はこうしてマンガ描きをしている自分なのだと受け取る話。

 きわめて個人的で具体的。題材としてよい。ただ、曾祖父の手記の受け取りがはたしてこれでスッキリ描けているのかという疑問も残る内容。


11p曾祖父の手記の年表を主人公が発見するシーン。曾祖母が亡くなった年が描かれているが、そのことから主人公が何を考えたのかは読み取りづらい。

 

 

52位
⑧小林煌さん「整体の先生に、いい座り方を教わったのでお知らせします。」(完成稿)
①小林煌さん「おばあさんを助けたら、ウォンバットになっていました。」

整体の先生に、いい座り方を教わったのでお知らせします。 | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

おばあさんを助けたら、ウォンバットになっていました。 | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 
左「整体の先生に、いい座り方を教わったのでお知らせします。」整体の先生から教わった座り方を伝えるエッセイ風マンガ。
右「おばあさんを助けたら、ウォンバットになっていました。」トラックで引かれてウォンバットとして異世界転生した主人公が最終的に人間に戻ることを選ぶ話。

 両作品とも流行るものをちゃんと選んでいる。特に後者は、異世界転生だけど最後は現実に戻るという流れが面白い。

 

 

51位
⑩山中美容室さん「そのカバかむよ」
①柿谷孟さん(※現、山中美容室さん)「雨正月」

そのカバかむよ | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

雨正月 | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 

左「そのカバかむよ」暮らしに疲れた主人公が下町でたまたま出会った町中華屋の料理娘と仲良くなる話。
右「雨正月」高校の時親しかった友人と10年ぶりに再会した主人公が友人の変化を前に寂しさを覚える話。

 雰囲気がいい。どちらも時間を経過させる演出がうまい。これは完成したところを見たかった。

 

 

50位
⑧滑川王手さん「ビデオボックス・メモリーズ」(完成稿)
②滑川王手さん「低級霊羽衣びわゆきの恋」(完成稿)

ビデオボックス・メモリーズ | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

低級霊 羽衣びわゆきの恋 | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 
左「ビデオボックス・メモリーズ」ビデオボックスでの思い出を主人公が語りおろす話。全4p。
右「低級霊羽衣びわゆきの恋」弟を助けるために死んでしまったが幽霊となって帰ってきた主人公びわゆきが、好きな女幽霊にアプローチするため弟と共に画策する話。

 どちらも面白い。スカシた感じがないところがストレスがなくていい。ただ、作画については物足りない人もいるかも。
 「低級霊羽衣びわゆきの恋」はネームから完成稿への修正もよい。良い修正を見ると、リアルタイムで読んでいてよかったという気持ちになる。

 

 

49位
⑨大久保どんぶりさん「DEADLINE of the dead」(紙完成稿)

ゾンビ化する感染症が蔓延した世界で、感染してしまったコンビニの店長を、コンビニ店員の主人公が店長への恩とともにフルスイングする話。SFパンデミックもの。

 ゾンビもの。ネトフリとかにありそうな話。ジャンルがはっきりしていて気楽に読める。ただ、せっかくならこの世界観をもう少し広いスケールで味わいたかった。

 

 

48位
②森紗はるきさん「いちれいチャンネル」(完成稿)

いちれいチャンネル | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト


れいちゃんと流れでユーチューバーをすることになった主人公が、流されるだけではダメだと意を決して、正面から好きだと伝える話。

 等身大の思春期の青少年を描いた、読んでいるこっちが照れるようなお話。オチ付近はちょっと味付けが物足りない感じはする。「思ったことをすなおに表現することは難しい」というベタなフレーズを、作品のメッセージとして繰り返すところがいい。

 

 

47位
③中西ゆかりさん「夢はあきらめたけども」(完成稿)

夢はあきらめたけど | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

中西ゆかり on Twitter: "完成稿を見直したらなぜか6Pと8Pが落ちててショックがでかいです。一応描いてたアピールを。 https://t.co/v5V2Ttstym" / Twitter

アイドルをやめて就活をしているという中川久美の面接をする主人公が、中川の事情を聴き彼女に面接のアドバイスをする中で、互いの接点を感じていく話。

 二人の仕事と関係が交差する様子がよい。辛いとか悲しいとかではなく、味わいがあるお話。講評回で鶴谷さんが「12pは私なら『私と逆ですね』ではなく『私と同じですね』にすると思う」と話していたことが印象的。

完成稿12p。4コマ目「なら、私と逆ですね。」が講評回で話題になったセリフ。

 

 

46位
⑦⑨つりばし わたるさん「隣の女子大生にオタ活がばれてマンガを教えることになった件」(完成稿)(紙完成稿)

隣の女子大生にオタ活がばれてマンガを教えることになった件 | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

隣の家の女子大生に自分の昔描いてた同人マンガを発掘された主人公が、励まされて漫画の描き方を教えることになり、トラブルの末に一緒にマンガを描くことにする話。

 話の流れがきれいな作品。恋愛を描くかと思いきやトラブルとその解決を描いている。地に足が付いている。

 

 

45位
⑥小林煌さん「助けて☆ハムスター!」

助けて☆ハムスター! | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

とある編集部記者として働く主人公がショッピングモールで活躍するペットショップでの売れ残りハムスターを取材し、自身のトラウマが動物に対する気持ちとともにほぐれることを感じる話。

 作画の落ち着いた感じと内容の重さとがよくかみ合っている。ただ、主人公の迷子のトラウマの描き方はバランスが悪いようにも感じる。現実っぽい出来事の中でも特に固有の出来事を描こうとする作品は印象に残る。

 

 

44位
①降原さん「カノンノさんがくる」(完成稿)

カノンノさんがくる | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

降原 on Twitter: "頼んでもないのに突然メイドが家にやってきたけどメイドですら無かった話(1/4) #メイドの日 #漫画が読めるハッシュタグ https://t.co/sjiOt3yeOe" / Twitter

インテリアにハマり始めた降原の元にお部屋サポートとして派遣されたカノンノさんが、降原のインテリアの扱いを酷評していく話。

 オチまで気を抜かないメリハリのある演出がいい。色んな意味で気合を入れて描いていることがわかる作品。
 ちなみに、作者の降原さんのツイッターではこれを改めて修正したものがあがっている。講義で実際に指摘された箇所などを修正して、マンガを改めてツイッターで投稿している。

 

 

43位
⑩たにかわ つかささん「決めらんない。」

決めらんない。 | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

外食中、物事がうまく決められない女の子がそのことを彼氏に指摘され、思わず店を飛び出していってしまう話。

 テーマ性を持っている作品。ただ、作品がそのテーマにうまく答えられているかはわからない。

 

10p(左)と14p(右)。問い詰められて逃げてしまった女の子にチョップであいさつする彼氏と最終的には甘える主人公。関係にリアリティを感じる一方、女の子の悩みを問題にした二人の関係はそのままになってしまった感じがある。

 回答を出すのに苦戦している様子はあるが、読み手を考えさせる力がある作品。

 

 

42位
①森紗はるきさん「愛川さんはアートディレクター」(完成稿)

愛川さんはアートディレクター | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

アートディレクターの愛川さんに助けられる入社二年目のデザイナーの主人公が、愛川さんの仕事の秘密を知る話。

 シンプルな絵柄だが、統一感があって読みやすい。課題1の自己紹介マンガとしても、適度に自己紹介の内容を盛り込んでいる。バランスが良い作品。

11p、主人公のデザイナーの仕事の描写。リズム感がある。ちなみに作者の森紗さんもデザイナーをされているとのこと。

 講評回では「数日しかない締め切りに合わせて作画を簡単にした」という本人の説明に、講師陣からの評価が上がっていた。

 

 

41位
⑩谷なすびさん「ハートパンツの彼女」(完成稿)

test2 | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

風邪で朦朧としている中、パンツを見せてくる女子が忽然と現れる夢を見た主人公の話。

 夢マンガ。余裕のある画面と夢×性の雰囲気の兼ね合いがいい。作者の谷なすびさんは、これ以前にも夢や性がテーマの作品は描いていたが、その中、なるほど直球で来た!と感心したマンガ。

 

 

40位
⑦鷹鯛ひさしさん「しんりけん」(完成稿)

しんりけん | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

女性のサークル勧誘にふらふらとついていった新大学生の主人公が、怪しいサークルとわかってそそくさと逃げ帰る話。

 全体的にくだらない話が続いていていい。主人公の服装や女性のニュッとした感じなどが特徴的。

 

 

39位
⑨かわじろうさん「ミニチュアとベンチ」(紙完成稿)

恋をする内気な主人公が、自分の趣味の作品作りに共感する友人に出会って前向きになる話。

 他と同じくモチーフや演出がよい上に、かわじろうさんの作品の中ではより広い読者を意識した設定で、手に取りやすい。他の作品に慣れいていると、逆にスッキリしすぎに感じられるかもしれない。

 

 

38位
⑨よこうたださん「ロフト・イン・トランスレーション」(紙完成稿)

梯子が外れてロフトから降りられなくなった主人公が、ロフトの中であれやこれやと考えを巡らせた末に飛び降りる話。

 気が抜ける話。意外と「彼女に買ったケーキを思い出して飛び降りる」内容が真面目な内容で、ギャグに対して効果的。主人公がもぞもぞしたりポエムが出てきたり、狙った演出がうまく働いている。読んでいて気分がいい。

 

 

37位
11月27日コミティア142合同誌レース/ひらめき☆マンガ教室コミティア公開授業11月

大井昌和×さやわか「ゲンロン ひらめき☆マンガ教室 お試し版!」(2022年11月27日、COMITIA142) - YouTube

27日コミティア142では、ひらめき☆マンガ教室が合同誌売り上げレースを行い、自動的にメンバーを振り分けられたABCチームが互いに冊子を作り売り上げを競った。

 現場では、販売所のすぐ隣で講義が行われ、その横では期に乗じてオフ会をする読者がいたりと、祭り感があった。当日の様子や合同誌への反応などはツイッター上でも散見された。合同誌の購入報告やひら☆マンへの注目など、いつも以上に広い読者からの反応があることがわかる。
 開放的な空間でのひら☆マンの講義に熱が入っていた。生で見ると迫力がある。合同誌の販売では、販売をきっかけに作者と読者の交流が生まれたりしていた。とてもよい空気だった。

 

 

36位
⑨あさかたこれ太郎さん「リインカーネイション」(紙完成稿)

その力によって滅びたとされる国とともに物語として語られる、万物創造の力を持つエレンディラとよく似た少女が、その物語を読んだ男によってその伝承の洞で発見される話。

 評価が難しい作品。最後の2ページが地に足が付いていていい。一方、ところどころ話として必要性がわからないような描写も見える。ただ、やはり作画は素晴らしい。

 

 

35位
⑩nonakaさん「リタリーマン」(完成稿)
②nonakaさん「私を忘れないで」(完成稿)

リタリーマン | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

私を忘れないで | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 

 

左「リタリーマン」正体のわからない怪物と少年によって動きロボ、リタリーマンとの戦いに巻き込まれる少年たちをただ見ていることしかできない主人公の話。
右「私を忘れないで」田舎を出て看護師をする主人公がかつて地元を出ていく際友人との間にあった出来事を思い返す話。

 世界観もよくメッセージ性がある。若干、情報が多い感じもあるが内容も作画も良い。nonakaさんはこれらの作品以外も、人の無力感や思春期の心の浮き沈みをよく扱っている。似た題材を違うストーリーで展開するやり方。

 

 

34位
⑧たにかわ つかささん「変温動物のきさらぎ先輩」(完成稿)
③たにかわつかささん「照れさせてくる照島さん」(完成稿)

変温動物のきさらぎ先輩 | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

照れさせてくる照島さん | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

たにかわつかさ on Twitter: "#ホメバコ 照れさせてくる照島さん1/4 https://t.co/W2fzXsmMLm" / Twitter

 

左「変温動物のきさらぎ先輩」自分は変温動物だというきさらぎ先輩が田辺くんに密着してくる話。
右「照れさせてくる照島さん」主人公が照島さんに主に性的にからかわれる話。

 

 「からかい上手の高木さん」的なマンガのシリーズ。特に「変温動物のきさらぎ先輩」は4pながらあまりいやみがなくてスッキリしている。講評や受講生からは、両作品ともセクハラ感があると言われたらしい。男性へのセクハラだというのが少し面白い。
 ちなみに「照れさせてくる照島さん」はその後修正したものが作者のたにかわさんのツイッター上にあがっている。コミックドラゴンエイジツイッター月例漫画賞#ホメバコで銅賞を取ったそう。

 

 

33位
②あさかたこれ太郎さん「異世界転生したらキンタマを蹴られに蹴られて奪われた件」

異世界転生したらキンタマを蹴られに蹴られて奪われた件 | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

水曜日のシリウス十(じゅう) 異世界転生したらキンタマを蹴られに蹴られて奪われた件 / 月刊少年シリウス編集部 - ニコニコ漫画

水曜日のシリウス十(じゅう) - 水曜日のシリウス十(じゅう) / 【特別読み切り】異世界転生したらキンタマを蹴られに蹴られて奪われた件 | マガポケ



異世界転生した主人公が異世界キンタマを執拗に狙われ理不尽に巻き込まれながら、人を救いつつ何とか生還する話。

 ドタバタマンガで頭を空っぽにして読める。ただ、執拗に主人公がいじめられるところはかなりくせがある。ちなみに「水曜日のシリウス十(じゅう)」にも掲載されている。そっちでよむとまた感触が違うかも。

水曜日のシリウス十(じゅう)はニコニコ静画で読める。「じゆうな表現を楽しめる」をコンセプトに読み切りのマンガが毎週更新されている。

 ニコニコ静画のコメントでは玉石混合、様々な意見がついている。普段教室のマンガには多くのコメントはつかないので、一回のぞいてみると面白いかもしれない。

 

 

32位
⑥はねむらさん「夢子ちゃんはかわいい猫がいい」(完成稿)
③はねむらさん「つくも神の扇子さん」

夢子ちゃんはかわいい猫がいい | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

つくも神の扇子さん | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 

左「夢子ちゃんはかわいい猫がいい」お母さんが拾ってきたブサイクな猫とそのブサイクさにショックを受ける夢子ちゃんが、コミュニケーションを通じて少しだけ距離を縮める話。
右「つくも神の扇子さん」「彼女にしてほしい」と家にやってき扇風機の付喪神の扇子さんと、うっかりラブコメをする話。

 女の子がかわいい。しかもそれ以外の変な要素も取り入れている。

 

左「夢子ちゃんは可愛い猫がいい」2p。可愛い女の子にブサイクな猫をあえてぶつける勢いを感じる。右「つくも神の扇子さん」12p。扇風機だから首が回ってキスに失敗するという予想外のオチ。

 マンガの質と作者のやりたいこととのバランスがコントロールできる作風だから、変な要素をストレスなく入れられている印象。

 

 

31位
④滑川王手さん「高橋の消しゴム」(完成稿)

高橋の消しゴム | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

なかなか女子に告白する勇気が持てず、勇気を奮うため尻叩きをしてもらうことになった高橋が、その中で変貌をとげ、しまいには消しゴムへと流転してしまう話。

 意味は分からないが勢いによって読んでしまう。細かい言葉選びなどが凝っている。意外と印象に残る作品。初読ではそこまでいいと思わなかったが頭から離れない。「恋愛とは魂すら賭けるものである」という勢いを受け入れてしまうからかもしれない。

 

 

30位
聴講生のたけっちさん原作、作画:うろ マンガ「ウソツキハナチャン」 コミケ101販売

ウソツキハナチャン【DL版】 - たけたけオチャドゾーズ - BOOTH

虚言壁のあるコアラみたいな鼻をしたハナちゃんの嘘をなんとか現実のものにしてきた主人公だったが、ハナちゃんの嘘が次第に大きくなってゆき、二人の関係が崩壊してゆく話。全102p。

 まず、今まで全くマンガを描いたことのない聴講生の方が、教室に触発されてマンガの原作をやってみたということがよい。内容も深みがある。セカイ系的なダークな雰囲気。ふたりの関係を壊すことになるおじさんの正体が全く語られないところもいい。
 個人的には、主人公の助けがなくなった後のハナちゃんがどうなったのかが読んでみたかった。

 

 

29位
⑤葉野 赤さん「野火」(完成稿)
⑩葉野 赤さん「熊」(完成稿)

野火 | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

熊 | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 


左「野火」女友達との部活帰り途中山火事を見かけた主人公がその女友達への恋愛感情が燃え上がりつつあることを感じる話。
右「熊」熊の出没を知った主人公が、自分がひそかに慕う相手を友人から暴力的に奪う夢を見てしまう話。

 「山」や「熊」などの畏怖に例えて、他者の想像の仕方や、人が他人への距離感を無意識にどう感じているのかを描いている点がよい。

 

左「野火」4p。右「熊」13p。「野火」では恋愛感情が相手への支配感情を含むことを山火事がキレイに見えてしまうことに例えている。「熊」では人の暴力性がより直接的に描かれている。

 この二つの作品は暴力について暗喩と直喩の関係を持っている。直喩はキレがあるがそれだけ斥力も強い。

 

 

28位
⑨森紗はるきさん「年下幼なじみには絶対勝ちたい!」(紙完成稿)


一つ下で幼馴染のタケルとのゲームで負けたくない主人公ちとせが身体接触でタケルを動揺させて勝つ作戦を実行するが、自分も動揺してお互いに照れてしまう話。

 エネルギッシュでカワイイ観がある作品。マンガ的にも構図・コマ割り・作画など気合が入っている。ただ、オチ付近の結びがバラけた印象があり抜け感が弱い。頑張りはよく伝わってくる。

 

 

27位
⑨谷なすびさん「汚れた手であなたに触りたい」(紙完成稿)
⑦谷なすびさん「ドキドキアクシデント」(完成稿)

ドキドキアクシデント | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 

左「汚れた手であなたに触りたい」ひそかに慕う女の子の捨てたガムを食べてしまった主人公が、その女の子とやりとりする中で暗い恋愛感情を心の内にしまう話。
右「ドキドキアクシデント」車に引かれそうになった主人公が、死の恐怖と異性とのドキドキとの中で混濁していく話。

 どちらもとにかく不穏。恋愛も人生もうまくいく感じがないところに雰囲気がある。モチーフがいい作品。

 

 

26位
⑥吉田屋敷さん「リョータとリョーコとマーモット」
④吉田屋敷さん「YOUNG GUNS

リョータとリョーコとマーモット | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

YOUNG GUNS | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 

左「リョータとリョーコとマーモット」動物園へやってきたリョータとリョーコが、ネットミームのマーモットの叫びが本当かを確かめる話。
右「YOUNG GUNS美大予備校で美大受験のために切磋琢磨する主人公たち。スッとしている服部さんと話す中、主人公が密かに対抗意識を募らせる話。

 「今俺はマンガを読んでいる!」という気持ちにさせてくれるネーム。爽快感がある。

 

 

25位
⑦⑨nonakaさん「タイムライン」(完成稿)(紙完成稿)

タイムライン | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

水泳部のお別れ会で吉岡先輩への思いを抱く主人公が、その笑顔が自分に向けられることのないことの切なさを抱える話。

 なんとなく光景が想像でき、スイスイ読めてしまう。ただ最後、主人公の感情がどうなっているのかは少しわかりづらい。

 

 

24位
制作コースの小林煌さんが作画担当としてマンガ「十三番目の転生者~俺だけ見捨てた女神をぶっ飛ばす!」(原作:日之影ソラ)を異世界ヤンジャンで連載開始

十三番目の転生者~俺だけ見捨てた女神をぶっ飛ばす!~ / 原作:日之影ソラ 漫画:小林煌 おすすめ漫画 - ニコニコ漫画

[第1話] 十三番目の転生者~俺だけ見捨てた女神をぶっ飛ばす!~ - 原作:日之影ソラ 漫画:小林煌 | となりのヤングジャンプ

交通事故によって異世界に召喚された主人公が不必要な13番目の転生者として召喚の女神に切り捨てられ、打倒女神のために這い上がっていく話。

 ニコニコ静画となりのヤングジャンプで読める。教室の受講生が連載をもぎ取るのは一読者としてうれしい。また、実際に作品を読んだとき、商業と授業の課題とでは全然見え方が違う。
 作画や話の作り方がだんだんと良くなってきている。連載は精神的にも身体的にも大変だと思うので、色々人を頼りながら頑張ってほしい。

 

 

23位
⑨吉田屋敷さん「仁愛恋情角姫婚姻譚」(紙完成稿)

鬼のツノが生えたヤクザの娘の主人公が親に言われて恋人探しをするのだが、その実、世話係の鏑木への長年の恋心を募らせていく話。

 力強い作品。同人誌の最初にあって、全体を支えているように感じた。ただ、恋愛の話の締め方が少し急な印象はもつ。

 

 

22位
④葉野赤さん「ゲンコさんの結婚(?)」(完成稿)

あのひとの浮いたはなし | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

かつての勤め先の社長のゲンコさんの結婚報告を見た主人公がゲンコさんを思い返す中、再会する話。

 ゲンコさんがいい。作者の葉野さんの作家性みたいなものがゲンコさんの描き方に表れている。

12p、主人公がゲンコさんに叱られるシーン。現実でベタにこの内容があったらなかなか説教くさい。

 何がよくて何が悪いか、みたいな価値観を作品に乗せるのは意外と難しい。よいキャラクターがいるとそれができる。

 

 

21位
⑦⑨はねむらさん「ギリギリ魔法少女☆ここあちゃん」(完成稿)(紙完成稿)

ギリギリ魔法少女☆ここあちゃん | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

魔法少女(高校3年生)のここあちゃんが、その魔法衣装のギリギリな仕様によって露出壁へと目覚めてしまう話。

 「バカなことやってる~!」って作品。実は素朴にエロに走っているわけではなく、発想に少しひねりがあるところが面白い。エロ描写に関しては、もう少しターゲットに合わせた描写が求められそう。

 

 

20位
⑨俗人ちんさん「ヤンキー修行僧の大狼さん」(紙完成稿)

僧侶になるための加行に参加するマジメむっつりくんな主人公が、素行の悪い女子に雑念を抱く話。

 ふざけていて楽しい作品。マジメむっつりな修行僧のキャラが展開に合っている。が、最後はせっかくならエロに行ってほしかった。作者の俗人ちんさんがなにか掴んでいることを感じた作品。

 

 

19位
⑦⑨滑川王手さん「デッドラインシーパラダイス」(完成稿)(紙完成稿)

デッドラインシーパラダイス | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

締め切りに追われ錯綜しつつある漫画家の主人公が仕事を手伝う小人を捕まえに赴く中、デッドラインの案内人悠々々にデッドラインシーパラダイスへと誘われる話。

 「デッドラインシーパラダイス」がいい。作画も凝っていて、ちょくちょくネタも仕込まれいて楽しい。意外とがちゃがちゃうるさくない。小人の話、デッドラインの謎、男女の関係と、複数の柱があって読みごたえがある。

 

 

18位
⑤かわじろうさん「フォトグラファー」(完成稿)
③かわじろうさん「吉野山の話」(完成稿)

フォトグラファー | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

吉野山の話 | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 

左「フォトグラファー」病に倒れ外へ出歩けなくなった写真家のマミコが絵描きへと転向する、その契機となった瞬間を描いた話。
右「吉野山の話」知る人ぞ知る力士だった吉野山がその強さを手に入れた不思議なエピソードを、見聞録風に描いた話。

 見聞録風の見せ方とその中で展開されるさっぱりした話とがうまくなじんでいる。作品の存在感みたいなものがある。ちなみに「吉野山の話」は講評回だけでなくツイッターなどでも受けがよく、一般読者からの好反応もいくつかあった。

 

 

17位
たけっちさんのマンガ感想配信 /RevinさんのTWOSHOTラジオでのたけっちさんのひらめき☆マンガ教室の報告

【課題1#第5期ひらめき☆マンガ教室】課題提出マンガの事前感想 ~自己紹介を『物語』にしてください~【聴講生たけっち】 - YouTube

【作業用トーク】TWOSHOT #138 ダイエット開始/日常業務/漫画塾を聴講/初の雀荘/中間管理職/下ネタ苦手/食豪遊/吉野家・生娘シャブ漬け問題/たけっち、今年で配信引退を決意?【たけっちさん】 - YouTube


上、たけっちさんのひらめき☆マンガ教室マンガ感想配信。画像は第1回目の配信サムネ。
下、Revinさんがゲストと雑談をするTWOSHOTラジオ。たけっちさんは毎回ひらめき☆マンガ教室の報告をしている。画像はたけっちさんが教室の講義の最初の報告をしている#138のもの。

 普通に内容がいい。さらに、教室のことを客観的に話して伝える、良い活動にもなっている。ひらめき☆マンガ教室の意義からすれば、身内同士だけではない開かれた形で教室の活動は伝播していくべき。難点があるとすれば、文脈が複雑なこと。これはよいことでもあるがコントロールが求められる。

 

 

16位
①くたくたさん「見失いガチ」

見失いガチ | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

2022年の春、就活に失敗して就活浪人をする主人公が店で出会った女子高生と互いの今の悩みを話し合う話。

 現実のコロナとウクライナロシア戦争の話題が作中で出てくる。とても重要なことをしている作品。2022年春当時の現実の鬱屈と、それについての作者の回答が描き残されている。

 
女子高生にとって戦争の位置づけは彼氏とのケンカの原因の一因程度のものだし、主人公にとってコロナや戦争があっても自分は変化しないと思うのは、就活で嘘が付けないことと同じくらいの感覚なのである。
 マンガ的には未完で内容的に楽しいマンガではないかもしれないが、創作によって現実に抵抗する姿勢が見られる作品。人はすぐに物事を忘れる。それは単に対象を忘れるだけではなく、それに対する感じ方をも忘れてしまうこと。物の記憶をまるごと保管することは創作や表現の一つの役割。
 このことは「物語にとって内容が大切なのではなく、その内容をどのようにして表すかこそが重要なのだ」という物語を中心とする創作論に強く関係している。

 

 

15位
⑨御園ほけさん「深夜2時のドライブ」(紙完成稿)

深夜2時のドライブ - 御園ほけ / 深夜2時のドライブ | くらげバンチ

離婚して帰郷してきたバイト先の元先輩と先輩に連れまわされる後輩が、深夜の元職場のドラッグストアで仕事の思い出を振り返りながら、互いの距離を確かめる話。

 20,30代ってこういうものだなーと思える話。こういうマンガがあるとうれしい。一方、下ネタの連呼は照れにも映る。

 

 

14位
⑨泉ころろんさん「プロギャンブラー・メイ」(紙完成稿)

自称プロギャンブルラーのメイが、カジノでイカサマがばれたり運で理不尽に負けたりしながら、それでも頑張ってギャンブルをし続ける話。

 やはり絵柄がかわいい。今回は特に話も演出もいい。今までの泉さんのマンガを知っているとより、よかったねという気持ちになる。
 生徒の成長がはっきりわかる作品は、ひらめき☆マンガ教室のマンガを読む喜びの一つ。何度も作品に目を通すうちに、作家や作品のことが自分のことのように感じられるようになることはうれしい。

 

 

13位
⑨山中美容室さん「地層の女」(紙完成稿)


自称前世が地層の女に下心で接近した男が振り回され、しかたがないので自分の家族の元に帰っていく話。

 回文を使った作中ギミックが凝っている。凝った演出がサラッと流れていて想像以上にクセがない作品。基本がくだらない話なのでギミックも楽しめる。つまり面白い。

 

 

12位
ラジオ Aチームひみつの課外活動

Aチームひみつの課外活動 - YouTube

コミティア合同誌企画の際、Aチームのメンバーが行っていたラジオ。ゲストとして合同誌の書き手を招いてインタビューをしたり、合同誌の内容を紹介したりしていた。

 教室の作り手の顔(表情)が見られた数少ないメディア。また、チームの活動だけでなく、教室全体を盛り上げる雰囲気があった。特に、MCのMt.shivaさんとリーダーのさんばさんのトークのレベルがメキメキと上がっているところは、単に放送としても面白かった。
 細かく言えば、内輪でなく外に開こうというラジオの趣旨が見えた中、人数が増えた時にそのコントロールが効かなくなる瞬間があったのは、内容のブレに映った。
 教室の中では盛り上がっているようでも、外には何一つわからない状況が多い。こういう開かれた場所の存在は、客観的に見て教室の印象を良くしていた。ちなみに、オススメの回は小林煌さんと鷹鯛ひさしさんが出ている第3回と、インタビュー紹介があるコミティア直前の第8回。

 

 

11位
荒井裕太さんの感想/「ひらめき☆マンガ教室の感想について」

ひらめき☆マンガ教室第5期 課題1 感想(ネーム)|荒井祐太|note

ひらめき☆マンガ教室の感想について|荒井祐太|note

 

荒井さんは一読者として第5期のマンガの感想を送っていた方。感想文では、一貫性のある態度と広い視点で生徒のマンガに接していた。

 数少ない教室の外から感想を送っていた人の一人。単に感想をあげていること自体がよいが、荒井さんはもっと積極的で、マンガについての考え方を丁寧に提示していた。
 また、「ひらめき☆マンガ教室の感想について」という記事も書いている。これは考えさせられる内容。荒井さんのひらめき☆マンガ教室のマンガ感想の考え方がまとめられている。


「ひらマン5期の感想を全部書くつもりでいたのに、感想マラソンを脱落した荒井祐太です。」という一文から始まる
 これだけ熱意も考えもあって参加した方が、途中で挫折に近い形でリタイアしていくのは悲しい。これが教室全体にとっての経験になるとよい。

 

 

10位
作品への感想/聴講生のそれぞれの感想文

大塚 陽也(@Tsuka_flamenco)のまとめ(11) - Togetter

おおよそ9名ほどの方が継続して教室の作品に感想を送り続けた。今年は特に記事にして誰でも見られる形で感想を残す人が増えた。画像は課題1の反応をまとめたもの。

 感想が送られることが前提になってきていることが大変すばらしい。第4期の時はここまで感想は多くはなかった。具体的な作者が読む前提で感想を書くのは想像以上に難しい。
 そして、感想も反応を待っている。作品への感想が定期的に送られるためには、感想を送る側と感想を受け取る側の両方の協力が必要。そのことが理解される空気はまだできていない。感想を送るのは種まきみたいなもの。あとからフォローをしたり、適切なタイミングで手を加えたりする必要がある。

 

 

9位
ひらめき☆マンガ教室の各講評回(youtube

各課題ではネーム講評と完成稿講評とが行われるが、そのうち完成稿の講評は教室の受講生以外にも一般公開されている。アーカイブは一週間見られる。

 毎回面白い。しかもタダでアーカイブの形で見れる。ゲンロンカフェなどのマンガイベントを見る層なら間違いなく楽しめる内容。
 講義が面白いということは、つまり土台がしっかりしているということ。手厚いサポートを売りにする中でこれだけ満足感のある講義があることには、教室の本気を感じる。

 

 

8位
①鷹鯛ひさしさん「汚い犬」(完成稿)

汚い犬 | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト


仕事で上司から頭を踏みつけられるような扱いを受けていた主人公が、逆に自分がかつて乱暴をしていた犬のことを思い出し、この状況はいけないと仕事をやめる話。

 すごい話。一度読んだらなかなか忘れられない。
 主人公が暴力に対して冷静になる距離の取り方が、作品が現実の出来事と距離をもった説明をすることとリンクしている。その関係が読みを楽にしてくれる。つまり、作者の方の実体験らしいのだが、それに我々が距離が持てるのはこの作品があるおかげ。直接このエピソードをきいたらなかなか正面からは受け取れないはず。

 

 

7位
⑩かわじろうさん「キツネとターキー」(完成稿)

キツネとジャンボターキー | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

「キツネとターキー」主人公宅で行われるクリスマス会が憂鬱な主人公が、道端でばったり出会ったキツネと入れ替わってしまう話。

 気持ちが温まるようなマンガ。生活の中で必要な作品とはこういうマンガだと思える。「キツネとターキー」はちょうど大塚は12月の頭に疲れていた時期に読んだので、季節感や描いている描写などにダイレクトに癒されて印象に残っている。想定読者がいるというのは、日常のどの場面でマンガが読まれるか、という想定とリンクするものなのではないか。

 

 

6位
⑤俗人ちん「僧侶失格!?」

僧侶失格!? | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

悶々寺に弟子入りした僧侶のむつきが、色々とスキがある師匠の女体を前に煩悩を抑えきれなくなる話。

 くだらないてよい話。突き抜けた感じがある。この作品はくだらないが下品ではない。距離感を図ることが難しいものについてくだらなく描く意義は大きい。

 

 

5位
⑤谷なすびさん「溺れるカッパ」(完成稿)

溺れるカッパ | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト


女の子からカッパと勘違いされた主人公が、勘違いから始まった女の子との間でのやり取りを経て、生きる活力を手にする話。

 説明が難しい話。二人とも愚かだが、愚かな人間同士でもかかわりをもってよくて、その中で相手が溺れたりしたら助ければいい、みたいなことを受け取る内容。コミュニケーションの中で立ち上がれなくなってしまう者に対する回答として読める作品。普通のコミュニケーションの中では回復できない人間の回復方法について、フォロー可能な暴力があるのはむしろよいという内容でもある。

 

 

4位
⑨降原さん「ハイブリッドシェアガールズ」(紙完成稿)

転校して一時は離れ離れになってしまった真咲姫と圭が、マンガ作りの約束を通して再開に至る話。

 ちゃんとしている。個人的にはそこまで興味を持たないが、話の流れも作画もどこに出しても恥ずかしくない出来。これだけちゃんと読者に届くように作られたマンガはなかなか見られない。間違いなく今年のひらめき☆マンガ教室のベストマンガの一つ。

 

 

3位
②吉田屋敷さん「CALL ME」(完成稿)

BOSS THE KJ -「CALL ME」【Official Video】 | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト


ラップで人助けを歌うBOSS THE KJにかつて苦境を助けられた少女が、金もなくてケンカも弱いBOSS THE KJの本物の人助けに再会する話。

 これは大塚が個人的に助けられた、と思った作品。人を助けるのはやっぱり人なんだ、というイメージが持てる内容。これがベスト3というのは、あまり客観的な評価ではないのかもしれない。
 自分なんてだれにも気にかけられないんだ、などとうらぶれていてはいけないと思う。

 

 

2位
大塚陽也のひらめき☆ゲリララジオ

カラメル - YouTube

ひらめき☆ゲリララジオは4月から毎週、今回で51回(感想を読む回も含めると54回)放送された。全作品へのコメントと感想文を読むコーナーが主軸。

 一年間よく頑張った!
 特に、コミティアの合同誌レースで対面でやりとりできたことは大事なことだった。作品を通じて人と人の関係にまでなにか関係が進められたらなあ、というのが素朴な動機が、去年よりも達成できた。
 実はゲンロンカフェでさやわかさんから直接激励をいただいたことがある。そのことで一年間踏ん張れた。さやわかさんには感謝しかない。

 

 

1位
ひらめき☆マンガ教室第5期

ゲンロン ひらめき☆マンガ教室 2022 | ゲンロンスクール

ひらめき☆マンガ教室第5期皆さんご存じ、ひらめき☆マンガ教室第5期。今年も多くの生徒が受講し、そして卒業していく。2月26日(日)には最終課題の提出があり3月11日(土)には最終講評回が開かれる。

 ひらめき☆マンガ教室があるから作品が生まれていて、こうして話すことができる。「ここに旗を立てよう」の精神にみな集っている。旗を立てるという冗談みたいな話がここまで広がってきていることを色んな人に知ってほしい。

 

 というわけでご静聴ありがとうございました!大塚陽也

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