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ひらめき☆マンガ教室 第5期 課題6 ネーム感想 #ひらめきマンガ

すべて感想を書けましたので公開します。掲載順は名簿順です。ツイッターやおたよりフォームなど、反応いただけたら嬉しいです。よろしくお願いします。大塚

最終更新:2022_09_17_13:51

全19作品感想

nonakaさん「犬ばなし」

犬ばなし | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 どういう意図で今回の話を作ったかのは分からないが、爆発オチなんかを見るとちょっと今回のお題に困ったのかなと思った。話に場当たり感があって読んでいてあまりおもしろくはない。ただ「不良の二人が犬の可愛さで意気投合し同じ理由でケンカするが、犬の可愛さにケンカが止まる」というアイデア自体は悪くないと思う。不良の二人がどういうやつらなのか、もうちょっと設定があると話が好転するように思う。ただ、どういう形であれネームを出していることが偉いと思うので、そこが今回は良いと思う。

 

aokiさん「デブネコ」

デブネコ | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 この作品はネコの動きの緩急がとてもよくかけていて、その点最初に見たときは今回の課題の中でも一番よいとすら思ったのだが、ただ、マンガとして読むと画面の変化に乏しく、それぞれの場面を切り取った時にどういう状況での出来事なのかがわかりづらいところが惜しいのかなと思う。これだと絵コンテなのであって、マンガの持つのメリハリがないというか。選ばれている形式のミスという感じがし、内容的には良いと思うだけに惜しい作品だ。

 

あさかたこれ太郎さん「ねこのカタチをしたナニカ」

ねこのカタチをしたナニカ | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 この作品のネコはほとんどネコ型クリーチャーといって差し支えないように思うが、本来的にはクリーチャーとしてのかわいらしさと動物としてのかわいらしさは違っているようにも思える。内容的にはこれをどうやって受け取るとよいのか自分にはよくわからなかったが、マンガ的には全く過不足ないと思う。
 蛇足だが、おそらくメイドロボの主人公と猫は対の存在で、主人公には表情がふんだんにつくがネコは表情に乏しい、というメリハリが意識されていると思う。もしそれなら、いっそネコの目は三白眼を入れずまん丸で統一するとよいのかもれしれない。

 

大久保どんぶりさん「猫とくらすには」

猫とくらすには | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 課題1の作品に引き続き、今回の作品もしっかりSF要素を入れつつそのなかに小さなドラマと生活の実感を組み込んでいて大変読みごたえがあった。まだ完成稿の絵を見たことがないのでイマイチ完成像がつかめていないが、2pの流れが少しわかりづらかったように思う。ぜひ完成したものを読みたい。

 

降原さん「ナマケミオ」

ナマケミオ | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 この作品はよくかけていると思うのだが、例えば、10pでは本来ナマケモノはテレビを見てホロっとはならないはずで、そこから11pに至る「ケミオ君のことをちょっと愛おしく思った」エピソードには自分はあまり納得感が得られなかった。加えてなんだかケミオが着ぐるみのように思えてしまい、これは本当にナマケモノである必要があるのか?という疑問も生じている。もしかするとナマケモノであるケミオに動きを持たせすぎなのかもしれない。4pでの主人公がかわいく描けていることや話のオチのつけかたなど、よいところもある作品だと思うのだが。

 

はねむらさん「夢子ちゃんはかわいい猫がいい」

夢子ちゃんはかわいい猫がいい | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 今回の提出課題の中で完成稿をぜひ読んでみたいと思ったネームの一つだ。このマンガは普通に読んでもネコと主人公のやりとりにギャップがあって面白いのだが、真面目に読んでみても主人公が今まで受け入れられなかった価値観を受け入れる成長の物語になっており、その二つが備わっているところが優れいてる。また、ストレートに描くならめでたしめでたしで終わらせてもよいようなオチに一ひねり工夫を加えているところもよい。若干気になるのはネコの図像で、ネームの段階ではどんなキャラクターなのかはまだわからない。完成稿で絵がはっきりしてくると違った読み味になるのだろう。

 

葉野 赤さん「日向の思い出」

日向の思い出 | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 このネームは話としてはまとまっていると思ったが、個人的にはもう少し肉付けが欲しくなるお話しだった。おじいさんと猫の「あたたかい光景」にもう少し説得力を感じたい、ということかもしれない。

 

かわじろうさん「正三と九太郎」

正三と九太郎 | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 このお話しは話としての面白さはすでに十分あると思うのだが、全体的に話が淡々と進んでいくので、個人的にはもう少し間の演出があるとうれしい。なんというか、正三と九太郎が仲良くなれてよかったね感があまり感じられないということかもしれない。

 

泉ころろんさん「一撃勇者とカーバンクル

一撃勇者とカーバンクル | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 このお話しはおそらくオチの「『俺たち仲間だろ』/その言葉が出てこなかった」というセリフに向けてつくられているお話しで、その点での味わいはあったのだが、一方で状況を説明するセリフが多く内容の理解が困難だったところが惜しい。架空の世界の架空の生き物を用意しているためどうしても説明過多になるのだろうが、逆から言えば、そういった独自の設定を16pマンガに用いることが適切ではないということなのかもしれない。なにかうまくお話を削りながら全体が整う道筋が見つかると良いと思うのだが。

 

小林煌さん「助けて☆ハムスター!」

助けて☆ハムスター! | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 このネームを最初に読んだとき、現実にこういう取り組みをしている場所があるのだと思った。実際には違ったのだが、現実とフィクションのバランスがよく取れている証拠だと思う。この作者の方の作品としては今までにはない現実を舞台にしたフィクションだが、個人的には今までで一番自分に関係があると思った作品だった。
 ただ個々の要素はそれぞれ良いのだが16pとしては少し情報量が多いのかなという感じもする。個人的には、主人公が迷子になった時にどんな感情を抱くのかをもう少しじっくり見てみたかったように思う。企画として優れていると思うので、教室での完成稿でなくともよいからこのアイデアを元にしたマンガは、強く、読んでみたい。

 

森紗はるきさん「ママ・マンボウ

ママ・マンボウ | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト 

 これはなかなか不思議な作品だ。マンボウが看病するという話の面白さがある。夜の街をマンボウが買い物に行くシーンはかなりいい。突飛な設定だが、そういえばポケモンママンボウというポケモンがいた気がするので、そういう想像力はここだけでなく実は広く無意識的にある想像力なのかもしれない。オチの唐突な感じなど、まだまだここからよくなりそうにも思うが、このままでも十分読み手に感じさせるものがあると思う。個人的にはこのまま完成稿になったものを読んでみたい。けっこうこの作品はいいと思う。

 

qjinさん「たま」

たま | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 ワンアイデアのネームで勢いがあってよいと思ったが、なんだか情報のバランスが悪い気もする。特に1p~4pの流れがちょっとわかりづらいだろうか。でもこういうテンポ感の頭を空っぽにして読ませてくれる作品はマンガとして好ましいと個人的には思う。

 

滑川王手さん「立ちション狂詩曲(ラプソディ)」

立ちション狂詩曲(ラプソディ) | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 この作品は短くまとまっていてスッキリしている。個人的には指を這い上がるカエルがじっくり描かれているところでよく観察しているなあと思う。やはり動きがある動物が動いているのがよいなと思わせてくれる作品だった。ただ、もしかしたら生き物は一つに(個人的にはカエルに)絞ったほうがよかったのでは?という感も若干している。

 

いとしろ たかやさん「うさぎの時間」

うさぎの時間 | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 個人的にはこのネームは、付き合いたての男女を描いたお話で、話の骨格は好きだ。ただ、話の内容がどこをゴールとして目指しているのか、つまり男の子とキスすることが目指すべきゴールなのか、それともうさぎに介入してもらってうさぎと触れ合うことがゴールなのか、そのあたりで混乱が生じた。わたしの読み方がちょっと硬すぎるのかも知れないが。ただ実際、これが恋愛とうさぎとの絡みとして、なにを目指して描かれた話なのかちょっとわかっていない。9pのうさぎが挟まるシーンなどとても良いと思うので惜しく思う。

 

たにかわつかささん「弁当食らいのビャービャー丸」

弁当食らいのビャービャー丸 | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 このネームは物語の流れとしてはよくできていると思った。だが、主人公がお弁当を作ってもらっていることの意味に気が付くこの話にとって、果たして架空の生き物であるところのびゃーびゃー丸は必要なのか?と個人的には思ってしまった。これはこれでよいと思うが、架空の生き物があえて登場することの受け取り方に若干困っている。うーん、これは指摘されても気にならない読者もいるのだろう。意外とこういうキャラが受けたりするのだろうか。

 

つりばし わたるさん「デレないネコに好かれたい」

デレないネコに好かれたい | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 このネームはお話しの方向としては全く理解できるネームだった。この作品で書こうとしているものが描ければそれだけでよい作品になると思う。ただ現状では、主人公があまりアプローチをせず、猫の方から寄ってきたクライマックスにいまいち達成感が感じられなかったところが演出が弱かったところかと思う。一方作品内容とは関係ないが、ネームがちゃんとあがっていてよいと思った。この調子でこの先も作品を読ませてもらいたい。

 

千住ちはるさん「うーちゃん何でしょう?」

うーちゃん何でしょう? | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 子どもの微妙な要求に父親が困るという題材が他の作品と被らずよいというか、読んでいてほほえましいような憎たらしいような絶妙な気分になる内容だった。ただ話の展開は淡々としていて、公園などで親子が触れ合っているところをただ眺めているような、あまりお話としては印象に残らないネームではあった。何か、父親がこの状況をどこに持っていきたい(あるいはなにか避けたいものがある)みたいなことがはっきり提示されているとぐっと面白くなるように思うのだが。

 

晃てるおさん「リンゴ好きのジロー」

リンゴ好きのジロー | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 この話はなんだか惜しいと思うネームだった。お話としては、面接の日の朝主人公が少し不安や緊張があるときのペットの犬とのやりとりの話、ということになると思うのだが、主人公がどんな気持ちでいるかあまり主張がないことが惜しい。もう少しマンガ的な主張のある演出があればと思う。しかし犬のジローのディティールがよく、話としては大変良かった。パーツとしてはこれで十分出そろっていると思うので、もう少しでずっとよくなるのではないか。

 

吉田屋敷さん「リョータとリョーコとマーモット」

リョータとリョーコとマーモット | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 この作者の方のこういうほんわかした話は初めて読ませてもらったが、想像よりもずっと整っていて(特に間の取り方、カメラ、オチなど)驚いた。今回の課題の中では一番楽しくスッキリ読んだ。これはぜひ完成したものを読みたい。8pのマーモットの登場の仕方が秀逸。また個人的には、お姉ちゃんのキャラクターがバツグンにツボ。一方リョータはもう少しほかのキャラとデフォルメの具合をあわせるとよいのかも、とも思える。シリアスな人間ドラマだけでなく、このほんわかした日常の路線もぜひぜひ今後読んでみたい。

 

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