完成稿の感想を書いたのでアップしておきます。順番は教室の名簿順です。感想へのコメントなどいつでも歓迎しています。よろしくお願いします。大塚
最終更新:2022_09_25_13:10
全4作品感想
はねむらさん「夢子ちゃんはかわいい猫がいい」
夢子ちゃんはかわいい猫がいい | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト
ネームの時とあまり変化しない感想で恐縮だが、夢子とネコとがギャグをしながら少しづつコミュニケーションを育む様子としてマンガが描かれているところがよい。猫のデザインも単にブサイクな感じでネームのデザインよりもなじんでいるように感じる。一方、完成稿になって気になるようになったが、夢子は小学生のわりに自分で考えて自分で推測を立てられる賢いキャラクターなので、考える様子にもなにか小学生の設定の工夫があるとなおよいのかもしれない。(例えば考える時に寝そべってかわいいアイテムを触る癖があるなど。)とはいえ、このマンガは十分面白いマンガだと思う。自分がネームから含めて何度も読み返しているので若干わからなくなっていて自信がないのだが。この調子で頑張っていってほしい。
葉野 赤さん「類友レニーデイズ」
これは話のつくりとしてよくできているんじゃないかと思う。ネームからの修正としてよく描けていると思った。ただ8ページマンガとしては途中の母親とのケンカの内容のボリュームが大きく、話全体のボリュームが不ぞろいな印象ももつ。バランスの問題だが、小さなドラマであることの強調があると落ち着くというか、これがこの主人公にとって生活の一シーンであることが伝わってくる内容になるとなお深みが増すかと思う。
個人的には、冒頭で主人公が二階から注意するのではなくツカツカと一階に降りて直接に猫と対峙するようにしたり、主人公が公園まで走って行ったあとに新たに雨が降っていることに気づく瞬間のシーンが挿入されたりする(本作では母親との間の逡巡は描かれているが進路への不安はあまり描写されないので、雨にかこつけてそのことを吐露させてみたりするなど。)と、ドラマ感がより増すのかなと思う。あくまで例えだが。
かわじろうさん「正造と九太郎」
ネームと比べても話が整っていてよいのではないだろうか。ただ個人的には、正造の空間の使い方がイマイチわからないのでそこにもう少し書き込みがあるとうれしいとは思った。(例えば仏壇がある部屋の床は畳かとか、奥さんがいなくなった後でキッチンはどうなっているのかとか、あるいは本来二人で使っていただろうテーブルを一人でどう使っているのかとか、そういうことが気になる。)とはいえよしちゃんの喪失をしつこく描くことだけが作品の意図ではないようにも思われるし、空間が描かれていないことでは統一されているので、描かないことでコントロールされているならこれはこれでよいと思う。
よこうたださん「きょうの犬ごはん」
この作品はお話しとして単純に良かった。またページあたりのセリフの量が多すぎず、意外と足りないと感じる情報も少なくてストレスなく読んだ。背景についてはあえて描かない選択もありだと思うが、パセが登場する一コマだけなどでも背景を用意してもらえるとうれしいだろうと個人的には思う。この作品は、ネームを含めた今回の課題作の中でも、動物との距離感の描き方に最も実感を感じる作品の一つだった。