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主にひらめき☆マンガ教室の感想用。メッセージ等はおたよりフォームへいただければ、配信でお返事します。

ひらめき☆マンガ教室 第6期 課題2ネーム感想 #ひらめきマンガ

 作品の感想を途中まで書きました。残りの作品はまた後日感想を書きます。すべての作品の感想を書きました。掲載順はひらめき☆マンガ教室の名簿順です。こちらの感想配信で内容の補足説明をしていますので、感想の詳細やニュアンスが知りたい方はそちらも参考にしてください。よろしくお願いします。大塚

感想の基準

 今回の課題作品ネームは、実は最初に読んだときはよくわからなかった作品も多かったのですが、時間をかけて読んでいるとだんだん意味がわかるようになった作品が多く、一読者としてよい体験をさせてもらったと思いました。作品の”気持ち”の部分が伝わってくるように感じるものが多かったです。(これはすごいことだと思います。)
 この”感想の基準”は感想文を一通り書いて後から振り返って書いているのですが、今思うと今回の課題は特に、作品の中から見える「描き方の太さ」をひとつの基準にして読んだのだと思います。描き方の”太さ”というとちょっとわかりにくいかもしれませんが、その奥にある考え方の広さや、その内容をマンガに落とし込むときの判断のしかたを読む、という読み方なのだと思います。違う言い方をすると、自信たっぷりに描いている作品がいい、という話だと思います。
 とはいえ、実は個人的な大前提として、作品の”気持ち”がわかったらそれで満点、というマンガを読むときの根底の基準があります。その点今回の課題作はちゃんと読めばちゃんと気持ちがわかると思えたものが多く優秀だと思いました。うえでは太さといいましたが、実は感想の基準といえば、その”気持ち”がいかに伝わってきたか、ということが一番重要だったのかもしれません。

 

全26作品感想

形井中へいさん「胸センサー」

胸センサー | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 このお話は女性と男性の描き方のバランスがとれていると思った。あくまで男性読者目線の意見ではあるが。男女間の亀裂を描いた上で無理のない落としどころに二人の関係がオチていると思う。また、個人的には課題1ネームの内容と比較して、幅のあるキャラクターを描ける方なのだと感心した。課題1のようにシリアスなものをシリアスに描くのもよいが、こうして、ある種のシリアスな話をコメディ調に描けるのは個人的にはたいへん好感を持った。画面的にもスッキリした作りで、個人的に今回の課題作で気に入った作品の一つ。完成稿が大変楽しみな作品だ。

 

明青りんご(あおりんご)さん「鬼山さんは厳しい。」

鬼山さんは厳しい。 | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 この作品は鬼山さんの魅力を感じる作品だった。部下と他の社員の間できっちり対応をわけるところなどに礼儀正しい女性の魅力があるキャラクターだと思う。反面、主人公から鬼山さんへの反応はもう少しなにか具体的な感情や応答が用意されているとよかったと思う。個人的にまだまだよくなりそうなネームだと思うので、完成稿が気になる作品だ。

 

アキオさん「告白」

告白 | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 この作品はそれぞれのキャラクターの話す内容が正直でよかった。キャラ同士のやりとりが端的な反応で続くことによさがあると思う。アピールにある「気になる点は、話の結末をどう受け止められるか、という点」については、個人的には”この作品はこういう作品なんだ”と思って読んだ。ここはわりと作者がどう思うか、どうしようと思うか次第のところのような気がするので、実際に作るときは気合がいる部分なのかもしれない。このネームはマンガとしてまとまりのある内容にちゃんとなっていると思う。普通に良い内容だと思うので、ぜひ自信を持ってほしい。

 

赤い氷さん「マンコーの叫び」

マンコーの叫び | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 この作品は評価がちょっと難しい作品だった。個人的には、怪獣が出てくる特撮っぽい内容に映っていて楽しく読んだが、まあ、簡単にいうと下品な内容なので人は選ぶと思う。とはいえ、たとえばこの内容を女性でも共感できるようにしよう、とか、そういうことではないと思うので、あまりへんな配慮などはたぶんしないほうがいいと思う。わからなくても楽しめるかみたいな、作品の説得力で勝負すべき内容ではないかと思う。ちなみに、一読者的には、この内容は普通に面白いと思ったのであまりネガティブなことを言うのも違う気もする。個人的に色んなキャラクターのビジュアルや細かな絵の表現を含め完成稿を読んでみたい作品なので、がんばってほしい。

 

阿山カンフーさん「にくのカンヅメ」

にくのカンヅメ | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 この作品は、ラストのひまわりの鉢植えにたいへんインパクトがある作品だった。この作品のことは自分にはよくわからないと思ったのだが、なにかこれはすごいことをしている作品だと思う。アピールにある「ほとんどの事故死は人体が『圧縮』されることによって引き起こされる現象と考えます。」という一文も、作品とあわせて読むとなにか感じさせるものがある。マンガ的にも普通に読める内容だが、美術などにあるだろう抽象的な出来事とある特定の主張や価値観を組み合わせて、作品を受け取らせるような表現形態に少し近いものを感じた作品だ。

 

ばやし あきやさん「布団は魔境」

布団は魔境 | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 この作品は、今回の課題作品がわりにシリアスな内容が多い中くだらない内容だったので、なんだかほっと一息つけるようでありがたいネームだった。個人的に特に前半の「あんた/布団と付き合ってる?」「反論よろしいでしょうか?」あたりのやりとりが楽しい。ただ、後半12pから終わりにかけての流れは話の内容がズレたようにも感じた。とはいえ、こういう馬鹿なことを一生懸命やっている作品はあるだけでうれしいので、ぜひがんばってほしいと思う。

 

深田えいひれさん「負け戦」

負け戦 | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 この作品は、ちょっとうまく乗れないようなでも面白いような、微妙な感じの読み味だった。内容の本題に入る前にもう少し前提に対する説明がほしいと思ったが、アピールで「Back Street Girls」が紹介されていることもあって目指している内容は理解できると思った。やろうとしていることは伝わってくるし面白いところがある作品だと思う。

 

ぼんち。さん「人の振り見てなんとやら。」

人の振り見てなんとやら。 | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 このマンガは、最初に読んだときはよくわからなかったのだが、時間をとってじっくり読んでみると工夫が見えるお話だと思った。特に、最後に鏡を見るときの主人公の反応には、おそらく、自身への疑念とも安堵とも取れる繊細なニュアンスがあると思う。それまでのフリに対してあまり単純な感情に帰結しないところは内容を感じた。
 また一方、素人目線で完成の図が浮かびにくいと思ったのは、物語中盤4pから太文字で主人公の内心が語られている部分。ここはうまく効果的な演出になるとよいと思う。(4pから11pへと休みなく内心が漏れている部分は、個人的にどこかで一呼吸あるとありがたいと思った。)この作品は完成するとまたグッと内容を感じられそうな作品なので、完成稿をぜひ読ませてもらいたい。

 

中山懇さん「飴屋ちゃんのイライラキャンディライフ」

飴屋ちゃんのイライラキャンディライフ | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 このネームは普通に面白かった。いやな性格をしている上司が本当にいやらしく描かれているところもいいと思ったが、話のオチがおばちゃんと主人公の関係でオチているところに安心した。この作品はもうこれで楽しめる内容だと思うが、一方さらに欲張って読むなら、11pから13pのパワハラ報告で報復する展開はわりにさらっと描かれているので、ここは飴屋ちゃんが暴力を振るってしまうのかどうかもう少しハラハラさせる演出があるとよいのかもしれない。せっかくよいキャラクターだと思うので、もう少し飴屋ちゃんの言動に焦点があたる感じがあると読み手としても共感しやすいのではないかと思う。

 

ひむかさん「くるっと回ってまた一緒」

くるっと回ってまた一緒 | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 この話は、「おそろい」がテーマなことがはっきりしていて内容的についていきやすかった。また10代の話としてtiktokやインスタなどの小物を登場させているところがいい。ただ一方、この話が誰と誰の話が中心になっている話なのかはもう少しわかりやすいといいのだろうと思った。一見したところ、主人公の美香と志穂のケンカを中心に進んでいるストーリーだと思ったのだが、そのニュアンスは少しわかりづらいように思う。(もしかしたらネームの段階だからそう感じただけとか、そもそもそういうケンカが主な内容ではない、ということだったりするのかもしれない。)個人的に、描かれていることはよいと思ったので、どういう完成形を想像して描かれた話なのかが知りたいという意味でも、完成稿が読んでみたい作品だと思う。

 

ほりい泉さん「捨て」

捨て | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 個人的にこの作品は内容が深い思った作品だった。けっこう感動してしまっているのでバランスのとれた感想を書くのが難しいが、自分を捨てた母親を擬似的に捨てることを通じて、捨てようと思っても捨てられないものの存在に主人公が気づき受け入れる内容になっていて、これは奥行きがある話しだ思う。描き方については、特に「~で」でつながるところは、これはこれで成立していると思ったが、マンガ的にはありなのだろうか。媒体によったりするのかもしれない。文章の書き方では、基本的に「~で」でつながる文は「だ」「である」で区切ったほうが読み手に親切だとされるが、このマンガの場合は全体をワンカットで見せる演出として機能している、という言い方ができる気がする。この内容が可能になる描き方を見つけている、という意味でこの描き方でよいと個人的に思うのだが、どうなのだろう。

 

あい乙いなびこさん「ポルノ映画の初野(ういの)くん」

ポルノ映画の初野(ういの)くん | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 この作品は、素朴なことをちゃんと描こうとしている良い作品だと思った。特に、現場の監督や女優が急に変に意地悪なことをいったりしはじめず、普通にコミュニケーションをとるところが個人的には好感を持った。また一方、ポルノ映画の製作に関わることが割りと無前提に否定的なこととして話が進行している感じがあり、そこはもう少しなにか理由付けやバランスをとる反対側の意見みたいなものが登場するとよいかと思った。たとえば経験が豊富であろう監督の意見はどうなのだろう、みたいなことは読んでいて気になった。もう少しそこに納得感がある描き方になるとグッとよい内容になるのではないかと思う。

 

やながわけんじさん「トイレの片岡さん」

トイレの片岡さん | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 この話は片岡さんの描き方がとてもよかった。片岡さんのガラガラの理由を追うミステリーのようなつくりになっていて納得感もある。個人的にもう十分面白い作品だと思うが、さらになにか工夫の余地があるとすれば、主人公が片岡さんに関わろうとする12pから14pの展開での主人公の気持ちがもっとわかるようになると、二人の関係性の変化が見えやすくなるのではないかと思った。ネームでは片岡さんに声をかけようと思った理由はわかるが、主人公が具体的になにを伝えようと思ったのかはちょっとわかりづらくなっているように思う。もしなにかさらに、というならそのあたりの工夫ができるのかなと思った。
 とはいえアピールに「トイレットペーパーを引っ張り出す理由が、他人に見せたくない悔し涙を拭くためだったらちょっと許せるかなと思ってストーリーを作りました。」とあるあたり話しの膨らませ方もうまく、演出もキャラクターもよくできている作品だと思う。

 

桐山さん「君とセックスしたい」

君とセックスがしたい | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 この話は、最初に読んだときはよくわからなかったのだが、時間をかけて読むとなかなか熱い話だと思うようになった。「上辺=きれいで気持ち悪くない」、「本当=きれいではないし気持ちが悪い」という図式をハッキリ提示した上で、気持ち悪くても”上辺”ではなく”本当”が良いという内容になっているところが熱い。そう思うと女の子の最後の「キモッ」というセリフも、本音だからこそ気持ちが悪い、という意味に見えグッとくる。
 というように内容がよく練られていていい内容だと思ったのだが、本来的にはもう少しボリュームがある中で読みたい内容だとは思った。最初に読んだときによくわからない感じがあったのだが、たぶん、それぞれの場面で主人公が考えていることや起こっている現象がもう少しわかりやすくなっていればもっと理解が早かったと思う。とはいえ、とくにこのタイプのある種の思弁的なマンガの読み手としてはわたしは特に理解が遅いほうだと思うので、理解が遅れたのはあくまで一指標と思ってもらえるとよいと思う。このマンガのように、内容の分析がしっかり用意されているマンガはそれだけでよいと思う作品だった。

 

mangatime007さん「ご機嫌いかがですか 敬丘 千鶴さま」

ご機嫌いかがですか 敬丘 千鶴さま | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 このネームはマンガの一場面としては十分成立しているものだと思った。内容的にも3pのマンガだったらこれでよいと思う。ただ、個人的には冒頭の扉絵や俯瞰のコマなどを使った状況説明の絵が入るとよいのではないかと思う。何時ごろの話なのか、自宅の中のどこでの話か、盗み食いしたおやつはどんなものだったかなど、周辺の情報が入ると、読んでいる方も話しに入りやすいのではないだろうか。この姉妹二人の話はほほえましくてよい話だと思うので、できそうな工夫を加えてぜひ完成させてもらたらうれしい。

 

七井一汐(なないつ)さん「スタバOLトーク

スタバのOLトーク | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 この話はなんだか自分の知らない世界で人が怒ったりしていて面白いと思った。9pのセリフの怒りは勢いがあると思う。ただ読んでいて、怒りの理由として複数の理由が出てきていて焦点がわかりづらいとも思った。個人的に怒りの理由は、相手の自己承認があるかどうかとかはあまり重要ではなく、単に自分たちの知っている出来事が歪められて伝わっていくことがいやなんじゃないかと思ったのだが、実際はどうだったのだろう。

 

藍銅ツバメ(らんどうつばめ)さん「お狐サマが解釈ちがい」

お狐サマが解釈ちがい | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 この作品は話の作り方がうまい、と思った作品だった。くだらない話と少しマジメな話のバランスがいい。特に”流行り病”といってコロナを思わせる内容が入っているところは、この作品の気持ちを感じる部分だと思う。淡々としたテイストは持ち味だとも思うが、個人的にはもう少し抑揚があるとうれしいとも思う。しかし、課題1に引き続き安定感があるお話しだった。

 

くまのぶさん「完璧な男」

完璧な男 | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 この作品は、個人的にはなにか面白いことをしていると思ったが、ただちょっとわかりにくい描き方だとも思った作品だった。特に最後の数ページのオチの部分は矢井田が本当になにかミスをしていたのかどうかがわからず、単純に内容の汲み取りが難しいと思った部分だった。ただ一方、途中で女子社員が矢井田との関係の中で会社をやめていくところは、なんだかリアリティというか本当らしさを感じる部分。縮小された人間の社会みたいなものが表現されている感覚を覚える内容で、個人的には面白い表現をしていると思う。

 

大須健さん「素直に笑えばいいのに」

素直に笑えばいいのに | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 この作品は、自分に嫌いなところがあっても他人が好きになってくれたら許して良いんだよ、というメッセージがある作品だと思う。個人的にこういう内容のある作品はすばらしいと思うのだが、ただ、もう少し二人の関係に話の内容の焦点があたってもよい内容なのではないかとも思った。実は主人公のモモカがルリのどのあたりを人間的に好いているのかがよく見えなかったのだが、そこがはっきり描かれないとなかなかこの二人の関係性の良さは表現されないのではないだろうか。ただ、微妙な関係を描こうとしているだろうとは思うので、どこまではっきり描くかバランスが難しい内容なのかもしれない。メッセージを感じさせる内容で、個人的にはなにか応援したい気持ちにさせられる作品だと思う。

 

藤原 ハルさん「きらいなあのこ」

きらいなあのこ | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 この作品は、ある種の典型を使って飽きないようによく工夫されている作品だと思う。とくに、今回の課題テーマが「嫌い」だったことに対して、10pで「こんな私が/大嫌い」と回答を持ってくるところはひねりがきいていて、おっと思った部分だった。ただ、もう一方でこれだけ丁寧に描けるならもっと内容的にはふくらみがほしいとも思う。読者のわがままではあるのだが、たとえばこの話は主人公の「こんな私が嫌い」が中心になっている話だと思うので、なんとかオチに向かってその気持ちの部分に話がまた戻ってきてほしいなあ、と思ったりする。最後に主人公の小梅川さんからもなにか一言気持ちの吐露があると一読者的には話しの奥行きや納得感が感じられてうれしいのかもしれない。

 

高月晃太さん「部活だから」

部活だから | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 この話は、なんだかよくわからないのだが良い話だと思った。最後先輩がゲジゲジをはたいてしまうところが読んでいても意外で、キャラクターがおもわずしてしまったことがそのとおりに描かれている面白い描写だと思った。一方で、個人的にはこういう空気感を読ませるタイプのマンガをあまり読みなれていないこともあり、途中から先輩がムシを怖がるようになる部分は少しついていくのが大変に思った部分だった。とはいえ、作品世界の空気感のようなものが伝わってくる良い作品だと思う。

 

東京ニトロさん「ミイラ対巨大ゴキブリ(船橋編)」

ミイラ対巨大ゴキブリ(船橋編) | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 このネームはこれはこれでいいのではないかと思うが、個人的にはちょっとわかりにくく感じた内容だった。話の流れ自体はわかりやすいと思うのだが、自分のような真面目なタイプ(真面目なのがよいとかいう話では全くなく)は読んでいて「なぜ主人公がミイラ?」とか「ブレンダン・フレイザーとはだれ?」とかいちいち気になってしまって、作品に対する距離感の持ち方が難しかった。特定の読者に向けた内容になってしまっているのではないかと感じるのだが、わたしがわかっていないだけでなにか別に意図があったりするのだろうか。

 

たにかわつかささん「たえろっ!富永先生」

たえろっ!富永先生 | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 この話は何度読んでも面白い。教師としてのポリシーを全うしようとする主人公の話だとも読めるし、なにより切れてしまった主人公に笑わさせられてしまう。よくよく読んでみると、コサキ君はたしかにうざったい態度はとっているものの、実は怒られて当然といえるほどのこともしていない(だって殴るとか暴言を吐くとかはしていないのだ)のに結果的に怒鳴られてしまったところも、なんだか状況のリアリティを感じるところだと思う。この作品は個人的に共感がある内容で非常に気に入っている。教室でも選出として選ばれたとのことで完成稿が楽しみだ。

 

ヤギワタルさん「のろまな占い師」

のろまな占い師 | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 この話は寓話のようなストーリーでうまく作られている話だと思った。ただ、個人的にはどこが話の肝なのかはうまく読み取れなかった。とはいえ、これは作品のつくりの問題というよりは単にわたしの読解が追いついていないだけなのだろう。昨今のAIブームに対する冷めた目線や反論のしづらさとが投影されている話として、現実の比喩として読む感じの内容だったのだろうか?

 

ねりけしさん「しいたけぐらし」

しいたけぐらし | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 変な感想だが、この話はしいたけがおいしそうな話だと思った。後半、もりっと育ったしいたけが調理されるところはなんだか魅力的だと思う。一方、前半のしいたけが歩き出すところは個人的には”これはいったいどういう話?”と少し読む手が止まったところだった。ただここはマンガが完成すると気にならなくなる部分のような気がする。完成すると読み方がまた変化しそうで気になる作品だ。

 

ヤマオカ兄弟さん「クズの惑星」

クズの惑星 | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 この作品は内容的にはちゃんと面白い内容だと思ったのだが、ただ、絵柄の変化に読んでいてうまく集中できなかった。ノイズが激しく感想という感想があまり出てこない感じでいるが、内容的にはちゃんとSFをしているし、あとはどう絵的に親切に出来るか、ということが重要になるのではないだろうか。

 

四日街さん「くだらないこと」

くだらないこと | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 このネームは読んでいて胸がキューっとなるいい内容だと思った。短いながらよくまとまっていると思う。しいて言うなら、オチの付近の描写はこれはこれで状況がわかる悪くない表現だと思うが、破られた絵を直す男の子の表情をもっと読んでみたいとも思った。いい描き方があるネームだと思うのでぜひ完成稿を読んでみたい。

 

更新履歴

2023/05/19 8作品感想追加
2023/05/20 8作品感想追加
2023/05/27 5作品感想追加
2023/05/30 2作品感想追加
2023/06/01 4作品感想追加、感想の基準追加