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主にひらめき☆マンガ教室の感想用。メッセージ等はおたよりフォームへいただければ、配信でお返事します。

ひらめき☆マンガ教室 第6期 課題1完成稿感想 #ひらめきマンガ

 作品の感想を書きました。まだ感想がかけていない作品は後日、追加します。課題1の完成稿、全作品の感想を書きました。掲載順はひらめき☆マンガ教室の名簿順です。こちらの感想配信で内容の補足説明をしていますので、感想の詳細やニュアンスが知りたい方はそちらも参考にしてください。感想文・感想配信ともどもよろしくお願いします。大塚

 

全19作品感想

赤い氷さん「彼女は妖性」

彼女は妖性 | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 この作品は完成稿になって作品の印象がすっきりした。ちゃんとWeb上で映える絵柄になっていて個人的に驚かされた。内容的にも、ネームの段階からわかりやすくなっていると思う。
 一方、これだけ派手な内容だったらもう少し大ゴマを使った演出があってもいいと思った。特に11pの心臓のシーンはもう少しインパクトがあってよいシーンだと思う。ほかにも、心臓をくっつけると気持ちがいい、というこの作品の世界観はちょっとよくわからなかったのでもう少し説明が必要ではないかとも思える。(もしかしたらこれは私がわかっていないだけ?異性と互いの胸をくっつけて興奮するみたいな経験が元になっていたりするのだろうか。)
 個人的に大変好きな作風で今後も楽しみ作家さんだ。ただ、崇高で不思議な世界観が面白いと思う一方、気をてらいすぎるとそれはそれで白けてしまうので、そのバランス感は読者としても今後注意して見ていたいポイントだ。

 

ばやし あきやさん「はかせの一生」

はかせの一生 | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 この作品は、完成稿になってぐっと世界観が出たように感じた。広いスケールの開放感がある作品だと思う。一方、ネームの段階から少し気になっていたのだが、石化を解かれた少女の主人公に対する反応は何らかの直接的な表現(泣くとか笑うとか)があると好ましいと思った。ページ数的に少女のリアクションに割く余白がもう少しほしい感じがする。とはいえ、この作品は作者の方自身にとっても実りの多そうなできばえに見える。今後もこの調子でドンドン作品を作って見せてもらえたら一読者としてはうれしい。

 

深田えいひれさん「マンガ家志望者奮闘記」

TOMORROW | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 この作品はそれこそ内容の感想ではなくなってしまうが、がんばって描いていてえらいと思った。思ったとおりの感想がなかなかもらえないという中、読者が楽しめるような内容を踏ん張って完成させることはなかなかできることではないと思う。
 一方、内容的にはオチの付近で受け取り方がよくわからなくなった。8pの「目の前にいる最高のファンを/楽しませないわけにはいかないじゃない!」というコマがセリフと表情がマッチしていてとてもいいと思うのだが、その後のエロ本のくだりでそのよさが失われているように感じる。マンガ家の女の子が読者に応援されて奮起するふつうにいい話なので、その話としての良さが余韻として残る終わり方があるとよいと思うのだが。

 

ぼんち。さん「お兄ちゃん、ごめんね。」

お兄ちゃん、ごめんね。 | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 このマンガは今回の課題作の中でも読めてうれしく思った作品だった。完成して情報がはっきりしたおかげか、内容の説得力のようなものを受け取った。個人的に、ネームの段階では個人の悩みのようなものを描いているかと思っていたのだが、完成稿を読んで気分のようなものが描かれていることが大事な作品だと思った。個人的にはどうしてこういう内容を描くことになったのか、その内容のわかりづらさの原因も含めて共感が持てるところがある。
 ただ、マンガとしてはここからさらに整理ができそうだと思う。例えば1p上段の主人公とおばあさんはサイズに差をつけたほうがいいだろう、とか、3pでのお兄ちゃんの登場シーンはもっと大きい登場だとよさそうだなど、画面の使い方が少し気になった。ただ、これから先、この教室でマンガを描いていくには土台として十分深みのある内容ではないかと思う。こういった複雑なものを今後どうやって整理して伝えられるかが重要になってくるのではないかと読んでいて思った。

 

中山懇さん「満願寺さんのワンナイトハッピーアワー」

満願寺さんのワンナイトハッピーアワー | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 このマンガはネーム第二案的なものとして読んだ。個人的に元のマンガの印象が強いため感想が難しいが、ぱっと読んだ感じでは、ネームのほうが勢いがあってよかったように思った。ただ、こちらの完成稿の描き方は元のマンガよりも展開が丁寧になっていると思ったので、こちらのほうがより丁寧でよいのではないかとも思う。というようにどちらにも良い部分があり、二つを比較してどちらがよいかというとそんなにはっきりとはわからなかった、という感じだった。
 ただ、個人的にはだが、完成稿で主人公の男性の名前が「モブ沢さん」に変化してるところはあれっ、そういうことだったのか、と勝手に拍子抜け下部分だった。なんだかネームからさらに降格した感じがあってちょっとかわそうな感じがした。ただ、なにか意図はあってそれに自分がうまくついていけていないだけなのだと思う。完成稿もネームも両辺通じて、個人的には作中のマッチングアプリの出会いが主人公の男性にとってよい出来事だったと思えたらうれしかったのだと思う。

 

ひむかさん「はじめの第一歩」

はじめの第一歩 | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 これは爽やかな作品だった。全体としてまとまりがあった。特に7pでアスミが年老いた主人公の手を導く図像が感動的だ。おもわず”読んでよかったなあ”という感想が漏れる良作だと思う。個人的に、冒頭の屋上のシーンが意外とシリアスではなくコミカルに描かれているところも好感を持つポイントだった。

 

あい乙いなびこさん「図に乗る息子」

図に乗る息子 | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 この作品はネームの引き続き内容のよさを感じた。やはりお母さんの視点で子どもの幼さが描かれているところがよかった。ただストーリー全体については、こういう筋の通っていないことを息子がしたら「今日も息子は図に乗っています」とか言っていないで、母親として注意するべきなのではないか、というような普通の感想も持った(単にわたしが厳しすぎるだけかも?)。とはいえそれもほとんど冗談みたいな感想で、服足くんと主人公の勘違いのやりとりがそのままスルーされるところなど等身大の子どもが描かれている感じがあり、読んでいてなんだかくすっとなるいい作品だった。

 

やながわけんじさん「土日のふーん」

土日のふーん | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 この話は普通に楽しかった。女の子との関係に最終的に話が向かうところが話の筋の通りがよいと思った。またネームの段階では、最初の「ふーん」のところで主人公が関係が「壊れた」とまで思う理由がいまいちピンと来ていなかったのだが、この完成稿の描写ではっきりわかってこれなら納得だと思った。(しかも、この方が女の子も魅力的に見えるから不思議だ。)個人的に、アピール分にある「この物語にとって重要なことは、変化した主人公の表情を描くことで、そこに自分で気づけていませんでした。」という一文がすばらしいと思った。この作品はマンガ作りにおける修正の見本になるような優れた作品だと思う。

 

桐山さん「深夜徘徊」

深夜徘徊 | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 この作品はぱっと見ていい作品だと思った。画面の良さやシュチュエーションの良さがあり、マンガっぽくて大変よい作品だと思う。またネームから継続して、コロナとマスクのことを高校生の生活の問題の一部として描いているところが個人的にはとてもよい。描き方が軽く、あまりシリアスにならないところがバランスが取れていてよいと思った。この作品は短い中でいろんな魅力が詰まっていて、読めば読むほど良いと感じる作品だった。

 

七井一汐(なないつ)さん「初見」

初見 | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 この作品は、個人的にはとてもすごいことをしていると思う内容なのだが、普通に読むとあまりよくわからない内容なのかなとも思う。この作品がすごいと思ったのは、要するにこの作品で描かれているような相撲界の八百長疑惑や当時のオタクの二次元嫁的な価値観などの具体的な出来事は、簡単に思い出せる記憶ではないと思うためだ。ただ一方、個人的にとくにオチの部分は言わんとすることがあまりよくわかっておらず、どういう結びを目指して描かれた内容なのだろうと少し不思議にも思う。
 読んだ人がこういった作品のすごさに気づいて楽しむのはハードルが高い読み方だとも思うので、その意味でも普通に読んだときのわかりやすさが大切だとも思う。とはいえ個人的には、洞察力の高さみたいなものを感じる、今回の課題作の中で印象に残る作品の一つだった。

 

藍銅ツバメ(らんどうつばめ)さん「推しの声の怪」

推しの声の怪 | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 この作品は、ネームのときからよかったが完成稿も期待を裏切らないできばえで一読者として読ませてもらえてうれしかった。妖怪(?)のビジュアルが想像したよりも愛着が持てるように描かれていて、オチの叩いてしまう場面もより切なく映る。個人的にはもう少し間の演技がほしいようにも映ったが、これはこれで作品のテンポに統一感があるので問題ないのだと思う。内容的にも”本物の声が虚しい”というオチがやはり優れていると思う。これだけ話の骨格がしっかりしていると読後感がよいのだと改めて感じる作品だった。

 

くまのぶさん「doWa

doWa | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 この作品は、完成稿になってグッとよくなった作品だと思う。特に主人公のちょっとダメなキャラクターが二人の別れの切なさにうまく響いていると思った。一方、巨大樹に雷が落ちる8p9p付近の展開はもう少し余裕をもって読みたいとも思う。物語が動く派手なシーンなのでせっかくならもっと画面的に強調があってもよいのでは、と思ったが、今回、ほかの修正部分がこれだけ整理されているところを見るに、わたしがわかっていないだけで何か意図があった描き方なのかもしれない。
 人生初完成稿とのことでたいへん喜ばしいと思った。こういうしっかり読みやすく工夫してある作品を読ませてもらえるのは印象がよかった。今後も楽しみな作家さんだ。

 

大須健さん「小麦アレルギー男の必勝デート計画」

小麦アレルギー男の必勝デート計画! | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

  この作品はよくかけていると思った。読んでいて特に手が止まるような部分がなくスッキリした印象だ。とくにマイコさんがあらかじめ主人公の事情を把握していて気にかけていてくれたという内容は、なんだか普通に心が温まってしまった。主人公の男性が事態をなんとかしようと悩むところも含め、キャラクターの人としての魅力を感じる作風だと思う。一方で、お話しの内容は、この話をどこにおとすのかが難しかったのだろうと思って読んだ。個人的にこういうベターな修正でいいのではないかと思う一方、もう少し二人の関係が最終的にどうなったのか知りたいとも思った。

 

藤原 ハルさん「さいごの散歩」

さいごの散歩 | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 このマンガは大変よいと思う。ネームでは夫の印象があまりよくなかったところが修正されており、ペットへの感情に気持ちが向かいやすい適切な描き方になっていると思う。もしあえてなにか言うなら、さらに夫に何か動きを持たせられると家族の話しとして奥行きが生まれるとは思う。やはり、この夫がどういう人物なのかはネームの時点から継続して気になると思った。

 

東京ニトロさん「091101」

091101 | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 この作品は、ネームの内容を壊さずに話としてちゃんとまとめようという姿勢がある内容で、そのことに好感を持った作品だった。内容的にも、主人公が自分の父親の死をフィクションへの傾倒と重ねる内容で、きれいな構図的だと思う。この描き方なら、どういうことを描こうとしているのかわかると思った。細かな指摘などはさらにできるのかもしれないが、個人的にはあのネームからよくがんばって描ききったとエールを送りたい作品だった。

 

たにかわつかささん「委員長とテキトー円花」

委員長とテキトー円花 | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 個人的に、この作品は今回の完成稿の中でも読めてうれしかった作品だった。軽く読んでも深く読んでもそれぞれに楽しめる、マンガとして好ましい描き方をしている作品ではないかと思う。
 あと、個人的にはネームの段階では委員長が少しツンツンしている印象も受けたのだが、これはこれで硬い反応を返すキャラとしていいのではないか、と今回完成稿を眺めていて思った。今までたにかわさんの作品ではあまり硬派な男子キャラはいなかった覚えがあるが、改めて振り返るとこういう硬い感じのキャラクターのほうが優柔不断な感じの男子キャラより正直な感じがして気分がよいかもしれない。またそのおかげか作品全体としても正直な感じがあって、特に今回の作品はよかったと思う。

 

ヤギワタルさん「忘れもの」

忘れもの | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 この作品はネームと似た感想になってしまうのだが、なんだか不思議な話だと思った。個人的には、内容的には具体的な説話のように進行するのに対して、描き方は軽いテンポ感ですすむバランスがよいと思う。ただ一方、作品で描かれている内容がどのあたりに重心があるのはいまいちつかめていない。とはいえ、わたしがわかっていないだけでこの内容自体は具体的な人々に向けて投げかけられている内容のような気もする。

 

ねりけしさん「予想外のおしぼり」

予想外のおしぼり | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 この作品は、洗練されていて面白かった。完成稿になって思ったが、作者のねりけしさんの少し太めでシンプルな線がと印象に残った。この線をみるだけでねりけしさんの作品だと気づいてちょっとクスっときてしまうような、力のある線だと思う。それとカラーのバージョンも読ませてもらったが、個人的にモノクロのほうが動きのイメージが膨らむようでよかった。(というかそもそもの話として2バージョン用意しているのがすごいと思った。)改めて完成稿を読んで、安定感があってほっとするというか、更新がうれしい作者さんだと思った。

 

ヤマオカ兄弟さん「誰かが見ている」

誰かが見ている | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 この作品は個人的に、どう評価するとよいのか難しかった作品の一つだった。個人的に、オチで妻の話からカメラの仕事の話に移るところはなにか話題がすりかえられているような印象を持つ。ただ一方で、この作品がよいと思ったのは作中の悩みが家族の問題として描かれているように映ったことだった。子どもを持つ父親として妻の病にどうすることもできない苦しさみたいなものが根底に流れているように思える。ただこれは読者の側の勝手な読み方なのかもしれない。とはいえ、圧迫感のある雰囲気のようなものが良い作品ではないか、と個人的には思う。

 

あとがき

 上記のここの感想ではあまり伝わらないかなと思ったのですが、今回の完成稿の提出は、本当に皆さんちゃんとしていてすごいと思いました。マンガを完成させるのがまず大変だからえらい、ということはありますが、それ以上に修正がある部分など、本当にちゃんとしようとしてちゃんと描いていると感じます。次回以降も楽しみです。ほんとうにそれぞれのに応援しています。

 

更新履歴

2023/05/10 6作品感想追加
2023/05/12 7作品感想追加
2023/05/13 6作品感想追加、あとがき追加