玄関先の言葉置き場

主にひらめき☆マンガ教室の感想用。メッセージ等はおたよりフォームへいただければ、配信でお返事します。

ひらめき☆マンガ教室 第6期 課題4ネーム感想 #ひらめきマンガ

 作品の感想を書きました。順番はひらめき☆マンガ教室の名簿順です。こちらの感想配信で内容の補足説明をしていますので、感想の詳細なニュアンスが知りたい方はそちらも参考にしてください。よろしくお願いします。大塚

全25作品感想

形井中へいさん「サッカー部員志田ちゃんの自由なふるまい」

サッカー部員志田ちゃんの自由なふるまい

 この作品は、良くも悪くも男性が理想とする美少女的なものが描かれている作品だと感じた。画面の作りが丁寧で女の子のヒロインとしての魅力の押し出しがあるところがよいと思う。ただ、お色気的な部分があまり必然性が感じられないとも思った。特にわたしは気にしいなのだとは思うが、ストーリーと関係なく胸をはだけたり触られたりするように見えたが、そういう読み方であっていたのだろうか。ちょっと個人的には意図がわからずに深読みしてしまったところだったが、やりたいことができていたらそれでよいと思う。完成に向けてぜひがんばって欲しい。

 

明青りんご(あおりんご)さん「夫のひとこと」

夫のひとこと

 この作品は、個人的に気が抜けてよかった作品だった。日々生活しているとこういう休憩みたいなマンガが読みたくなるときがあるもんだよな、と思った。一方、これはこれでよい気もするが、個人的には最後に触れられる主人公が「朝起きて外にも出た」ことは、作中の行動としてさらにディティールを持って描かれていると納得感が増すのではないかとも思って読んだ。いろんな読み方や考え方があると思うが、個人的には自分で「やるぞ」と意思を示したことが他人から認められたほうがうれしいのかなと思う。とはいえ、こういう100ではなく1を肯定するような描き方は個人的には好ましく思う。完成稿もぜひがんばって欲しい。

 

アキオさん「万引き少年と援交少女」

万引き少年と援交少女

 このお話は色々と考えされられる内容だった。予想が裏切られる展開的な心地よさもあり、作品を最後まで読まされた感じがあった。特に、8pの「前田くんって万引きとかする人だったんだ/ちょっと面白いね」や12pの「君を買いたい/君はいくらで買えるの?」などのセリフは予想外なセリフで読んでいてドキッとする。一方、後半に比べると前半がややわかりづらい箇所があり、4,5pの万引きで揉めるくだりはだれとだれの間にどういうことが起きているのかもう少しわかりやすいとよいのではないかと思った。とくに5pで「今日はこれで」といっている人物がだれなのかがわかりづらい。ただ、このお話は今回の課題作の中でもぜひ完成稿を読みたいと思った作品だ。こういう内容や情感がつまっている作品はとてもよいと思う。

 

赤い氷さん「三竹さん好きです」

三竹さん 

 このお話はよくがんばって作ってあると思ったのだが、お話全体がモノローグで説明されているせいか、個人的にはあまり関心にひっかかる所なく読み終えてしまった。なにか女の子のキャラクターに意外性があったり、男の子がなにか判断をする状況が描かれたりするとよかったのかなと思う。描こうとしていることはなんとなくわかる感じがするので、なにかこの作品ならではの要素がある作品になるとよいと思う。

 

阿山カンフーさん「ツチノコイヌ」

ツチノコイヌ

 この作品は言葉遣いやキャラクターたちの造詣がユーモラスで楽しい気持ちになる作品だった。おもちゃばこを覗いているようでたのしかった。ただ、肝心のツチノコイヌが卵から出てきたらわりとすぐにお話が終わってしまったことは個人的にはちょっと残念。てくてく後ろからついてくるところがなにかエピソード仕立てになっていたらうれしいのかなと思う。

 

深田えいひれさん「極限状態」

極限状態

 この作品は、よくでいているとは思ったものの、自分が筋トレとは全く無縁な人生を送っているせいか、そっか筋トレね、という感じであまりひっかかりなく読んでしまった。個人的には理性と本能の対比がピンとこなかった部分だったので、そこがもう少しわかるとうれしいのかもしれない。とはいえ4pマンガとしてはよくかけていると思う。

 

ぼんち。さん「恋に落ちても。」

恋に落ちても。

 このお話は、なんだか楽しげなお話しだとは思ったのだが、不思議と内容的にはうまくのれなかった感じだった。こういう感想でいいかわからないが、主人公のおじさんにあまり共感がなかったかな、という感じだ。わたしがあまりちゃんと読めているとも思えておらず、ちょっとなんとも言いがたい。この作品でしたかった重要な一点、みたいなことがわかるとうれしい。この作家さんは個人的に応援しているのでぜひがんばって欲しい。

 

ひむかさん「体温の形」

体温の形

 この作品は話としての構図がきれいで読みやすい作品だった。特にフリの「対象を好きになること」がオチの「一番簡単な上達法は」にかかっていて、ここはうまい。一方、レベルの高い作品だと思うからこそ感じることだが、ヒロインの先輩のキャラクターは脚本の都合に従いすぎているようにも感じた。なにかキャラクターとしての軸が一本感じられるとよいかと思った。ただ、念を押して言うとこの作品は非常にきれいでよい作品だと思う。十分楽しめるものにはなっていると思うので、ぜひ完成に向けてがんばって欲しい。

 

きぬばりさん「好きは上から、降ってくる」

好きは上から、降ってくる

 このお話はキャラクターがよく描けていて、やりとりの小気味よさもあってよかった。ただ、お話としては導入的で、この内容ならもう少し先のエピソードもページ数を増やして読みたいと思った。ただこれだけ描けていれば一読者としては安心感がある。非常によい作風だと思うのでぜひ完成目指してがんばって欲しい。

 

ほりい泉さん「Your words are」

Your words are

 この話は、絵柄もきれいで途中で展開が二転三転していて、よくいえば読んでいて飽きない話だと思った。途中からヒロインの茉莉花のキャラクターが崩れていって、最終的に立場が逆転するところが面白い。ただ、ネガティブにいうと展開がどんどん変わっていくので読んでいて着いていくのが少し大変だった。このお話は最終的に二人の様子にホッとできる三人称的なオチになっているところがよいと思うが、3pまでのフリは一人称的で、オチとフリの人称があまり対応していないところが個人的にはわかりづらく感じる。内容的には面白いと思うので、組み換えや整理で読みやすくなるタイプの作品ではないかと思うが、どうだろう。

 

あい乙いなびこさん「公園であの子と」

公園であの子と

 この作品は、お話の設定やマンガ的なつくりとしてはよく出来ていると思った。構図の工夫やコマわりが堂に入っている感じがする。ただ一方、細かい描写で少しづつわかりづらかったり気になる部分があった。たとえば1p2pの流れで主人公が少女に声をかけた理由がよくわからなかった。また、犬伏くんが目つきが悪いだけでヤンキー扱いされていてそれ以上説明がないのはいかがなものか、などとも思う。とはいえ、前の作品と比べても画面的にだんだんマンガっぽいものに近づいていることを感じ、そこがに感心した。完成を目指せる内容だと思うので、ぜひがんばって欲しい。

 

やながわけんじさん「カレー牛乳」

カレー牛乳

 この作品は、なんだか読んでいて泣けてくるようだった。少し抜けている少女の不安な部分見え隠れする中で物語が進行するからだと思うが、お父さんとの関係や学校での生活の安堵感にずしっと心が暖かくなっている。断続的に味わいがあるつくりで、今回の課題作品としてはこれ以上のものはないのではないだろうか。

 

桐山さん「境界」

境界

 このマンガはよく出来ていると思う。4pのものとしては読み応えがあって、納得感がちゃんとあるマンガだと思った。ただ細かい話だが、3pから4pにかけてのめくりは、ちょっと最初に読んだときはなにがおきているかがわかりづらかった。3pで「コトン」の後に主人公が机の中で起きたことを予想しているところは、もう一歩手前で、そもそも不可解なことが起きたこと自体に対する疑問のリアクションが欲しい部分ではないかと思う。それと、4pのめくりの大ゴマはおそらくモノローグがないほうが迫力やリズムが生まれてよいのではないだろうか。とはいえ、これはよいネームだと思うので、ぜひがんばって完成させてほしい。

 

やまださとし with うちやまつとむさん「浮丘千鶴のニチジョ」

浮丘千鶴のニチジョ

 この話は4コマで書かれていて、いままでのこの作家さんのお話に比べて汲み取りやすい内容に映った。まだわかりづらくはあるが、それぞれの4コマはよく読むとわかる内容ではないかと思う。パッと読んだところキャラクターたちの関係がどういう関係かがもっと明瞭になっていて欲しいかなと思う。無理に説明的になる必要はないと思うが、なにかお話としてまとまりが出てくると良いと思う。

 

中山懇さん「推しとメシで生きています。」

推しとメシで生きています。

 この作品は、作品のつくりのとおり読んでいておなかがすく作品だった。パッと読んで楽しみ方がわかるつくりでたいへん良いと思う。ほとんどいうことないできばえだと思ったが、個人的には推しに対する主人公の態度がよくわからないように映った。冒頭は主人公が推しとの間で悩んでいるところから始まるが、オチでは結局主人公は単に悩みなく推しを推しているように見えるので、そこはあまり解決が見えなくて不思議に感じた部分だった。とはいえ、作品の完成度が高いネームだと思うので、作者さんには自信を持って欲しい。

 

藍銅ツバメ(らんどうつばめ)さん「なんとなくネクロマンサー」

なんとなくネクロマンサー

 このお話は面白かった。単純にこの二人の切なく幸福な話としても読めてそこも良いと思うのだが、深刻さを崩す描き方のおかげでクスッと軽く読めるようになっているところがいいと思う。完成度が高いネームだと個人的には思うが、あえて気になるところを挙げるとすれば、5pの1コマ目の主人公が自分の感情を語るモノローグはちょっとわかりづらかった。主人公から相手への好意を示すシーンなので、個人的にはもう少し説得力がほしいと感じた。とはいえ、人によって反応が違ってくる部分だと思う。

 

くまのぶさん「おぼんやすみ」

おぼんやすみ

 このお話は素朴に良い話だった。ちょうど夏のこの季節に合わせたお話が読めてうれしい。これはこれでよく出来ていると思うが、6,7pを使った大ゴマの景色が主人公にとって思いがけない出来事だったことにもう少し強調があっても良いのかなと思う。ためがもう少し欲しいといったところだろうか。でも、こういうお話は王道で良いと思う。ぜひがんばってほしい。

 

大須健さん「おかしいとは思わねぇか?」

おかしいとは思わねぇか?

 この作品は発想は面白いとは思ったのだが個人的にはちょっとよくわからない感じだった。よく読むとたとえば最終話の「コンドームを自分で着ける男はおかしい!」などはなかなか良い話だと思うのだが、その良さに気がつきづらいように感じる。個人的には、セックスシーンであることの必然性がどのあたりにあったのかが気になって読んでしまったのだが、最終話のための設定ということで読み方としてはあっていたのだろうか。なんだか違う気がする。ずっと読んでいたら癖になるような感じもしていて、なんだか不思議な作品だ。

 

藤原 ハルさん「1/720の初恋」

1/720の初恋

 この話は面白かった。後半の森ちんのリアクションがしつこくて、こういう過剰さはマンガらしいと思う。今回の課題ネームの中では特に気に入った作品の一つだと思う。ほとんど言うことないネームだと思うが、タイトルにもなっている森ちんの粘菌好きの設定は面白いと思うのでもう少し内容にかかっていて欲しいとも思う。なんとなく森ちんと吉田さんは相性が良いキャラクターだとは思ったが、欲を言えば森ちんが吉田さんを好きになる部分にもう少し共感がほしいのかもしれない。

 

高月晃太さん「魔法少女現実を見ろ」

魔法少女現実を見ろ

 このお話は、個人的には難しく感じるお話だったがオチがほっこりしているところが良かった。分析的な見方すぎるかもしれないが”現実をみよう”という物語の最初に与えられる命題の解決が、最終的に人の温かさによってフィクションの終わりに着地する構図が良いと思う。一方、わたしの場合は話の後半になってやっとこの世界が魔法のない現実の世界だとわかったので、そこは前半でわかると個人的にはうれしい部分だと思った。個人的に、話の主張として一本筋が感じられるお話で好感を持ったお話だった。

 

東京ニトロさん「グランド・ツアー」

グランド・ツアー

 このお話はよくできていると思う。画面的にも読みやすく、また現実の出来事を使うことで物語としての余韻をうまく感じられる作品だと思った。一方、少し気になったのは11pのモノローグで入っている「あのとき先輩に/ちゃんと伝えられていたら/未来は変わったのだろうか?」というセリフで、ここは主人公が具体的になんのことを言っているのかがよくわからなかった。ここははっきりと内容が描かれていたほうがいい部分ではないかとおもうが、微妙なニュアンスを含む部分で実際の表現に落とし込むことが難しい部分なのかもしれない。

 

たにかわつかささん「梅雨空と真っ黒」

梅雨空と真っ黒

 このお話は、雨の中絵を書いている少女、真っ黒な絵のなぞ等の設定が良かった。設定だけで作品の世界観に引っ張っていく力があると思う。ただ一方、二人のキャラクターの感情がどちらも少し重い印象があり、個人的にキャラクターの心情の流れは少しつかみづらかった。どちらかというと悩んでいるおじさんの悩みが晴れる話だと思うので、少女の側のキャラクターに安心感があるとバランスはよいのかもしれない。ただ、ここは読み手によって感じかたが異なってる部分だと思う。個人的に、15pの主人公の「つかれてました・・・」というセリフが、この作品の意図するところを感じられる良いシーンではないかと思う。

 

ヤギワタルさん「ファクトチェックするトラベル」

ファクトチェックするトラベル

 このお話は、個人的には観光地を訪れることのよさがベタに描かれているところが好きだと思うお話だった。この作品で描かれているように、実際の観光地に行くと知らなかったことに気がつくことがよいよな、とうなづくように読んだ。一方、気になったというかあれっと思ったのは、肝心のファクトチェックする仕事という設定は少し肩透かしを食った感じだった。お話としてよくでいていると思うので、これはこれでよいとは思うのだが。たぶん、描きたい方向性があってこういう形になったのだと思うが、個人的にはフィクションや広い意味でのファンタジーの要素にもっと素直に入っていく描写があってもうれしいのかなと思う。
 

ねりけしさん「げきあつ!K-POP

げきあつ!K-POP

 この作品は良いと思う。描かれている実際のアーティストのよさが良く伝わってくる内容だった。特にそばかすを見せるために化粧をこするところは、今のアイドルってそういう丁寧なサービスすらするんだ、と普通に内容に感心して読んでしまった。こういう実録とかルポのようなマンガがこの作者さんには良くあっていると思う。この作品はぜひ完成したものが読みたい。

 

山岡兄弟さん「約束を守る」

約束を守る

 この作品は悪くないんじゃないかと思う。まだ少し読みづらいところがあると思うが、ストーリー的には十分な盛り上がりがある内容だと思った。一方、細かい話だが、9pの女の子の「全力でわたしを守って・・・」というセリフは話の流れとして少しわかりづらかった。この場面でなぜいきなり少年に頼る感じになったのだろう、と個人的には不思議に感じてしまったところだが、いづれにせよ細かい話だとは思う。今までの作品と比べるとわかりやすくなってきていていると思う。是非がんばって欲しい。

 

更新履歴:

2023/07/08 13作品感想追加
2023/07/14 12作品感想追加