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ひらめき☆マンガ教室の感想のヒント その2「”塩感想”を書こう」 #ひらめきマンガ

 前回、こちらの記事で扱った「楽をしよう」の内容は覚えているでしょうか。ひらめき☆マンガ教室のマンガ感想では主に制作者の方が直接読んでいるための特有の難しさがあり、これが「感想を短く書く」ことで難易度の緩和ができる、という話でした。
 感想は継続して書いているうちに気を配ることが増え、さらに膨大な量のマンガにすべて応えるとなると余計にハードルが上がっていき、次第に継続が困難になっていきます。このだんだんと上がっていくハードルの高さをどうにか解決し、継続的に感想を続けられる方法を探っていこうというのがこの「感想のヒント」シリーズの目的です。
 さて、前回は3つの困難を挙げ、それに対する処方箋として「感想を短く書く」ことを提案しましたが、今回はもう少し掘り下げて「感想を短く書く」先で起こる困難、つまり短く書こうとするだけでは対処に困る事態について考えていこうと思います。

●内容で困る

 これはひら☆マン感想あるあるだと思うのですが、どうしてもいろいろな作品を相手にしていると感想に困る作品は出てきます。どうしても感想が出てこない、しかしすでに作品との関係が悪くなってしまっていて一言も言葉にできる気がしない、かといって感想を書かないわけにもいかないので困ってしまう。そういう状況にどこかでぶつかります。
 ちなみに、このように言うとなにか「だれしもが感想に困る作品」のようなものがあると思われるといけないので制作者向けにも作品の読者向けにも補足ですが、どういう作品で感想に困るかは人によって違っているようです。個人的な経験として、自分にはうまく読めないけどほかの人にはとくに引っかかっていないこともありましたし、逆に周りが読み方に困っている中自分はクリアに読めている、ということもありました。なので、その時々、それぞれの人によって、感想に取り組む中で関係が悪くなる作品あるいは作家さんに出くわす状況がある、という話だと思ってください。
 脱線しましたが、感想が出てこなくなるシュチュエーションはいくつかあって、自分が関心のきっかけをうまくつかめない作品についてそのまま”関心がない”とそのまま言うわけにはいかないという場合や、レベルの高い作品について気後れしてしまい言葉が篭ってしまう場合などが主にあげられると思います。あとは感想とはまったく関係ないところで疲れている場合などもあります。
 内容で困っているときに、書いている手ごたえから、なるほど自分はこの作品が苦手なんだな、と客観的に思えればそれ相応の文章が捻出できたりするのですが、これも実は訓練をしないと難しかったりします。実際的には、感想の内容に集中していたりするとそういった客観的な視点を見失うことにもなりがちです。

 

●感想に思ったよりも時間がかかってしまう

 これもひら☆マン感想でだれしもが通過する大変なポイントではないでしょうか。ひらめき☆マンガ教室はとにかく作品数が多く、すべてにこたえると時間がかかります。前回ではたくさんの作品の感想を書くことは「感想を短く書く」ことで対処しよう、という趣旨を書きましたが、短い中で自分がある程度満足できる感想を書くことにもまたテクニックが必要です。つまり、「短く書く」といって別にそれが簡単なことなわけではないのです。
 時間がかかることの何が問題なのかといえば、時間を浪費することで作品との関係が悪くなっていくことです。油断していると思いがけず時間を無駄に消費してしまい感想自体の質が落ちてしまう。だから、可能であればさほど迷わずテキパキと感想を捻出できれば話が早いのだけど、意外とそれが難しいので困る、という話です。

 

●反響のなさ・手ごたえのなさに気持ちが空回りしてしまう

 これは人にもよって温度感が違うようですが、感想を人目につく場所(X、ブログ、ひらめき☆マンガ+など)で公開する場合、その感想がだれにどう読まれているのかを気にしていたり、あるいはなにかほかの人と感想を共有したいと思っている人も多いと思います。ですが、ひらめき☆マンガ教室に通っている通っていないにかかわらず、自分の感想が人にどう読まれているのか知る機会は想像よりも恵まれないことが多いようです。自分の想像よりも反応が薄いとだんだん気持ちが空回りを起こすようになっていきます。
 ただ一言で言って、これは「がんばって感想を書いてしまう」ことが問題です。がんばって、自分に無理を強いて書いていると「せっかく感想を書いたのにだれからも反応がない!」とか「自分なんて人になにか意見を伝えるに値しない人間なんだ」とか、どこかで過剰な負担がやってきて、結果として続けられなくなります。続けられなくなるほど自分をイジメる前に、「どうにかがんばらないで最後まで感想を書ききる」方法を獲得しましょう。
 特に最初のうちはがんばらずに書き上げることが難しいはずです。なので、その方法を今回は考えていきます。

 

 改めて書くと

●内容で困る

●感想に思ったよりも時間がかかってしまう

●反響のなさ・手ごたえのなさに気持ちが空回りしてしまう

これら3点が、特により実際的な困難として挙げられるのではないかと考えています。なんとかこれらに立ち向かって感想を書き続けるすべを考えていきたいところです。やはり前と同じく、この記事でも「無事1年間感想を続けられれば勝利」を目標にしよう、といいたいところですが、それは急には難しいので、「一度感想を書いてハードルが上がった後、次の感想にもっと時短で挑める展望が持てたら勝利」を目標にします。

 さて、これらを解決する方法として今回紹介したいことは「内容に困ったときの最終手段的なテンプレートを用意する」と「作品に優先順位をつける」です。これらでどのように問題が解決されるのか見ていきます。

 

●内容で困る

 内容に困ったときまず思い出さなくてはならないことは、とにかく文章を完成させることです。自分では不出来だと思うものでもとりあえず”これでひとまとまりの感想”というものを一つ一つ作って最終的に感想を公開するまで持っていくことが大切です。
 ですが内容に困る感想がとなかなか最後までたどり着けなくなったりしてきます。そこで紹介したいのがテンプレートで書いてしまう方法です。なにも内容が思い浮かばなかったとき、さっさとあきらめてテンプレートを使って感想を書いてしまいます。そうすると内容で困ったときにつぶしが利くようになります。
 ただ、注意してほしいですが、これは「手抜きをする」ということではあっても「なんでもいいから適当にやる」ということではありませんからね。全部ちゃんとやろうとするとたいへんになってしまうので、そうではなく、手を抜けるところは手を抜いてその中でちゃんとやる、ということです。
 テンプレートの見つけ方ですが、普通に感想を書きながら自分の感想でよく出てくるパターンを観察してテンプレートを探すとよいと思います。たとえば僕の場合「このお話は○○ページの××のセリフが☆☆でよかった」「このお話はちょっとよくわからなかった。~の部分は△△なのかなと思った。」などの書き出しは素の状態でも多用するので、感想を書くときにあらかじめ念頭に置くことにしています。
 ところで、こういうテンプレートとして使う感想はそれ相応にちょっとそっけない内容にしておくとなにかと便利です。言葉に困った緊急時を想定したものなのでハードルが低くなっていればなっているほど使い勝手がよいわけですね。そういったちょっとそっけない感じのテンプレートのことを僕は密かに”塩感想”と呼ぶことにしています。
 ひらめき☆マンガ教室の作品は量が量なのでそっけない感想が出てくるのを許してほしいという制作者に対する気持ちと、そっけないつもりで書いた感想が必ずしも悪い感想になっているわけではないらしいことがだんだんわかってきた、という僕の中の折衷の感覚として”塩感想”と呼ぶことにしています。
 実は、そっけない感想をいざ書くとなると、はたして本当にそんなに感想でいいのだろうか、ほかにもっとなにかいいたいことがあったのではないか、と感想の足がかりも生まれます。慣れないうちはテンプレートを運用するといってもうまくできる気がしないと思いますが、最初のうちは必ずしもはっきりした形である必要はないと思います。大事なのはどこかで「ちゃんとした感想」のような際限なく自分に要求するような気持ちをあきらめるきっかけを持っておく、ということです。そして、そのきっかけはハードルが低ければ低いほど自分を助けてくれます。
 実際にそっけない感想を書くもよし、それでは満足できないと工夫するもよし、とそっけないテンプレートを運用する方法は2度お得です。ぜひこのそっけないテンプレート、もとい”塩感想”をうまく活用しましょう。

 最後に具体例がてら、僕が実際に使っているテンプレートを載せておきます。
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 このお話はちょっとよくわらなかった。☆☆が大切な内容かなと思ったがあまり自信がない。ひょっとしたら◎◎ページにある「△△」というセリフは□□という意味だったのだろうか。
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 これはうまく理解できない作品について、一部分でも理解しようとした・なにか想像を膨らませた、という部分をでっち上げるめのテンプレートです。文章の終わり方などは何も考えていません。このテンプレートは感想が難航しそうになると意の一番に使うことを考える一番僕の中でハードルの低いテンプレートです。

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 よくできているお話だと思ったのだが、個人的にはちょっと難しく感じた。自分があまりうまく読めていないところがあるのだと思う。××の部分が○○だと個人的にはうれしいのかなと思う。
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 これは作品のレベルが高い場合に、自分の読解ではその良さや面白さがうまく発見できない場合に使うテンプレートです。実は、ほかの人には面白そうに思えるけど自分にはよくわからない作品の感想が一番難しく、いろいろごちゃごちゃ考えがちですが、そのごちゃごちゃの判断をすべてあきらめて「あまりうまく読めていない」という表現でまとめてしまいます。

 これらのテンプレートは僕の感想で実際に使っています。気になる人は課題1ネームの感想などを確認してみてください。

 

●感想に思ったよりも時間がかかってしまう

 想定外に感想で時間がかかってしまうのは、思うにひら☆マン課題で提出される全部の作品をどれも同じように扱ってしまうせいです。実際に感想を書いていると一つ一つの作品それぞれがそれぞれに大切に思えてきます。しかし、そういう”どれも大事”という精神状態になるとかえって自分の率直な感想が出てこなくなってしまい時間をとられます。それが繰り返されると、感想全体として作品との関係が悪くなっていきどんどん気が重くなっていきます。
 こういうときはいろいろあきらめて、好きな作品や時間をさいて考えたい作品は優先して時間を使って、そうでもない作品についてはサラッと書く、というやり方をとるといいです。結局それが内容的にも率直な内容につながっていき、精神的にも無理がありません。そのために「作品に優先順位をつけ」ましょう。
 具体的な優先順位の考え方ですが、ベタな方法ですが、感想を書く前にリストを作成して「好きな作品」「面白かった作品」「気になった作品」などにマークをします。関心のレベルを「最も関心がある」「少し関心がある」と2,3段階に分けてつけていくという感じです。そうするとマークがないものも含めだいたい3段階くらいに興味が分けられ、自分がどの作品に興味があってどの作品にはあまり関心がないのか自分で認識できるようになるはずです。
 そしてこれが大事ですが、実際にタイマーやストップウォッチを用意して、このように関心のレベルを分けたらそのレベルに応じて感想の足切り時間を設定します。たとえば一番優先度が低い作品群への感想にはそれぞれ8分くらい、一番優先して時間を使いたい作品群でもそれぞれ15分、などと感想を切り上げる時間をあらかじめ設定します。このとき足切り時間を越えても感想がうまく書けていなかったらあきらめてテンプレートの感想を書くようにします。ここまでが一連の工程です。
 足切り時間の決め方は、あまり短く設定するとそれはそれで苦しくなるので自分が無理なく感想を書ける範囲を見定めて決めればいいですが、基本的には短ければ短いほど作業全体は楽になります。僕の場合、たとえば一番関心の薄い作品群には8分以上時間を使っていたらマズイ、できれば5分以内で済ませたい、という感覚で実際に感想を書いています。
 またこういう作品ごとの重さを考えはじめると、作業としても頭から手をつけるものではなくなっていくのではないかと思います。人によって順序の持ち方は違うでしょうが、たとえば感想がどうにも重い作品や作家さんへの感想などはちょっと気合が必要だったりするので、バカ正直に一日の最初勢いがほしいときに書く必要はない、など思うようになります。
 改めて確認すると、大事なことは、時間をかけすぎて作品との関係が悪くなる状態をなんとか避けることです。感想はテンポよく書ければ楽しく書けます。自分が向きあっている作品がどの程度自分が優先して感想を送りたい作品なのか意識して、テンポよく感想を書いていきましょう。

 

●反響のなさ・手ごたえのなさに気持ちが空回りしてしまう

 最初に言っておくとこの問題が完全に解決する方法はないと思います。というのも、実はちゃんとした反応がもらえるためには半年とか1年とか、長いスパンが必要になることも多いからです。文章を書いて公開すると直後の反応が気になるものですが、「やっていてよかった」と思えるような反応にたどり着くためにはある程度耐えながら感想を続けるしかないようなところがあります。なのでそこにたどり着くまで「どうにかがんばらないで最後まで感想を書きき」って感想を続けていくことが大事です。
 とはいえ、この問題はもう少し前向きに解決を考えることもできます。
 たとえば0から100まで感想への反応があるのだとして、100の反応を想定して書いた文章にそれより少ない10とかくらいしか反応がないと気持ちが空回りします。逆にいえば10の反応しかないだろうと思って10の反応めがけた感想を書いていればそう変な空回りは起こりません。であれば、そのようにあらかじめ反応の程度を想定してそこにあわせて感想を試みるやり方をすることでこの問題は好転していくはずです。
 しかしここで困るのは、10を想定できたのだとしてその10にあわせた感想を書くことが技術的に難しいことです。ぼーっと感想を書いていると全力で100の感想を書いてしまうか、それともなにも書かないかと感想が100か0かになってしまいます。気持ちの空回りを解決していくためにはなんとかそこのコントロールを鍛えていくしかありません。
 結局、そうしてぼーっと感想をまんべんなく書かないための方法が、先にも紹介した「作品に優先順位をつける」ことなのです。たとえば、今回特におもしろかった5作品だけはこのおもしろかった気持ちをがんばって届けるぞ、などと思えれば、反応についても、その作品の制作者5人がどんな風に思っているのかな、など限定することができますね。ただ、そこで本当に手ごたえが得られるかはそう簡単にははっきりしないので、やはり耐えるしかないといえば耐えるしかありません。でも、すべての作品、すべての作家さんに対して区別なく漠然とソワソワして不安を抱えるよりは、こちらのほうが楽だと思います。
 またこれも大事なことなのですが、そうして優先順位を考えた結果、優先順位が高いものについてどうするかよりも、むしろ、優先順位の低いものについていかにがんばらずに感想を済ませていくかが全体の工夫のベースになっていくのではないかと思います。優先順位が低いからといって、人を人と思わないような感想を送るのでは自分だって耐えられないわけです。なので、そういうときのために最低限耐えうるテンプレートの一番簡単な感想、つまり自分にとっての”塩感想”を積極的に探していきましょう。

 

 というわけで、一見大きな問題のように見えた3つの問題でしたが、以上をまとめると

●内容で困る→困ったらそっけないテンプレートの感想を書いてすませる。文章の足がかりが見つからない場合、そのそっけなさ(テンプレート)との間で自分の感想を考える手がかりを得る。

●感想に思ったよりも時間がかかってしまう→作品に優先順位をつけ、優先順位の低いものは時間をかけないようにする。それぞれの作品と向き合っている間は全部大切だと思って全部に手間をかけようとしがち。時間をかけすぎてかえって作品との関係が悪くなっていく(つまり続けられなくなっていく)ことを最大の問題として考える。

●反響のなさ・手ごたえのなさに気持ちが空回りしてしまう→100か0かの感想を脱却し手ごたえに応じて労力をかける感想を目指す。そのために優先順位を考える。特にサッとすませたい作品への感想でストレスを抱えないようにするためテンプレートを組み立てて考える。

 となります。今回の内容はこれでおわりです。少しは問題が軽く見えてきたような気がしませんか。この内容は料理のレシピみたいなもので、「レシピを見ていたらその料理がしたくなった」というように「この文章を読んでいたらそのやり方で感想が書きたくなった」となってもらえることを目指しています。きっとそうして本当に感想を書いてもらえたら、それが事前に目標に掲げていた「一度感想を書いてハードルが上がった後、できるだけ時短で次の感想に挑める展望が持てたら勝利」が達成されたときです。

 というわけでこの記事はここでおわりです。今回はすでに記事タイトルの「ヒント」も少しづつ入っているように思いますが、もう少しだけこの先で僕が実践的に得た考えをヒント的に載せようと思います。

 今回「塩感想」というへんてこなワードを出しましたが、実はこれとは別に僕は「クソ感想」というこれまた変な感想の感覚を持っています。
 「クソ感想」とはなんぞやというと、勘違いや思い込みに気がつかずかとぼけてかその勘違いの上でなにか書いている、いわばちょっとズレたようなふざけたような感想です。僕はずっと、この「クソ感想」が感想としては一番おもしろい感想だと思ってます。
 というのも、勘違いやとぼけが見える感想はその人となりが伝わります。この人はまじめな人なんだなとか、テキトーな人なんだなとか、そういうことがわかってくるととたんにその人の文章で言われていることが府に落ちるような気がしてきます。
 なのですが、実はこの「クソ感想」をうまく生み出す方法が僕にはわかっていません。あくまでもちゃんと感想に取り組んだ結果としてふざける、という状態がどうにも再現できなくて。なのでここでもあまり具体的な例をかけないのですが、ただ、態度があると感想に色が出る、というのはそうなのかなと思っています。
 これは普通、個性とか言われるものだと思います。でも、その個性が感想のどこで出てくるのかというと先にあげた「クソ感想」のような感想、つまり、実はその人がなにか建設的なことを言っているときではなくて、その人がなにか作品に対して役立たずなことを言っているときに個性が出るのではないかと思うのです。しかし積極的に役立たずを狙っていてはその個性は発揮されないはずで、なにか必要に迫られた結果として役立たずさが発揮されたときに個性や色が生まれるのではないかと思います。
 その、必要に迫られて発生する役立たずな感想と考えられるもののひとつが、個人的には「塩感想」ではないかと思うのです。
 今回は「あきらめる」という言葉がひとつのキーワードだったと思うのですが、実を言うと、僕がこういう「テンプレートを使う」方法とか「作品に優先順位をつける」方法を使うようになったのは、時間をかければかけるほど自分の感想の内容がよくなっているわけではない、時間をかけたからといってそれに比例してなにか人に喜んでもらえているわけではないらしい、とだんだん思うようになったからです。
 ある地点まで、粘ってあきらめずに考えることが感想には必要だ、というところを一番大切に考えていたようなところがあったのですが(その結果粘らないときにどんなテンションで文章化すればいいのかわからなくなってそのテンションの差に困っていたのですが)、僕の場合、とにかく自分が想像しているよりも感想について反応がなかなかもらえないことがずっとネックで、反応がないと粘って考えるのもバカバカしく思えてきて、しかし反応がないから書かない・続けられないというのもなんだか格好悪いと思い、結果的に自己防衛のためにドンドン時間をつかわず意識的にテキトーにすませるようになっていきました。
 ただ、そうすると予想外にうれしかったことは、自分では手抜きかもしれないなと思ったような感想が意外と反応がよかったりしたことです。そういうことがあると、いや、自分でもこれは単なる手抜きだと思っていたけど、実際はここには葛藤や考えがあって手を抜くことにしたのだった、だからこれはただの手抜きではなかったのだった、と考えが変わったりします。そういうことがあると、なんだか前向きになれます。
 今回の記事で「なるほど、そういう”塩感想”みたいな感想で埋めてもいいのね」とどっちかというと比較的マシな位置づけとして受け取った人もいると思いますし、それは間違っていません。しかし同時に、僕は「塩感想」こそがなにか感想を発する側と感想を受け取る側の関係を円滑にしてくれているのではないかと考えています。