玄関先の言葉置き場

主にひらめき☆マンガ教室の感想用。メッセージ等はおたよりフォームへいただければ、配信でお返事します。

ひらめき☆マンガ教室 第6期 課題4完成稿感想 #ひらめきマンガ

 作品の感想を書きました。順番はひらめき☆マンガ教室の名簿順です。こちらの感想配信で内容の補足説明をしていますので、感想の詳細やニュアンスが知りたい方はそちらも参考にしてください。よろしくお願いします。大塚

全18作品感想

形井中へいさん「サッカー部員志田ちゃんの自由なふるまい」

サッカー部員志田ちゃんの自由なふるまい

 この作品は女の子がきれいに描かれていて絵に納得感があった。ただ、どうしてこういうヒロインが描かれているかはよくわからなかった。特段、内容がわからないということでもなかったのだが、読者として共感できるキャラクターがあまりいなかったことが読み方がわからなくなった原因なのかもしれない。とはいえ、絵的には非常に丁寧に描かれていて、それだけでも読ませる力がある作品だと思う。

 

明青りんご(あおりんご)さん「夫のひとこと」

夫のひとこと

 このマンガは主人公がかわいくてよかった。この女性のふわっとした感じはよくできていると思う。内容については、個人的にはこの旦那さん奥さんに対して甘すぎなのでは、とも思うが、4pマンガならこのくらいがちょうどいいのではないかとも思う。このマンガは今回の課題作の中でも、はっきり良いと思うマンガの一つだった。

 

阿山カンフーさん「ツチノコイヌ」

ツチノコイヌ

 このマンガは想像力があってキャッチーな描き方がされていて、楽しみがちゃんと用意されているマンガだった。画面的にところどころ白く感じる部分はあるが、全体として統一感が崩れておらずよくがんばって描かれていることを感じる。またこの作者さんの作品が読みたくなるような魅力を感じる作品だ。


深田えいひれさん「極限状態」

極限状態

 このマンガはネームと比べてよくなっていると思った。3,4pのコマ割りの変更や女の子の表情の変化など、修正がうまく効いていると思う。4ページマンガとしてはこのくらいの内容がちょうどよいと思う一方、女の子が筋トレに励む理由があるとより内容に入りやすいのかもしれないとも思う。今後もぜひこの調子でがんばって欲しい。

 

ぼんち。さん「恋に落ちても。」

恋に落ちても。

 この作品は主人公のおじさんからイケおじへの変更や、離婚の設定などよくがんばって作ってあると思った。毎度そうなのだが、今回の作品も読んでいて元気をもらえるように感じた。ただ、内容は駆け足ぎみで個人的には共感する前に読み終えてしまった感じだった。特に6,7p付近の離婚のいきさつが描かれるところはもう少しゆったり読ませても良い部分ではないかと思う。ネームと比較して読むとできるだけ読者視点の要望をかなえて修正しようという意気込みが見えると思う。今後もこの作者さんの作品は楽しみにしているのでぜひがんばって欲しい。

 

ひむかさん「体温の形」

体温の形

 この作品は内容も作画もきれいでうまくかみ合っていて大変よく出来ていると思う。12,13p付近のネームから新しく追加されたシーンもマンガらしい勢いを感じさせる演出だと思った。一方、よくできているからこそ気になると思ったのはオチ付近の14pで先輩が抱きしめる部分で、先輩が(おそらく)主人公を特別に思う理由がこの内容だけだとよくわからなかった。脚本にキャラクターの動きが従ってしまっている場面のようにも見えたが、わたしがなにか作品を読み取れていない部分があるのかもしれない。これだけ整った作品が作れていたら言うことないと思う。今後もぜひがんばって欲しい。

 

きぬばりさん「好きは突然に」

好きは突然に。

 このマンガは面白かった。ネームとは打って変わってBLを絡めた勘違いのくだらない話になっていて、ネームのものもよかったが、個人的にはこちらのほうが面白くてよかった。一方読みづらいところもあり、ダスティに話しかける蟹沢と主人公に話しかける友達とは最初同じ人物だと思ってしまった。こういうキャラクターが登場する場面はわかりづらくなりがちなので気をつけると良いかもしれない。とはいえ、このマンガはちゃんと読み手を楽しませてくれる魅力のあるマンガだった。

 

あい乙いなびこさん「公園であの子と」

公園であの子と

 この作品は話の設定や演出はよくできていると思う。ただ、個人的に話の主題が少しわかりづらく感じた話だった。友達を作ることが目標とされている割に主人公が受け身なところがわかりづらさにつながっているように思う。特にこういった主人公の葛藤を題材にするストーリーの場合、もう少し主人公が自分の身を切るというか、なにかベットするような場面があると納得感が増すのではないかと個人的には思う。がんばって作っていることは伝わってくるので、次回もぜひがんばって欲しい。

 

桐山さん「境界」

境界

 このマンガは言うことないと思う。ちゃんと怖いフリとオチで構図的にきれいだと思った。ただ個人的には3pまでであまりこのマンガ自体がホラーだと思わずに読んでいたので4pの怖い画面がちょっと唐突には映った。とはいえ細かい話で、十分良くできているマンガだと思う。

 

中山懇さん「推しとメシで生きています。」     

推しとメシで生きています。

 この作品はパッと読んだ感じがネームよりもよかった。画面のメリハリがあってよりマンガらしく感じられるようになっていると思う。ネームでは推しの設定など細かい点で気になっている部分もあったのだが、完成稿を読んでそれもあまり気にならないと思った。時間がなかったとのことだが、その中では十分よくできている作品なのではないだろうか。

 

藍銅ツバメ(らんどうつばめ)さん「なんとなくネクロマンサー」

なんとなくネクロマンサー

 この作品はネームと比べてもより不穏でアンバランスな感じがあって良かった。6pと短いページ数の中で救いのない感じとコミカルな雰囲気をこれだけ表現できることがすばらしいと思う。また、これはこれで良いと思ったが、もし今後こういう作品があるなら、今度はさらに救いがない話が読んでみたいとも思う。

 

くまのぶさん「おぼんやすみ」

おぼんやすみ

 この作品はよく出来ていると思う。この夏の季節に合っているいい話だった。一方、これはこれで良いと思うが、6,7pの見開きのシーンの前にこのシーンに意味を持たせる内容がなにか追加されても良いのではないかとも思った。せっかく良い話なのでタメや落差の演出があるとさらに映えるのかなという感じだ。


大須健さん「おかしいとは思わねぇか?」

おかしいとは思わねぇか?

 この話は申し訳ないが、なんとなくわかるような気がしつつも、はっきりとなにかがわかるともいえない、と受け取りを少し難しく感じたお話だった。部分部分としてはわかるのだが、このシュチュエーションにうまく着いていけなかった感じがしている。作中の会話の内容や、シュチュエーションそのものが悪いとも思わない。こういうマンガを試そうというところには共感があるのだがちょっと惜しい感じがした作品だ。


藤原 ハルさん「1/720の初恋」

1/720の初恋

 このマンガは気合が入っていて好感を持った。フキダシ等の細かい演出を伴う画面のつくりがこれだけ工夫されていることはすばらしいことだと思う。一方、これだけ良くできているからこそ気になる部分だが、森ちんが吉田さんに魅力を感じる部分については少し共感しづらいところがあった。森ちんの性の目覚めがギャグっぽく描かれている部分(心象風景として宇宙に行ってお漏らしする部分)と吉田さんの魅力の描かれ方に少しひねりが入っているところ(「性格キツイ」ところがあえてよい、という描き方)の、両方ともについていくのが少し大変、という感じがした。どちらか一方に絞るほうがベターではないかと個人的には思うが、読み手によっても意見が違うはずではっきりとはわからない。
 とはいえ、この指摘も工夫がされていることに比べたら些細な話で、これだけ気合を入れて描かれていることが本当にすばらしいと思う。今後も色々試行錯誤したマンガが読ませてもらえると一読者的にはうれしい。

 

東京ニトロさん「グランド・ツアー」

グランド・ツアー

 この作品は、現実の事件や出来事を題材にしてこういうお話が作れるのだと感心したお話だった。お話の作り方としても回想の中で時間が経過するところが技巧的で、12pの現在と過去が入り混じった不思議な空間の演出がうまくできていると思う。一方で、個人的には16pのマンガとしては少し展開が急だとも感じる。このくらいしっとりした内容なら、もう少しゆっくり展開して主人公の感情に共感する余韻を残せるとよいのだろうと思う。とはいえ、こういう作風はなかなかやろうと思ってできるものではないと思う。その中でとてもよくやっている作品だと思う。今後も応援している。


ヤギワタルさん「ファクトチェックするトラベル」

ファクトチェックするトラベル

 このお話は個人的には好きな話だった。マンガとしてもテンポよく読め、内容も観光の良いところをうまく捕らえている内容だと思う。一方、主人公にとってどのくらいの重要さがある出来事だったのかもう少し理解できるとうれしいとも思った。個人的には主人公がこの仕事を再び引き受けるオチの部分に対するフリがもう少し強く欲しいという気持ちだ。でも、これはこれでよくできている作品だと思う。次回もこの調子でぜひがんばって欲しい。

 

ねりけしさん「げきあつ!K-POP」     

げきあつ!K-POP

 この作品はよく描けているし全く悪くないと思うのだが、一方でこのアイドルのことがわからないとうまくついていけない内容かもしれない、と思って読んだ。自分がアイドル的なものにほとんどはまったことがないこともあって共感がしづらかったのかもしれない。これは好みの問題だとは思うが、もう少しエピソード仕立てになっていたらまた感想が変わってきたのかなと思う。個人的に好きな作風でよく出来ているマンガだとは思うのだが、なにか惜しい感じがしている。

 

山岡兄弟さん「約束を守る」

約束を守る

 ネームのときとあまり変わらない感想で申し訳ないが、今までの作品と比べてだんだんマンガっぽくなってきていて良いのではないかと思う。ただ、個人的にマンガを読む楽しみは絵を見る楽しみが大きいところがあって、どうしてもその点ではあまりうまみは感じられずにいる。とはいえ、こういう方法を試してみることはいいのではないだろうか。