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主にひらめき☆マンガ教室の感想用。メッセージ等はおたよりフォームへいただければ、配信でお返事します。

ひらめき☆マンガ教室 第6期 課題5ネーム感想 #ひらめきマンガ

 途中まで感想書きました。順番はひらめき☆マンガ教室の名簿順です。こちらの感想配信で内容の補足説明をしていますので、感想の詳細やニュアンスが知りたい方はそちらも参考にしてください。よろしくお願いします。大塚

全24作品感想

形井中へいさん「あの夏、いちばん愚かな海。」

あの夏、いちばん愚かな海。

 このお話は率直に、ああ、こういう出会い、イイ!と思った。オタクの心をくすぐるシュチュエーションが描かれていると思う。ただオチはちょっと急な感じもする。もう少しなにか、この二人がどうなるのかが知りたいように思うが、ギャグっぽく終わらせたかった感じだったのだろうか。よいネームだと思うのでぜひ完成稿がんばって欲しい。

 

明青りんご(あおりんご)さん「Flower of Bubble」

Flower of Bubble

 このお話は切ない余韻があるお話だった。個人的に、今から死ぬとわかっている人の決断を描いているところが読み応えを感じる部分だ。また今回のお題への答え方として短いなかでよくまとまっていると思う。していうなら、2pの人魚姫が決断する部分はモノローグではなく動きで言動を見せてもらいたい部分ではないかと思う。どういうペン入れになるのか楽しみな作品の一つだ。

 

アキオさん「後悔」

後悔

 この作者さんの作品はキャラのやりとりがいつも良い。この作品も魔女が姫の優柔不断さにキレているところが自然なやりとりだと思った。ただ、お話としては動きが少ないお話になので、なにかエピソードが盛り込まれるとうれしい。個人的にはこういう頑固なところがあるキャラクターはなにかに巻き込まれると反応が面白そうだと思ったりする。

 

赤い氷さん「人魚姫と天卵丼」

人魚姫と天玉丼

 このお話はちょっとよくわからなかった。冒頭の王子からの誘いと後半の食事のエピソードが個人的にうまくつながらなかったのだが、もしかして食事つながりということだったのかもしれない。冒頭の人魚姫は非常にかわいらしく描けていると思うのだが。どういうつながりで全体のエピソードが考えられているのかわかると一読者的にはうれしいのだと思う。

 

阿山カンフーさん「もっこす人魚姫」

もっこす人魚姫

 このお話はタイトルにもなっている人魚姫のキャラクターが子どもっぽく生意気でかわいらしかった。魔女が姫の恋路の心配をしているところもほっこりする描かれ方だった。一方、個人的には、せっかく姫の恋愛の話なので、やはり意中の相手とのやりとりも見てみたい。ただ、これはこれで二人の会話を楽しむお話なのかなとも思う。

 

深田えいひれさん「代償」

代償

 このお話は、これはこれで良いと思ったのだが、個人的には後もう少しなにか欲しいとも思う内容だった。個人的には出オチ感がしてしまっている。ギャグ的な構成としてはうまくできていると思うので、単純にわたしの好みからはずれていてうまく読めていないだけなのかもしれない。

 

ぼんち。さん「水の泡沫。」

水の泡沫。

 このお話は、個人的に姫がむしろ王子を海に引きずり込む、というアイデアに感心したお話だった。変に救いや慰めが描かれていないところが潔くていいと思う。個人的にはそれぞれのキャラクターのリアクションが、もう少し受け取りとその後の言動とがわけて描かれているとより情感が出てくるのではないかと思ったが、これは好みによるところが大きいのかもしれない。この作品は今回の課題の回答として個人的に感心したものの一つで、ぜひ完成稿を読みたい。

 

ひむかさん「ハッピーエンドの向こう側」

ハッピーエンドの向こう側

 このお話は美しい話でなんとなくやろうとしていることは伝わってくると思った。ただ、詳細な話の流れが少しわかりづらかった。特に魔女を殺したのち人魚となった王子と再会する9pから11pの部分の流れが、短いページの中では情報量が多い感じがしただろうか。とはいえ、今までの作品に引き続き話にも絵柄にも華がある作風で個人的には楽しく読ませてもらっている。ぜひ完成稿がんばって欲しい。

 

きぬばりさん「人見知り人魚」

人見知り人魚

 このネームは1pでクスッとできる内容でよくまとまっていると思う。コメディ寄りの内容なので、もしかしたらさらにそちらに振ると面白いのかもしれない。絵柄と内容とのギャップがあるところがうまく出来ていると思う。

 

ほりい泉さん「GAME」

GAME

 この話は面白く読んだ。「人魚姫」と「ハンターハンター」の二重のパロディのように思ったが、クライマックスの解決の部分はオリジナティがあって普通に良い話だった。特にこの15pの主人公の語り部分は一読者的に達成感を感じる部分だった。一方、全編通して文字情報が多いところは少し気になる。メリハリがついていればいいと思うのだが、特に最後の16pはセリフが少ないと余韻が残って良いのではないかと思うがどうだろう。

 

あい乙いなびこさん「ナナ、人間を好きになる」

ナナ、人間を好きになる

 この作品は、申し訳ないがよくわからなかった。どういう感じを伝えたい内容だったのだろう。描かれるものが一般的に見ておかしな内容で全然良いのだが(だから人魚が子どもにおしっこをかけられて好きになる、でも全然よいのだが)、ただ、そのためにはその内容がどのようにキャッチされるものなのかの説明が必要になると思う。アピール文に「子供がはしゃぐ空間なら、僕でも楽しめるだろう」という一文があって、そこから理解の補助線は引けるが、その部分をマンガの中でうまく描いて欲しいと思う。

 

やながわけんじさん「リンゴ」

リンゴ

 このお話は、何もしゃべらない主人公が切なくて非常に良かった。今回の人魚姫の課題の回答として、こういった元々のキャラクターをうまく切り出してアイデアを膨らませるやり方はとても良い回答だと思った。10pや12pの姫の表情がどうなるのか楽しみで、完成稿でまた改めて読ませてもらいたい。

 

桐山さん「あの子に」

あの子に

 このお話はアイデアが突飛で面白かった。耳を切り取って飲んで欲しいと願うというアイデアは奇妙で、マンガ的な面白さを感じる。また、実は読唇術が出来るという設定もキャラクターや世界観の解像度を高めていてよい効果になっていると思う。一方、きさきと姫のキャラクターがどっちなのか読んでいると混合する部分があった。(おそらくビジュアルが良いほうが物語の中心人物だと感覚的に思い込んだため。)完成すれば気にならなくなる部分だとも思うが、個人的な願望としては人魚姫のほうがかわいくあってほしいかなとも思う。このお話はアイデアと構成がよくかみ合っていて、非常にマンガらしい面白さがあると思うので、ぜひ完成までがんばって欲しい。

 

カネゴンさん 「王子様とイチャイチャ」

王子様とイチャイチャ♡

 このお話は内容への感想を持つ以前の話としてキャラクターの外見がわからず、そこがちょっとさびしく思った。どういうことを描きたかったのかがもう少しわかると感想も持ちやすいように思う。とはいえ、作品の提出があることは読者的にはうれしいことだ。是非今後もがんばって欲しい。

 

中山懇さん「姉は、人魚姫40歳」

姉は、人魚姫40歳

 このお話は景色のきれいなお話だと思った。ラストの3p(見開き2pの部分)が印象的で、ここだけで読んでよかったと思えるお話だと思う。一方、個人的には40歳の人間が15歳の人間にしりを叩かれて行動するところはあまり客観的には映らず、少しクセが強い部分に映った。とはいえ、イメージのふくらみがある内容でこれはよいお話だと思う。ぜひ完成してもらえたらうれしい。

 

藍銅ツバメ(らんどうつばめ)さん「人魚の三文小説」

人魚の三文小説

 今までの作品に引き続き、今回のお話も短い中でよくまとまっていると思う。しっかり主張もオチもある内容でこれはこれで言うことないが、3pから4pにかけての恋愛をめぐる議論が面白く、個人的にはそこをたっぷり読みたいとも思う。今回も安定してうまみがある内容で、これだけ毎回しっかり構成をとれていることに作品への信頼を感じている。ぜひ完成稿もがんばってほしい。

 

くまのぶさん「リトルカレッジ」

リトルカレッジ

 このお話は、これはこれでよく描けていると思ったのだが、お話としては少し途中で終わっている感じがあり、ここから先で起こるはずの王子様と出会った姫の変化を読んでみたいと思った。起承転結でいうと承までが描かれている感じがする、というとわかりやすいだろうか。人魚姫のかわいらしさと世界観の暖かさがよく描けていると思うので、このキャラクターを使った話の行方や登場人物の変化が見てみたいと思う。

 

大須健さん「筆談!伝われ!最後の夜!」

筆談!伝われ!最後の夜!!

 このお話は切なくてよかった。話の終わりで姫の魚の尻尾が生えてしまっているところが、またそれが絵で説明されているところがこの作品世界の広がりを感じさせるところだった。なんともせつない余韻があると思う。このお話はぜひ完成稿を読んでまた感想を考えてみたい。

 

藤原 ハルさん「人魚の選択」

人魚の選択

 このお話は、特にオチがマンガ的な演出がよく効いていて読みやすく、また人魚が恋をする相手が実は男性が好きというアイデアに面白さと切なさがあると思った。ただこういう叙情的な内容の場合、もう少し主人公の気持ちの移り変わりがはっきりと描かれて欲しいようにも感じる。もしかすると、王子があまりにも姫のほうを向かないことに話の動かなさを感じたのかもしれない。(生き返らせてしかも気持ちを譲ってくれたことへの感謝とかあってもいいのに!と思う。)ただ、わたしは男性で、このお話の勘所がイマイチつかめていないようにも思う。

 

高月晃太さん「にんぎょひめ」

にんぎょひめ

 このお話は、ファンタジーな世界と女の子の姦しさの組み合わせ良く、それだけで楽しく読めた。特に2,3pの海面に顔を出す主人公がかわいい。ただ、8,9pのくだりは意味的にちょっとわかりづらかった。特に”~なければ”が続くところがよくわかっていない。とはいえ、楽しさやかわいらしさがある、この作者の方の作風ともよく合っている内容だと思うので、ぜひ完成稿もがんばって欲しい。

 

たにかわつかささん「方向音痴の人魚姫」

方向音痴の人魚姫

 このお話はちゃんと冒険をしているところが良かった。とくにクジラの登場がクライマックスへのフリになっているところが読んでいて楽しい。よく出来ている内容で、ネームの段階では特に言うことないと思う。この作品は絵がつくとまた感想が変わりそうな作品で、ぜひ完成稿を読ませてもらいたい。

 

ヤギワタルさん「人魚は海に帰れない」

人魚は海に帰れない

 このお話は、なんだか不思議なお話だったが、辛い状況での主人公の決断が描かれていてこれは良いと思った。不思議というのは、なぜただの司書が人魚のことを詳しく知っているのかとか、憶測だけでは大ゴマで”魔女にはめられた?”とはなかなかならないのではないか、とかのことだが、作中でもさほど深入りしない部分なのでこれはこれでいいのかなと思う。この作品は辛さがとくにフォローされないところが主人公の決断を映えさせていると思う。なかなか味のある描き方だと思うので、ぜひ完成稿もがんばって欲しい。

 

ねりけしさん「ぜってぇ泡になんてならねえ人魚姫」

ぜってぇ泡になんてならねえ人魚姫

 このお話は、自立にいたる主人公の話の大筋としては良いと思ったのだが、前半のギャグ調の部分と後半のオチに至る情感を読ませる部分とでテイストが変化しているところがよみづらいと思った。この作品で描こうとしていることが、真面目な話の部分なのかギャグの部分かどっちなのかがちょっとわかりづらく、感想も難しく感じている。

 

山岡兄弟さん「人魚姫」

人魚姫

 このお話はよくできていると思う。個人的な好みの話といえば、泡になった主人公がゴミ扱いされて捨てられるところや、男があえて鈍感に描かれているところは露悪的であまり得意な描き方ではないと思ったが、ただ、現代劇として人魚姫を描いているところの組み換えがうまくできており、また海の役割を流れ着く場所として描くところに洞察力を感じる内容だった。気になったところを言えば、キャラクターが皆頬を赤らめてニコニコしていることは違和感がある。AI絵を使う以上避けられないのだろうが、個人的にはマンガとして評価の上限がそこで決まってしまうのかなという印象だ。

 

更新履歴:

2023/08/06 12作品感想追加
2023/08/10 12作品感想追加