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ひらめき☆マンガ教室 第5期 課題8 完成稿感想 #ひらめきマンガ

感想を載せておきます。掲載順は教室の名簿順です。まだかけていない感想は随時行為真する予定です。全て作品の感想を書きました。よろしくお願いします。大塚

最終更新:2022/11/20_15:06

感想の基準

 今回の課題「ネット経由で広がりそうな漫画」は、実は僕がひらめき☆マンガ教室の課題の中で最も苦手としているテーマ課題です。自分がツイッター上で流れてくるマンガを避ける傾向にあり、「ネットマンガ」というジャンル自体を正面から考えないようにしている節があるためです。
 避けてきた分やはり、というか今回の課題は課題と作品の応答について何をどう考えるとよいかわからず、なにか考えのヒントがないかと思い、教室の過去の課題文と課題作をあさってみました。

 ネットを想定した課題として出題されている、横山さんの課題の初年度の課題文には次のようにあります。

 

今の漫画業界はウェブから連載デビューを勝ち取る新人がすごい勢いで増えています。もちろん雑誌編集者から学ぶ漫画のノウハウも必要不可欠ですが、これからの時代はそれプラスネットでの嗅覚のようなものが武器になってきます。
ネットからの拡散を想定した読切 | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 

 特にこの中で「ネットでの嗅覚のようなもの」という文面がいいです。これってつまり、なにかヒットするのかは書いているがわにもわからないので行動が嗅覚頼りになる、ということですよね。なんというか、マンガ家とはどんな場所でも戦うものである、みたいな姿が想像できる一文だと思います。
 というわけで僕からは、今回の課題作品を読む基準として「広く読まれるための考えが及んでいることがわかるもの、あるいは、わからないなりのファイティングポーズが見られる作品」という基準を一つ設けようと思います。実際にそれが成功しているかどうかはともかく、これだったらウケがよいのではないか、というものを用意している作品を評価するという考えです。
 余談ですが、自分の音楽での経験に、駅前で演奏してみて最初はそんなに本気でもなかったのに、目の前に歩いている人がどんどん通り過ぎるのが思いのほか悔しく、立ち止まらせられる方法はないかとその場で演奏の仕方が変わった経験があります。ネット上でのマンガを公開する場合もこういった演奏と似ていて、その場の観客の存在感を感じ取ることこそが重要になる表現方法の一つなのではないかと思っています。

 

全14作品感想

nonakaさん「SNSはじめました」

SNSはじめました | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 この作品は擬人化がよく、悪くないマンガだと思った。インスタグラムとフェイスブックの登場シーンは雰囲気が出ていてよい。ただ、今からSNSを始める際にミクシィ前略プロフィールは想定しないのでは?とも。作者のnonakaさんがこのマンガを発想する段階で連想的に出てきたサイトがそのまま載ってしまっている印象を受ける。また、ここでは現実にSNSに乗っているわけではないので気にならないが、実際にSNS(おそらくツイッター)にこのマンガを載せるのだすると、もう少しこの作品の主人公がツイッターを選ぶことが前提に話が進んでいたほうが自然に見えるのかもしれない。

 

俗人ちん「友達と釣りでギスギスした話」

友達と釣りでギスギスした話 | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 このマンガは個人的には好きなのだが、俗人ちん(主人公)の発言へのフォローがないとストレスがかかる人がいるのだろうと想像した。素人考えだが、煽られた友だちがなにか言い返すとか、俗人ちん(主人公)も疲れて変なことを言ってしまっている様子がうかがえたりするとバランスが取れるのかも。このままだと実際にこの作品をツイッターなどでみかけても、このフォローのない感じのままだとRTなどしづらいような気がする。俗人ちん(主人公)がとてもかわいく、なにか光るものを感じる作品なのだが。

 

葉野 赤さん「○○ぎらいの…」

○○ぎらいの… | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 これはなんともいいづらいが、よくわからなかった。シュールな作品なのだろうがどう読んだものか。自分が不慣れなだけで読む人が読むと面白いタイプの作風かもしれない。なにかの型があって描いていることは感じる。

 

泉ころろんさん「絵はかわいい」

絵はかわいい | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 いままでの泉さんの漫画に比べて内容的にはわかりやすく文字情報が少ないので読みやすかった。ただオチが抜けている(主人公がどうなったかの情報がない)ように思うのでオチのためのページが追加されたら話としても面白くなるのではないかと思える。(ラーメン食べたとか、寝たとか、講師に向かって泣いたとか、オチはなんでもよいと思う。)一言付け加えるなら、マンガがうまくなっていると思ったので、マンガ描くの頑張ってください、と言いたいだろうか。

 

小林煌さん「整体の先生に、いい座り方を教わったのでお知らせします。」

整体の先生に、いい座り方を教わったのでお知らせします。 | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 このマンガは今回の課題のお手本のような回答の作品だと思った。よいマンガだと思う。ただ、細かく見るとちょっと変な場所があるようにも思える。姿勢の話なのに3pでみかん箱を前に座っているのは話の前提を壊していないかとか、同じ場面であまりにも当然に主人公がマンガと思しきものを描いているが、どうせここでやるなら1pから明言した方がスムーズではないかなど。おそらくこれは作者の小林さん自身の発想の仕方をそのままなぞったために生じたのではないだろうか。現実のことを書くエッセイマンガにありがちな難点が出ているのではないかと思う。

 

森紗はるきさん「こまめに進捗共有すると怒られが少ない」

こまめに進捗共有すると怒られが少ない | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 もう少し絵の情報があるとうれしいようには思うが、これはこれで見やすい。ページ一枚一枚がポスターのよう。ただ、なんだかあまり読んでいてありがたみを感じない。これを読んだ側にどんな気持ちになってほしいのかな、と思うところ。

 

qjinさん「罪と罰

罪と罰 | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 シュールで面白い。率直な表現で風刺も効いている。ただ、あまりにも表現が率直すぎて、ネット向けを考えるならもうちょっと説明がほしくなるのかな、とも思うところ。これが一発ネタではなくほかにも同じような味のある4コマが描けるなら、十分勝負できる内容だと思う。その意味ではもっと量が欲しくなるような形態だということかもしれない。

 

滑川王手さん「ビデオボックス・メモリーズ」

ビデオボックス・メモリーズ | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 これはよいと思う。絵柄の古さと内容の古さがあっている。この短いページ数のなかで前振りとオチだけでなく「付け加えるならば風のように…」のような小うるさい一言が入っているところも楽しい。作画的にはもうちょっとだけ頑張っていると広く受ける気がする。でも、そのくらいしか気になるようなところがないような面白いマンガだと思う。

 

鷹鯛ひさしさん「みどりのおじさん」

みどりのおじさん | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 読んだ瞬間あとがきマンガでよくみるやつ、と思った。よんでいるこっちがゆるくなる感じだ。一方、ラフな絵柄にするために情報を捨象していると思うが、せっかく外での出来事として書いているので、鏡を見る場所がどんな場所なのかくらいはわかるようにするといいのかもしれない。生活の中のどんな場面で自分の服装に気が付いたのかがわかると読者的にはうれしいように感じる。

 

いとしろ たかやさん「猫耳な幼馴染」

猫耳な幼馴染 | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 このマンガはやりたいことがギュッと詰まっているマンガだと思った。気合が入っていると思う。ただ反面、情報がちょっと多いような気もする。個人的には3pの「元に戻ればいいけど」という言葉に、この猫耳がある世界はどういう世界?と思ってしまった。ほかにも男性のキャラクターに関して2pと4pでキャラクターの反応が異なっていて統一性はない感じだ。(ここはあえてということなのかもしれない)とはいえ、女の子がかわいく、読んでいてちょっとドキッとするような元気がもらえるマンガにはなっていると思う。

 

谷なすびさん「僕のリモートワーク環境」

僕のリモートワーク環境 | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 内容の面白さはあると思った。だがもうちょっと絵の情報が欲しくなる。好きな同僚」がどんなビジュアルなのかが気になった。ただ、たった2ページのなかでしっかり独自の要素を組み込んでいるのは偉い。

 

たにかわ つかささん「変温動物のきさらぎ先輩」

変温動物のきさらぎ先輩 | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 このマンガは勝てるアイデアをうまく持ってきたと思った。うまくできている。ただ細かく言うと、この作品からは変温動物の人類がいることについての明確な設定がわからない。どの程度のファンタジーであるのかは作品内ではっきり設定することが好ましいのではないだろうか。(個人的にはこの描き方だと、きさらぎ先輩が本当に変温動物であるのかはわからない(自称なのかもしれない)し、もし本当に変温動物なのだとしたらそれだけ大掛かりな事実をどうして田辺くんは知らないのか疑問が生じてしまう。)とはいえ、この作品はネット受けの意味ではよく考えられて作られていると思う。よい。

 

つりばしわたるさん「「はわーちゃん」自己紹介マンガ」

「はわーちゃん」自己紹介マンガ | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 本当はもっと4コマが欲しいとは思うが、これはこれで成立しているんじゃないだろうか。このマンガに関しては合同誌企画の宣伝キャラを使ったマンガということで、目的の達成のためにこのマンガがどう機能しているかが練られていることが好ましいと思う。実際はどうだったのだろうか。

 

千住ちはるさん「マタニティおじさん」

マタニティおじさん | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 このマンガは特に1pの画面のつくりがよい。表題と合わせて「ん、なんだろうな」と思わせる引きになっている。ただ、この作品は描かんとすることはなんとなくわかる気もするが、しかし受け取り方がわからない。どういう世界観の作品なのだろう。もうちょっと読み方の方向付けがあるとうれしいという感想だ。

 

更新履歴
2022/11/06 感想の基準追加,5作品感想追加
2022/11/13 5作品感想追加
2022/11/20 4作品感想追加