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ひらめき☆マンガ教室 第5期 課題10 完成稿感想 #ひらめきマンガ

完成稿の感想を書きました。順番は教室の名簿順です。よろしくお願いします。大塚

最終更新:2023/01/08 

全7作品感想

noanakaさん「リタリーマン」

リタリーマン | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 このマンガはネームから完成稿にかけてやろうとしていることがはっきり見えるようになって印象がよくなった。画面のつくりのおかげで大人の目線から子どもをみる視点がはっきりしていて、場面場面が誰視点の状況かが読み取りやすい。
 ただ、内容の話になるが、このマンガ、子どもが実際に読んでどう思うのかなと思う。簡単にいうと子どもをいじめすぎなのではないか。例えば12pの研究者らしき人のセリフ「そんでこれ終わったら飲みに行こうか」とかは読んでいてうっとなった。子どものことを描こうとしているようで、実は大人のことを描こうとしているような空気感を少し感じる。深読みしすぎなのかもしれない。(勘違いしてほしくないが、このマンガが倫理的にいかがなものかとか、人を傷つける表現がダメとかいうことを言いたいわけではないので一応。そう読めた、そのように読んでしまったということ。)

 

葉野 赤さん「熊」

熊 | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 このマンガはネームの時も何回も読んでいて感想が難しくなっているが、ネームの時に比べて読みやすいと思った。ネームを読んだときは話の内容からじっとりした印象を受けたのだが、完成稿になって読んでみると思ったよりもサラッと話が進んでいると感じる。このサラッとした感じは作家が持ち味をうまくいかせているポイントだと思う。また、非常に細かいことだが、13pと14pの主人公の体の向きが左向きから右向きに変更されているのだが、これが全体の読み味を軽くしていると思った。
 ただ一方で、この完成稿を読んで改めて感じたが、ネームの時にひっかかりがあった夢の内容の重たさはいまだに感じる。とはいえ、ネームの時もどうして重く感じるかがうまく説明できないと思ったのだが、完成稿になってもうまく言えそうにない。単に自分の受け取り方が下手だという気もしている。(今まで自分が読んだことのあるマンガの型にあてはめて読もうとしすぎて失敗しているだけかもしれない。)あるいはもしかすると意外と単純な話で、8pから10pにかけての文字情報が多くてひっかかっているだけかもしれない。

 

かわじろうさん「キツネとターキー」

キツネとジャンボターキー | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト 

 このマンガはネームの時に想像した通りによかった。ネームの時とで印象が変わったのは特に12pと13pの場面。完成稿になってキツネのデザインがはっきりしたおかげなのか、セリフのないコマから哀愁を感じるとともに、ネームの時にはそうではなかったのだが、この主人公がどうしてこのような行動をしたのかがあまり気にならなくなった。おそらくネーム時には12pの1コマ目に主人公の狐の姿があったところが完成稿ではいなくなったことで、神経質に読まずに済むようになったかと思える。
 他、3pキツネの登場シーン、9p「ズンズン」、15pの朝日の入る描写など、画面の中に時間を閉じ込めるような演出になっていてよかった。変な感想だが画面づくりの工夫がわかりやすく読んでいる方も褒めやすい。気持ちのいい作品だった。

 

泉ころろんさん「今日は寝たくない」

今日は寝たくない | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 うまくいえないが、たしかにネームの時よりいい。全体のテンポがぐっと良くなって1pの「チクッ」が正しく機能しているように見える。意外とこれはこれで悪くないと思うのだが、ただ、オチがやはりわからない。夢を見たにーちゃんがその後なぜ外にいたのか、最後のコマはなにか太陽を倒したらしいような画面だがなにがどうなったのかはよくわからない。読んだ感じとしては楽しかったと褒めたいのだが、とはいえ、読んでもわからないところがあるとそのままでは褒められないなと、もどかしい気持ちでいる。

 

qjinさん「リトルフィンガーバスターズ」

リトルフィンガーバスターズ | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 ネームの時に比べてより素直に楽しんで読んだ。特に導入の部分の修正には好感を持つ。とはいえまだ全体としてどういう話なのかいまいちわからなかった。例えば1pの「バシュ」がなんなのかよくわからない(エルフの技?のようだけど説明不足な気がする)、あとこれはネームの時から疑問だったがどうやってこれだけたくさんのタンスを用意したのかも気になる。また、せっかく用意したタンスがほとんどハッタリとしてしか機能していないのも納得感が弱いようにも思う。どれも細かいうえに個別なことなのだが、個人的にはどれも引っかかるポイントだった。これが万人にとってそうだとはあまり思わないが、何らかの狙いがうまく達成されていないような印象を持つ。

 

谷なすびさん「ハートパンツの彼女」

白パンツの彼女 | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 このマンガは、なにか惜しい印象。絵的に頑張っていることはとてもよく伝わってくるのだが、特にセリフ選びの部分でネームのときの勢いが殺されているように思える。性的な内容なので余計に照れが生じやすかったのかもしれないが、とくに5pの「ダメだ朦朧としていて手が勝手にパンツの方へ」。こんなにセリフで説明してしまっては興ざめだと思う。今回に関しては特に夢の中の出来事なので、言葉での説明が少し足らないくらいが唐突な感じがしてちょうどよかったのではないか。
 他にも3p「だれ?」に返答がないこと、4p「ハートのパンツだパンツがある」「でも触りたいパンツに触りたい」の言葉の繰り返し、6p「だめだよこんなこと/僕は最低だ…」など一コマの中で二つのことが説明されるなど、セリフがいちいち引っかかってしまった。内容的に大好きなので、そこが残念。
 また、白パンツからハートパンツへの変更、これはいかがなものか。これはこれでいいんじゃないかと一瞬思いかけたがそれは日和なのであって、やはり青春は白パンツ。女子高生のパンツを拝むとしたら白パンツと相場が決まっている。…とそれはさすがに冗談だが、このマンガの場合はヒロインのパンツは白パンツの方がよかったとは思う。これがもし現実の話だったらハートパンツでよいと思うが、夢の中なのでハート柄ではうるさすぎるのでは。ここでは夢の中の象徴としてのパンツの表現なはずなので、色はどうであれもっと簡素な表現が合っていたかと思う。

 

よこうたださん「つれづれ暮らし」

つれづれ日暮し | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 エッセイマンガ風のつくりで淡々と進行していく雰囲気は合っていると思った。ただ、私がこのタイプのマンガが苦手なこともあり、あまり好んで読むような作風ではないとは思う。一方で現実のよこうたださんのキャラクターを少しは知っているので、その意味では面白く読み…と感じ方が複雑なマンガだった。全体の印象としては、客観的に見れば、良くも悪くもよこうたださんのキャラクターを知っている人を前提している作品な印象だ。
 あえて気になったところを言うなら、「つれづれ暮らし」の1p目は情報がちょっと多くてガチャガチャした印象を受ける。「行ってきた!!やんぐはうすらじお」は、現実の出来事をベースにしすぎている感じがあり、こちらはよこうたださんを知っている人向けになりすぎていると思う。例えば一言「これは2022年某日、ひらめき☆マンガ教室の宣伝によそのラジオを訪れたときの話である」とか「※「やんぐはうすらじお」…ゲンロン 大森望 SF創作講座の感想ラジオ。うんぬんかんぬん。」など、前情報のない人へのフォローの説明があると親切だったのではないかと思う。