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ひらめき☆マンガ教室 第5期 最終課題 ネーム感想 #ひらめきマンガ

全感想書いたのでアップします。掲載順は教室の名簿順です。
また、今回の課題感想についてはせっかく最終課題なので教室のサイト以外で教室の課題のネームとしてわかるように公開されるものについても感想を残す予定です。よろしくお願いします。

最終更新:2023/01/22_00:04

全10作品感想

大久保どんぶりさん「MyNameIs」

MyNameIs | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 これは悪い意味ではなく、今までに映画かなにかで見たことがありそうな内容だと思った。今までの作品もよかったが今回もお話としてはあいかわらず面白かった。ただ一方で展開の流れが淡々としていて、それはそれで狙っている演出だとは思うが、マンガ的にはもう少し盛り上がりが欲しいようにも思う。
 例えば8pの事故の付近をもう少し大変な事態が起こったとわかるようにするとか、14pの別れの場面の構図をもっと大きくするとか、なにか無理ない範囲での工夫はあり得るように思う。以前どこかで武富さんが「1見開きに一コマ『ここだけを見てほしい』というコマを作る」という話をしていた記憶があるが、もしかするとそういう意識を持つとこの先の工夫が加えやすいのかもしれない。

 

俗人ちんさん「思春期限界僧侶(仮)」

思春期限界僧侶(仮) | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 このネームはどこに作った側の狙いがあるのかイマイチ掴みづらかった。なんというか、男子同士がイチャイチャしている話として読んだがそれでよかったのだろうか。それはそれでありだと思うがなにか作品が想定している狙いとは違っている気がする。
 作品についていろいろ言えることはありそうなのだが、正直な気持ちを言うと、今までエロギャグを描いてきたこの作者の方が最終課題としてやりたいことが本当にこういう作品なのかな、という疑問が先立っている。変に気配りをするよりも、偏りを伸ばすほうがマンガ描きとしては正解だと思う。いや、一意見にすぎないのだが。

 

はねむらさん「極貧女子と見習い女神さま」

極貧女子と見習い女神さま | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 このマンガは悪くないと思う。個人的にはそれぞれのキャラクターの造形がよくギャグもわかりやすくて好感を持つ作品。ただ、積極的には良いと言いきれない部分があると思ったのは、オチで二人の共同生活としていて連載の第1話的な位置付けをしている部分。この内容だけだと二人の共同生活感は感じとれないのでやや強引なオチだと思った。たとえば二人でタコを食べている絵があるとかだけでも生活をにおわせるオチになるように思う。とはいえこれは個人的には気になるという話で、他の部分では狙っていることが達成できている作りになっていると思うので、すでに十分かとも思う。完成して仕上がりを見てみないとわからないことなのかもしれない。

 

森紗はるきさん「試されるデート」

試されるデート | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 やろうとしていることはわかるネームだと思った。女の子がはっきりと別れようと切り出すところとはっきりとキスをするところがいい。一方、これはこれでエネルギッシュだと思うが、個人的にはもう少し各々の話にふくらみがほしい。特に、女の子が男の子を見直す部分は話の中心のはずなのでもっと盛り上がるとよいかと思う。ぜひこのエネルギッシュさが作品になったところを見たいと思う。

 

qjinさん「天職」

天職 | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 なるほど、これはこれで成立しているんじゃないかと思う。しかし、好みは分かれる内容だろう。わたしはあまり好き好んで読むタイプの作品ではないと思った。(単にグロい内容がニガテだ。)それと、ちょっと思ったのは、こういう内容の場合は特に作品の世界観が重要になるだろうと思う。この内容を何として提示しているか、の部分が重要なはずだということ。わたしの場合はそもそもこのネームの内容がニガテでそれ以上作品に入っていかなかった部分はあったのだが、どういう世界観の作品かがよくわかっていないのも読みがストップする理由の一つになっていると思う。

 

いとしろ たかやさん「きみを想う」

きみを想う | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 今までの同じ作者の内容と比べても、今回の話は特にギャグや犯罪的な奇抜な設定などがない中高生の率直な恋愛の話になっており、そこが好感を持ったポイントだった。ただ反面、特別な出来事が起らない話とも言え、恋愛の話一本での勝負になっていてその分読むときのハードルは高くなっていることを感じた。それを踏まえて言うと、中高生の恋愛っていいなという感想もある一方、これだけだと話の面白みが弱いとも感じている。
 特に、壁ドンをしたり指を舐めたりとエピソードとしてあるのはよいと思うのだが、個人的にはオチやストーリーの中でそれぞれがバラバラに置かれているように見え、どのように機能しているかがあまりよくわかっていない。ただこれは、わたしがこの手の女性向けのマンガを読みなれていないせいが多分にあると思う。
 それと、この作品に関しては特に恋愛が話が中心だと思ったので気になったのだが、女性の側の恋愛感情をすかす描写が気になる。男性が急に指を舐めたりするような強引な描写がある一方、女性が男性にその気がないように「私も」(19p)というあたりが、なんだか落ち着かない。だからと言って、なにか修正した方がいいはずだとかいうこともないのだが。しかし一男性読者のただの感想としてはそんなことも思う。

 

とみたさん「うろんな男」

うろんな男 | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 ド素人の意見だがとても読みやすい。あまりセリフを読まなくてもスイスイとページをめくれてしまう感覚だ。ただたしかにこのネームは完成度は高いのだが、存外、読み終わったときに印象に残らない感じだった。完成稿になって絵がはっきりするとまた印象が変わるような気がするが、とはいえ、個人的にはこのままの展開で完成するともう一歩なにか物足りなくなると思う。
 印象に残らないと思ったのはおそらく内容から物語があまり読み取れなかったためだと思う。物語という言葉だとわかりづらいかもしれないが、簡単にいうと、このエピソードを経て主人公がどんな変化を得るに至ったのかがあまりわからなかった、ということ。ここの意味、説明が難しいのだがなんとか伝わっているだろうか。

 

たにかわ つかささん「ネ古民家(ねこみんか)」

ネ古民家(ねこみんか) | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 このネームは今回の最終課題ネームの中では一番考えさせられた内容だった。よいといっていいかわからないが、今までこの作者の方が描いてきたカップル物の中では組み込まれていなかった固有の設定として女性キャラのうつ病の設定を具体的に盛り込んだところはテーマ選びとして気合が入っていると思う。
 ただ個人的な意見を言うと、具体的な問題を作品に持ち込んだのは大変よいことだと思うのだが、肝心のその問題の解決法の部分としてネ古民家を開く展開があまりしっくり来ていない。生活に余裕がない同棲中のカップルの話として、最終的に店を開くことで問題の解決を図ることはムズカシイ、ファンタジーすぎるのではないか、と反射的に思った。ただそう思うと同時に、ひょっとすると自分がそこに対して過剰に反応してしまっているだけで、そもそもそのように読まれるように設計された作品ではないのかもしれない、とも思う。
 しかしいづれにせよ、この作品は思わず考えさせられるという意味ではおそらく狙い通りに作られている作品だと思う。しかし、作品が持っている問題の投げかけに対して作品自身が十分こたえられているように映るかというと、微妙だ、難しい、という感想になる作品だった。これは読み手によっても反応が違う部分のはずで、いろんな意見があると思う。
 個人的には、上記ではネガティブな感想に映ってしまったかもしれないが、具体的なテーマを扱うマンガは本当によいと思っていてこのマンガのことは応援している。そもそもほかの方に比べて難しい内容を扱っているようにも思う。ぜひ試行錯誤して完成させてほしい。

 

よこうたださん「つれづれ日暮しパスタ」

つれづれ日暮しパスタ | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 これはこれでマンガとして成立しているとは思う。ただ、興味を持って読めるかというと難しい。たとえば導入の部分では急に料理作りが始まっているが、ここになにか料理をするに至る流れみたいなものが用意されていると、ぐっと興味が沸く内容になるかと思う。例えば課題6の「きょうの犬ごはん」ではそれができていた。
 その二つの作品を比べたときに、今回の話は全然興味が持てない話になっている、しかし「きょうの犬ごはん」は十分興味が持てる内容だった、ということは知っておいてほしいと思う。

 

吉田屋敷さん「リョータとリョーコと体育祭」

リョータとリョーコと体育祭 | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト

 この作品は、今回のネームの中ではダントツだった。また最終講評回に提出する作品としてもよく考えられていると思う。適度に内容がありつつ、しかしマンガ的な面白さに全く妥協がない。また、このマンガは特に話の引っ張り方がうまくリズムが優れていると思う。個人的には特に、6p「優勝争いに関係ないから」のセリフがこの次のページで解説がされている部分、理由はよくわからないがこの引っ張り方で作品の内容にグッと誘導されたように感じている。ほか20pから25pに至る描写も照れがなくていい。大賞も狙える内容だと思うので、ぜひ頑張ってほしい。

 

更新履歴

2023/01/14 4作品感想追加
2023/01/20 3作品感想追加
2023/01/22 3作品感想追加