玄関先の言葉置き場

主にひらめき☆マンガ教室の感想用。メッセージ等はおたよりフォームへいただければ、配信でお返事します。

ひらめき☆マンガ教室第6期 課題6ネーム感想 #ひらめきマンガ

 作品の感想を書きました。順番はひらめき☆マンガ教室の名簿順です。こちらの感想配信で内容の補足説明をしていますので、感想の詳細やニュアンスが知りたい方はそちらも参考にしてください。よろしくお願いします。大塚

全20作品感想

形井中へいさん「朝熊会長は絵が描けない

 このお話はよいと思う。特に少しエッチな展開を思わせるフリから最終的に脇にたどり着いたので、なるほどとなった。あまり真面目に言うのも変な気はするが、この描き方は具体的な嗜好がはっきり描かれているのがいい。ただ、冒頭の状況は初読のときにどういう状況かわからず少し戸惑った部分だった。ただ、これは完成するとほとんど気にならなくなる部分かもしれない。こういうちょっと下品なことをちゃんと下品に描いている話は好きで、このお話は完成図がぜひ読んでみたい。

 

明青りんご(あおりんご)さん「夜の探し物

 このお話は夜の学校でヒロインと出会う、という設定が良いと思う。ただ、短い内容の中で主人公もヒロインも内心の声が出てくるので、それはどちらかに統一してもらえるとキャラクターが捕らえやすいと思った。このお話は状況設定で妄想が膨らみそうで、完成稿では楽しい感じやわくわくする感じを読ませてもらえるとうれしい。

 

阿山カンフーさん「カイロガン

 このお話は基本的にスラスラと読めて楽しい感じもある良い作品だと思うのだが、オチはこれはちょっとわからないとは思った。個人的には突飛で面白いとも思えるのだが、たださすがにもうちょっとフリがあってほしいだろうか。もう少しイメージしているものが伝わってくるとうれしいように思う。

 

深田えいひれさん「ラジオガール

 このお話はなんだかおもしろいと思った。なにがというと難しいが、おそらく作者自身の体験の部分と想像で書かれている部分の按配が心地よいのだと思う。キャラクターのちょっと頭が悪そうな感じもよくできていると思う。4コマで完成図があまりイメージできない部分もあるが、よさそうな内容なので、ぜひ完成させてもらえるとうれしい。

 

ぼんち。さん「バレちゃう。

 このお話は、これはこれで成立しているお話だと思う。ただ、話の規模が少しこじんまりとしていると思った。どこかアイデアが煮詰まっている印象もうけたがどうだったのだろう。個人的には、序盤のセックスのフリと後半の膀胱炎のオチがちょっと話がズレているようにも思った。がおそらくそれは細かい話で、男性読者的には少し触れずらい内容だというのが正直な感想かもしれない。

 

ひむかさん「夏の夜の夢

 このお話はそれぞれの人のフェチのようなところに投げかけるタイプのお話ではないかと思って読んだ。個人的にはきれいだと思ったものの、もうワンアイデア展開が欲しい感じがしただろうか。ただ、この手の作品は読者によって当たり外れが激しいと思うので、あまり気にしないで欲しい。信じている内容をしっかり表現してもらえたらそれが良いと思う。

 

きぬばりさん「ナイトパック

 このお話はなんだか展開が気になって読まされてしまった。ゾンビものだとは予想外だったが、ネカフェの人たちがゾンビという設定は、なんとなく想像力としてわかるような気がする。個人的にはお茶の効能に気がつくオチはなにかほかの別の形があるように思ったのだが、どちらかというとテクニック的な話だと思うのでそんなに重要なことではないように思う。このお話は魅力があると思うので、ぜひ完成稿が読みたい。

 

あい乙いなびこさん「城の中の浦島太郎

 このお話は全編通して読むと何を表現しようとしているのかはわかる内容だと思う。浦島太郎の解釈のようなことをしようとしていることは個人的に理解できると思った。ただ、特に最初の7p付近までの流れはほとんど初読では意味内容がわからなかった。そのせいか全体の印象がぼんやりしており、現時点であまりこの作品でやろうとしていることがつかめていない、といった感想だ。

 

やながわけんじさん「煩悩

 このお話はくだらない内容で気が抜けた。こういうくだらないお話はたいへんよいと思う。一方、だからこそ主人公の性欲はもっとはっきり描いて欲しいとは思った。最後のシーンはたぶんヒロインのしぐさに勃起してトイレに自慰に向かったということだと思うが、これはわかりにくく、ここははっきりしてほしい、と個人的には思う。こういうわざとらしいくらいのマンガは面白いと思うので、完成稿が非常に楽しみだ。

 

桐山さん「死あるいは死

 このお話は展開があるお話で、4pマンガ的な小粒なおいしさがあると思った。個人的にお話としてのくだらなさがちょうどよいぐらいだった。この内容はラフな絵が合っているように思うが、完成稿ではまた変化するのだろうか。どういう仕上がりになるのか楽しみだ。

 

七井一汐(なないつ)さん「アラサーがJKの制服を着て電車に乗ってみた結果

 このお話はなんだか不思議で面白いお話だと思った。痴漢に対する裁きが物語の下敷きになっていると思われる一方、それをどこか脱臼させようとする意思も感じる。適度にトゲトゲしくなく、かといって必要以上に手を抜いている感じがないところが読み味の良いところだと思う。物語のオチは、こういう硬めな主張(倫理的に従順な主張)を描きたいならこれで良いと思うが、個人的には、法や倫理が主張することと主人公が選択することとは、フィクションの中では別であってほしいと思う。ただ、この作品の描き方はこれはこれで全然ありだと思う。このお話は個人的に気になる作品で、ぜひまた完成稿で読ませてもらいたい。

 

中山懇さん「お風呂のあかは残しとけ

 このお話は個人的に楽しんで読んだお話だった。イケメンのあかなめというアイデアが奇抜で、また絵力があるので、その二つに駆動されて読まされた形だった。ただ、絵の力があるのでこれはこれで良いと思うのだが、勝手な話だが、マンガとしてはうまいのだけどこの作者さんの作品として読みたいものとは少し違う、とも思う。うまいものではなくてよいので顔が見えるお話が読みたいというか、マンガを使ってどういうことを表現したいかがもう少し知りたい気持ちが強い。これはこれで全くよい作品だとは思うのだが。

 

藍銅ツバメ(らんどうつばめ)さん「また店が開かなかった

 このお話は、2pのものとしては情報の入れ方がうまく楽しい雰囲気があると思ったのだが、ただ、もう少し展開が欲しいようには思った。これをベースにしてこの先のお話が作れそうだと思うのだが、意外とお話作りに苦戦していたりするのだろうか。

 

大須健さん蛍光灯を割れ!

 このお話は、個人的には彼女の無茶振りと笑顔との両義性が人間くさくて面白いと思った。「『わたし』と『社会』/どっちが大事?」などのセリフはシュールで面白い。ただ、オチはこれはこれで面白いとは思うのだが、爆発オチなどに近い投げっぱなしな雰囲気のあるオチで、終わらせ方に困ったのかなとは思った。とはいえ、この話は十分面白い話だと思うので、ぜひ完成向けてがんばって欲しい。

 

藤原 ハルさん「麦茶とパリと君の嘘

 このお話は今回の課題作品の中では一番心に残るお話だった。こういうある種のベタで作られているお話は形式によって感動させられるところがあると冷静な目線は持っているつもりなのだが、とはいえ、実際に読むとタネがわかっていてもぐっとくるものだと思った。内容については、個人的にもう少し男の子の告白に意外性があってほしいと最初に読んだときは思ったのだが、何度か読むと、人の記憶に残る出来事はこのくらいサラっとしているものなのだ、というお話とも読め、そう思うとまたぐっとくると思った。このお話は女の子へのタッチが優しくそこに作者の気持ちが見えると思う。ぜひまた完成稿で読ませて欲しい。

 

高月晃太さん「保健室で許して

 このお話は、かわいい女の子二人が会話しているだけで読めるお話だと思って読んだが、さらに、女の子が自分の顔面を殴ってしまう物語の展開も予想外で面白く読んだ。一方、オチは心が開くようなもう少し柔らかい解決が欲しいように思った。もしかしたら終わらせ方に困ったのかもしれないが、これをどういう話として表現するかは作者の方にしか決められないことなので、そこはがんばって欲しいと思う。けしてつまらないお話ではないと思うので、ぜひ完成に向けてがんばって欲しい。

 

東京ニトロさん「ワナビ16歳が生成AIと世界を救うはなし。

 このお話はなにかノリがとても良いところがあり、キャラクターの掛け合いもかみ合っていてとてもエンタメ的だと思った。特に主人公が小説の梗概をずっと気にしていることがよくわからなくて面白い。惜しいのはやはり話としては終わりきっていないことで、読者としても未完のものにはコメントがしづらく、きっちり終わらせて欲しいと思う。きっと創作の苦悩があると思うのだが、読者としては応援することしかできないのが口惜しいところだ。

 

たにかわつかささん「ばーちゃんの家の竹の花

 このお話はじんわりよいお話だった。しっとり落ち着いた余韻があるお話だと思う。お話としていうことないと思うが、本当に個人的な感想としては、最後はむしろ竹の花は咲かないほうがこの場合リアリティが増すのではないかとも思った。少し硬いオチに個人的には映った。ただ、完成するとまた印象が変化することだと思う。とてもいいお話だと思うので、ぜひまた完成稿で読ませてもらいたい。

 

ヤギワタルさん「ゾンビに投げる石

 このお話は、話としては全く悪くないというよりむしろ心温まる良いお話だと思った。ただ、結局この世界のゾンビはなんだったんだと謎には思う。おじいさんがただの認知症のご老人なら石を投げる中学生はとんでもないじゃないか、という連鎖的に宙ぶらりんになる感じも覚えた。結果的に主人公を取り巻く人情ドラマの部分にうまく集中しきれないというか、なにか惜しい感じを覚える。ただ、わたしがこの作品がしようとしているフィクションをうまく読み取れていないだけなのかもしれない。このお話をどう読むとよいのか、よみかたが知りたいと思うお話だ。とはいえ、それ以外はまったくよいお話だった。ぜひまた完成稿でじっくり読んでみたい。

 

山岡兄弟さん「

 このお話は不思議な世界観で面白いと思った。”窓”をヒントに世界との接点を考えさせるやりかたがアイデアとして冴えていると思う。一方、後半は生々しく破滅的な世界が描かれるが、個人的にはここの絵が前半との統一感が少し足りないように感じた。ただ、今までのマンガと比べてとくにセリフの違和感が少なく、マンガっぽさはどんどん上がっていると思うので、ぜひこの調子でがんばって欲しい。