玄関先の言葉置き場

主にひらめき☆マンガ教室の感想用。メッセージ等はおたよりフォームへいただければ、配信でお返事します。

ひらめき☆マンガ教室第6期 課題7完成稿感想 #ひらめきマンガ

 作品の感想を書きました。順番はひらめき☆マンガ教室の名簿順です。こちらの感想配信で内容の補足説明をしていますので、感想の詳細やニュアンスが知りたい方はそちらも参考にしてください。よろしくお願いします。大塚

全10作品感想

深田えいひれさん「文字の神様

 この作品は悪くないと思う。おもしろおかしくよみやすいマンガだと思った。あえて言うなら個人的には主人公と女神のどっちのキャラクターも狂人的でちょっと疲れるとは思った。だれか一人落ち着いたキャラクターがいると内容に入りやすいかもしれない。ただ、個人的にコメディやお色気などやりたいことが出ていて好きなタイプのマンガだった。


ほりい泉さん「レンズのむこう

 このマンガは一読してネコヤくんとウサミくんのデザインに気合が入っていておっと思った。かちっとした絵が話の重さに説得力を持たせているように感じる。一方、よくかけているので気になったが、ウサミくんが死んだことで主人公が具体的にどんな変化へと至ったかは少しわかりづらかった。読む限り、ウサミくんを見取る中で主人公は夢や前向きさをもらったのだとは思うのだが、13pでウサミくんが亡くなった悲しみからオチで主人公が夢を目指すに至るようになるプロセスは省略されているので、そこはメッセージがあってもよい部分ではないかと思った。ただ、描き方的にあの行間を汲み取ってほしい部分として描かれているとは思うので、単にわかりやすくすればよいというわけではないとも思う。とはいえ、キャラクターにどんなことをさせたいのかが見える描き方で気合も入っていてとてもよいと思う。今後もまたこの作者のマンガは読ませてもらいたい。

 

あい乙いなびこさん「背徳感

 このマンガはこれはこれでよいとは思う。内容的には悪くない内容だと思った。ただ個人的には、もう少し太い線だと印象に残りやすいのではないかと思った。マンガは絵なのでぜひそこはがんばってほしい。応援している。

 

中山懇さん「バースデーも別れ話で。

 このマンガはよかった。絵的にも気合が入っていて、内容的にもあまり人間関係の問題に深入りしない温度感がちょうど良いと思う。個人的に、この二人が普段どういう関係かなどをあまり説明していないところがキャラクターへの想像力を限定しておらず、軽い読み味になっていると思う。

 

くまのぶさん「バタフライ

 このお話はネームに引き続きいいお話だと思った。主人公の少し冷めて疲れている感じが、静かに熱を持っているこの内容に対してよく合っていると思う。また、ネームから変更されているオチの絵も、個人的にはこちらのほうが変にいい話になっていなくて合っていると思った。結論を急いでいない雰囲気が心地よいと思うマンガだった。

 

大須健さん元カノForever」 

 このマンガはリアルな絵柄がシュールで面白かった。破壊神にいちいちビンタされる主人公が面白い。内容的にもちょうどネタになるいいくらいの内容だと思う。一方、個人的には破壊神が”こいつはなにものなんだ”と少し気になってしまった。うまく言語化できないが、演劇を見ているような感じというか、抽象的な世界観を感じると思った。よしあしはあると思うが、個人的には抽象的ならそれはそれでもっと振り切ってもらえると楽しめるかもしれない。ただ、これは人によると思う。このマンガはよくできていると思うので、次回からもぜひがんばってほしい。

 

藤原 ハルさん「約束と運命と

 このマンガは非常に良くできていると思う。ネームから変更された演出がよく、とくに11pから14pにかけてのための演出が非常にマンガっぽいものだと思った。個人的にオチはなにかもう一ひねりあるとうれしいようにも思ったが、このページ数なら実際的にはこれくらいでいいのではないかとも思う。気持ち、主人公にもう少しプレゼントがあると読んでいて達成感があるのかもしれない。とはいえ、これはこれでぜんぜんありだと思う。ぜひひきつづきがんばってほしい。

 

たにかわつかささん「発砲美人

 このマンガはなんだかへんてこなマンガだと思った。主人公の性格の歪さがひっかかるマンガだと思う。ただ、この場合ひっかかりは読みづらさにもつながっていて、このマンガはぱっと読んで主人公の感情の流れがすんなり理解できるものではないとも思う。でも、わからなさをもっているキャラクターはとても大事だと思う。このキャラクターがうまく物語の中で活躍できたらいいマンガになっていくのではないかと思った。

 

ヤギワタルさん「渡されなかった手紙

 これはなかなかいい話だった。ネーム段階からかなり修正されていて、結果として主人公の変化が物語の中心として感じられるようになった。一方、ヤボかとは思うがクローンの設定は本当に必要なのだろうかとも思った。わからないが、なにかほかの設定が削れられた結果浮いて見えるようになったのかもしれない。非常によくできているので、クローン設定だけ少し浮いて見えたかなという印象だ。話全体としては引き締まっていてこういう修正ができることはすごいことだと思う。この調子でがんばってもらえたらと思う。


山岡兄弟さん「幸福と正義

 このお話は良くも悪くも抽象度が高いお話だと思った。ある種の論争のようなものを物語に落としこむのはうまい描き方だと思う。一方、両者の議論は平行線で戦いの勝ち負けもその議論にはあまり内容に絡んでいないように見えるので、結局どういう結論を見せたいお話なのかがわかりづらいと思った。それがわからない、ということを描きたかったのかもしれないが。いずれにせよ、結論がわからずとも話の焦点がわかると、もう少し内容が伝わってくるのかなと思う。