玄関先の言葉置き場

主にひらめき☆マンガ教室の感想用。メッセージ等はおたよりフォームへいただければ、配信でお返事します。

ひらめき☆マンガ教室第6期 課題10完成稿感想 #ひらめきマンガ

 作品の感想を書きました。順番はひらめき☆マンガ教室の名簿順です。こちらの感想配信で内容の補足説明をしていますので、感想の詳細やニュアンスが知りたい方はそちらも参考にしてください。よろしくお願いします。大塚

全12作品感想

形井中へいさん「スリットハンター トレイン編

 このマンガは作画が丁寧で内容に対して説得力があると思った。一方、これはこれで十分よくできていると思うが、個人的には主人公の観察でお話が終始しているところで評価が高止まりしている。主人公の下品な感じをさらに人とのかかわりの中で見てみたかった、というのが個人的な欲張った感想なのだと思う。とはいえ、逃げずに描くのだという意思を感じる作品だった。

 

深田えいひれさん「虚弱ジム

 くだらない内容のマンガなのだが、作りが丁寧なことを感じるいいマンガだった。細かな部分までコントロールが効いていて、内容はそう特別なことはおきていないのだが(というと失礼だが)しかし読んでいて飽きない。少し惜しいと思ったのは2ページ目でジムの様子が出てくる部分が筋トレのリアリティがほかと違って見え、もう少しやり方がありそうな部分だと思った。とはいえ、丁寧に作られていてノリもよくて面白いマンガだと思う。

 

ぼんち。さん「忘れねぇからな。

 短いながら読み応えを感じるマンガだった。ネームの段階ではどのくらい客観的に描かれるのか想像がつかなかったのだが、完成したものを読むと思っていたよりも客観的な描き方で読みやすい。個人的に秤が1階と2階で結果が変わってしまうことに意味不明な理屈をつけられるエピソードが印象的。実際にこういわれたら自分もあきれてしまうと思いつつ、ただ1階では正確に測れるという上司の認識自体はおかしくないようにも思え、人間関係の亀裂は難しいなあ、などと内容についてあれこれ考えてしまった。ただ一応留意しておくと、そもそもこういうお話が作られているということは、背景にはもっとなにかここでは描けないようなエピソードがあったのだろうとも思う。単純化されている内容なはずだが、それでも固有のエピソードは見ていていろいろなことを想像させられるのだと、奥深さを感じた作品だった。

 

あい乙いなびこさん「悪魔

 これはこれでいいのではないかと思うが、これだけ短いならもっと絵としての精度がほしいとも思う。(たとえば、最後のコマのキャラクターが最初のコマのどの人物なのかは構図で理解できるが、キャラの描き分けでも説明がほしいと思った。)ただ、4コママンガの形式自体はよみやすいのでこの調子で作ってもらえたらと思う。

 

七井一汐(なないつ)さん「死に方

 まだ荒削りなマンガだと思うが、軸が太くメジャー感のある内容で楽しく読んだ。自分の死にも他人の死にも執着がない主人公が、自分と命を天秤にかける吸血鬼との出会いの中で生きることに意味を見出す、というストーリーがよくできていると思った。まだ演出的によくなりそうな部分はあるとは思う。でもこういうメジャー感のあるお話は読んでいてわくわくすると思った。

 

中山懇さん「バイトに取り憑かれた男の話

 ネームから非常に読みやすくなっていて驚いた。なるほど、現実逃避のマイナスしかなかったはずの経験が今どう手元に残っているのかが描かれている話なのだな、とうなずくように読んだ。やはり、実際にその当時描かれた”絵”の挿入によって、当時の辛さや絵への興味の所在の説得力がぐんと増していると思う。キャラクターの一貫性がある中での変化が描かれているよいマンガだと思う。

 

藍銅ツバメ(らんどうつばめ)さん文字まみれ

 こういう変わったマンガでちゃんと面白いマンガって作れるんだなあ、と感心して読んだ。バランスがよいので面白くて悔しいと思ったくらいだ。個人的に「③おえかき」のシャツの文章が面白い。最初は読み飛ばしていたのだが、後から読んだらくだらなくて笑ってしまった。

 

くまのぶさん「
 季節感がある暖かな話で悪くない話だと思ったが、コマ割りが小さくてひっかりなく読んでしまった感じだった。小紅が雪を見てなにかを思うところにもう一味固有の受け取り方が入っていると印象に残る内容になるのではないかと思う。画面に黒さがあって作りの丁寧さを感じるので、一読者としては惜しいと思う作品だ。

 

大須健さん男の萌え袖が許せない。殺す。

 読み方をわざと複雑にしているっぽいマンガで感想もなんだか難しいが、でも変なエピソードが続く中でリズム自体は読みやすいので思ったよりもさくさくと読めた、というのが感想ではないかと思う。普通に面白いマンガだと思うが、もっとへんなことが起こって面白くなるのかな、と思ったところで引かれてしまうようにも映り、もう少し押し出しの強さがほしいとは思った。ただ、どういうつもりで描いているかによるのだと思う。

 

藤原 ハルさん「部屋の恋

 ネームと比べると情報量が多くなった結果重たいようにも感じた。完成稿を最初に読んでいたらまた感じ方が違っているのだろう。とはいえ、話がサクサク展開していてバカバカしい話で読んでいて楽しかった。こういうバカバカしさを自分の人生にもうまく取り入れたいものだと思う。

 

ヤギワタルさん「いま注目のアイドル

 意味深な情報がなぞのままに物語が終わっていて、もっと説明がほしい!と思うが、作品の意図としてなぞをばら撒いて読者に考えさせる、という一貫性が取れていると思うので、そうやって見ると面白いと思えるマンガだった。ただ、アイドルの女がショーに出ているラストのシーンはあまり話しのオチとしての意図があまりつかめておらずもう少し意味するところがわかるとうれしい。ひょっとしたら自分がうまく読めていないだけだろうか。

 

山岡兄弟さん「はじめてのSEX

 ネームの展開のほうがよかったかな、というのが正直な感想だ。人間の本能の話から始まったはずの話が機械と人間の関係の話にすりかえられてしまい、一貫性が失われていると思った。ネームの展開がかなり自分好みだったので、あまりバランスのよい感想ではなく申し訳なく思う。わざわざ変更したということはなにか意図があったのだと思うのだが、個人的にそこが作品からはうまく伝わってきていない。